2004年08月20日

歯医者へ行った 2

ありゃりゃ,随分更新してなかったですね……来訪してくださっていた方々,すみません。こっちはサーバが反応するときだけですが,2人体制で更新してます。

というわけで,今日は歯医者だったのだ。お盆休み明けで激混み,先生のてんてこまいに拍車がかかり……。前回,かぶせようとした冠が,型を取ってから時間が経ちすぎていたためにかぶせられなかったのだけど,今日はそれをかぶせる。

技工士さんが冠の具合を見てくれる。せんせは隣のブースでほかの患者さんの治療中。

しばらく待って……。

先生登場。私は寝かされたまま,頭の方で空気がぐるぐる動いてるのがわかる。どうもせんせは高速で動いているらしい。「こんにちは,痛みはどーです?」 私はもう神経を抜いているので痛みなどない。せんせもそれは知っているのだけど,カルテを見るまでそれに気付かない。「こんにちは」と「痛みはどーです?」は歯医者さんのセットフレーズなんだろう。電話の「あ,どーも,○○ですー,いつもお世話になっておりますー」みたいなものか。

「あ……痛みはあるわけないですね。そーかそーか,前回かぶせられなかったから,今日何としてもやっとかないといけないんでしたね,わっはっは。」

妙にテンションが高い。早口で言葉数が多い。

気圧されつつ「はい」と答えようとしたとたん,口をあけられてしまったので,私は自分が「はひ」と言ってるのが聞こえた。

「じゃあかぶせましょー,で,あとはもう何もないはずだから,今日で終わりですねっ!」と早口で言って,せんせは私の上半身にカルテをがーっと広げる。(これがこのせんせのスタイル。にしても今日は広げすぎ。)「あっ,そうだそうだ,治療終了なので何をどうしたかのメモをお渡しします。えっとかくかくしかじかのことをしました。はい。」 メモが渡され,私がそれを見る間もなく,「はいじゃあお口おーきく,あけてくださーい。」

私の左手のメモは虚しく握られたままとなって,冠が仮にかぶせられる。せんせはその作業をしながら「えっともう何もないはずだから今日で終わり……」とさっきと同じことを繰り返す。

私はすでに口をあけられ道具をがしがしと突っ込まれているので,「いや,こっちの奥もC1の虫歯があります。去年から持ち越しになってます。私が来なかったのが悪いんですがそろそろ治してください」と言うこともできず,ひょっとしてこっちの奥のC1の虫歯は,せんせのこのハイテンションのおかげで忘れられてしまうのだろーか,と思った。とその時。

「あ,これ虫歯ですねっ。」細い棒でつんつん

……激痛 (T T)

「あ,やっぱりそうだ! あ,カルテにあった!」

……せんせ……。

この間私は口をあけ,道具をつっこまれ,あーもうーも言えない。かろうじて,「が」の鼻濁音みたいなものが出せるだけだ。しかも手も動かせない。今日はカルテが私の体の上に目一杯広げられている。手を動かしたらカルテが床に落ちる。

「これはね,そんなに大変なことはしなくていいので,今日やっちゃいましょうか?」 アイコンタクトで答える前に「じゃあ今日やっちゃいましょうね」という空気が流れてくる。

いや,そうしていただけると助かるんですが,実際。

しかし今日のせんせの喋る速度はいつもの2倍だ。すべてのペースが2倍速だ。

「はい,じゃー軽く噛んでてくださいー。」 問題の冠を無事かぶせ終わって,せんせは疾風を巻き起こしながら立ち上がる。そしてまた向こうのブースへ。「はいこんにちはー,痛みは……」

セメントが固まったころ,向こうの治療が一区切りしたらしい。と思ったらまた疾風が。「はいじゃあこっちの虫歯ね,これ麻酔しますー。」 はいという意思表示をする前に,巨大な銀色の物体が私の視界をふさぐ……ピントを合わせたら麻酔の注射器だ。このT字型の道具は見てくれがコワモテで見た時点で痛い。(T T)

「さっきちょっとつっついただけで痛かったので,麻酔しないともっと痛いですからねー,削るんですから。はっはっはー。」

わかってます。わかっ……

いってーーーーーェ (T T) 

ほげげげげ,麻酔の注射はいつも痛い。

それからせんせは疾風怒濤のごとくがーがーがーっキュイーンと削り,ゴーゴーとバキュームして,無言でカリカリカリカリと神経の治療をして,最後に何かを詰めて「はいオワリです」。

椅子を起こしてもらって「ありがとうございました」と振りかえったときには,せんせはもうそこにいなかった。「はい,どーですかー?」という声があっちから聞こえてくる。

今日治療を開始したC1の虫歯の治療のために先生が現れてから全部終わるまで,一瞬の出来事のようだった。

歯医者に行って,ものすごく高速で動く人を風で感じるとは。

っていうか,歯医者って決して落ち着かないけど,今日ほど落ち着かなかったことは,これまでになかった。

いや,一度ロンドンで親不知が腫れてしまい,宿泊してたB&Bの並びのDentist'sで抗生物質の処方箋をもらおうと駆けこんだら,シーク教徒の黒いターバンをしたインド亜大陸系のせんせが現れて,Open your mouth, please ... mmm, you'd better pull it out. (お口あけてください……おや,これは抜いちゃわないと)と,角のオフライセンスのおやじさんみたいな口調(いや,単に「インド系のアクセント」なのですが)で言われた時は,もっと落ち着かなかった。でもそれはかかりつけの歯医者さんではないし。

あと,90度曲がって生えてた親不知を,歯茎を切開して砕きながら抜歯したときに,抜歯のスペシャリストの先生が耳元で「あれ……あれ……ない」と言ったときも落ち着かなかった。でもこのときは間髪いれずに「な……あった!」と声がして,その後ガガガッガガガ,ゴゴゴゴギゴギゴギ,という轟音が頭じゅうに鳴り響いたので(砕いてから取り出したため),落ち着かないなんてもんじゃなかった。

ああ,歯医者。でもこれでもう当分通わなくていい。うれしー。

と思ったら,BBCにこんな記事が。
Private dentists face crackdown
http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/3582454.stm

crack downなんてあるから何ごとかと思ったら,プライベートの(=NHSではない=保険医ではない)歯科医は,患者に対し,治療の選択肢や費用などをすっかり開示することが義務付けられる,という話のようです。今はそれができてなくて,あえて高い治療をしてしまう歯科医が問題になってて(歯だと自分には見えないしほんと何がどういう治療なのかわかんないしねー),さらに,患者(「サーヴィスの消費者」とも言える)の苦情の受け皿が環境として整ってないんだそうです。
posted by nofrills at 21:07| 雑多に | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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