2005年07月13日

「英国籍の青年たちが。。。」

BBC NEWSトップページ。
bbc_13july.gif
※画像はクリックで原寸。BBCのすばらしい記事。判明した事実の箇条書き。(笑)
London bomb suspects: key facts
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk/4676861.stm

いわく:
・容疑者は4人。4人とも英国籍でパキスタン系。4人のうち3人はウェスト・ヨークシャー出身。

・4人とも,キングズクロスのCCTV(監視カメラ)にうつっていた。時刻は攻撃の朝の8:30少し前で,リュックサックを背負っていた。この映像は月曜の夜に発見された。

・容疑者のうちのひとりは,家族から捜索願が出されていた。その人物の持ち物の一部が,タヴィストック・スクエアの30番のバスで発見された。

・第二の容疑者と関係のある持ち物が,Aldgate/Liverpool Street の爆弾の現場で発見された。

・第三の容疑者の所有物が複数,Aldgate/Liverpool Street およびEdgware Road の爆弾の現場で発見された。

・爆弾の現場から持ち物が発見されたこれら3人は死亡している可能性が極めて高いと警察筋は述べている。

・第四の爆弾犯の身元については疑問が残っている。キングズクロスで死んだのかあるいは逃げたのか,警察は把握していない。

・男性がひとり,ウェスト・ヨークシャーで逮捕され,ロンドンで尋問されているところだ。その人物は爆弾容疑者のひとりと関係があると思われる。

・警察はウェストヨークシャーにある4人の容疑者のうち3人の自宅を捜索した。

・火曜日,リーズ地区で6通の捜査令状が失効された。バーリー(Burley)地区でcontrolled explosionが実行された。

・リーズのある家宅で,「大量の(significant amount)」爆発物が発見されている。

・容疑者たちはルートンからキングズクロスへのThameslink(<路線名)の列車に乗っていた。ルートンに2台の車があり,うち1台からは爆発物が見つかったが,この2台の車がthe inquiryにconnectedである。

・この車はウェスト・ヨークシャーで容疑者たちによって借りられ,それからルートンまで走ってきたと考えられている。

……うーん,ウェスト・ヨークシャーですか。リーズですか。。。

同じくBBC,これも限りなく箇条書きに近い。
Tube log shows initial confusion
http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/london/4674469.stm

最初はLU(ロンドン・アンダーグラウンド:地下鉄)は,電気系統とか脱線とか人身事故だと判断したとかいったことの詳細な情報。

その他,BBCの「特集ページ」から記事たくさん読めます。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/in_depth/uk/2005/london_explosions/default.stm

例えばLondon bombers 'were all British' には:
Sir Iqbal Sacranie, of the Muslim Council of Britain, said it had received news of the suspects with "anguish, shock and horror".
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He said: "It appears our youth have been involved in last week's horrific bombings against innocent people.
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"While the police investigation continues we reiterate our absolute commitment and resolve to helping the police bring to justice all involved in this crime of mass murder. Nothing in Islam can ever justify the evil actions of the bombers."

英国ムスリム・カウンシルの人のコメント。It appears our youth have been involved って,読んでて辛いよ。

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一方で,Yahoo! JAPANのトピックスで日本語の記事を見てみたが,目に入る文字列は「英国社会には衝撃が広がっている」などで,あまりに情報が少なさそうだ。

日本語の新聞記事とかってクリシェを取り除いたら文字量が半減するんじゃないのかとふと思う。

友人(TESLの有資格者)から英作文(writing)の指導を受けたときに「クリシェは使うな,中身ないですと宣言しているようなものだから」と厳しく言われたことを思い出す。

ともあれ,「<ロンドン同時テロ>実行犯はクリケット好き青年 現地報道」(毎日新聞・山科武司記者)の記事の元は,これです(the Times)。でさ,あんまり細かいこと言いたくないけど,毎日の記事には「英国の伝統スポーツ、クリケットにも熱心だった」てあるのね。記事を書いた山科さんは,パキスタンがクリケットに強いという文脈を無視している。ここで「クリケット」につけるべき修飾語は,「英国の伝統スポーツ」じゃない。

英国の植民地だったり統治を受けたりした国は,北米を除いて,英国のスポーツが広くプレイされている。オーストラリアは何といってもダントツでラグビーが強い。アジアから中東ではサッカーな国とクリケットな国に大きく分かれる。インドとパキスタンはサッカーじゃなくてクリケットって感じ。クリケットといえば,よくあんなややこしいスポーツができるもんだと思うけど。

いずれにしてもこの記事でこの青年が「クリケットが好きだった(a keen cricketer:このkeenは「好き」っていう意味)」っていうのは,「英国の伝統スポーツが好きだった」ってことでは必ずしもないんじゃないかと思うけどね。

クリケットの文化的背景については,検索してみてください。

the Timesの記事によると,「容疑者」のひとり(真面目くんタイプ)の家は相当裕福。住んでる家はa large detached house,車はメルセデスが2台……「カウンシルフラットで自家用車なし」でもなければ,「テラスハウスで車はVauxhall」でもない。「移民してきてがんばって成功した」の典型のような……。

一方,もうひとりの「容疑者」(ガキ大将タイプか?)の家はテラスハウスで暮らし向きもそんなに裕福そうではない。

この2人が非常に仲よしだったというのだから,映画に出てくる緊密なエスニック・コミュニティみたいじゃないか。

ほんとにこの子たちなのかと強く思う。ご両親はじめご家族はどんな気持ちだろう。緊密なコミュニティだからこそご家族は。

“真面目くんタイプ"の青年は「フィッシュ&チップス屋の看板坊や」(ご両親が経営している店を手伝っていた)。昨年,親の出身地であるパキスタンを訪れていた。Faisalabadという町。

聞き覚えがある……Faisalabad……ファイサラバード……ファイサルの町……Wikipediaによると,サウジのファイサル国王を記念して77年に改名したとのこと。何の情報にもならん。19世紀末に英国によって建設された町で近年は工業都市として発展(「アジアのマンチェスター」),教育機関としては有名な農業大学があって,ほかにも大学がいくつもある。……2002年のこんな記事にも出てくる(NYTだが)……あ,ガーディアン2003年8月,多分これの関係で聞いたことがあるんだと思う。

同じ題材を報じるガーディアン記事。フィッシュ&チップス屋の息子はクリケットと柔術にはまってた。リーズ大学卒。最近は毎日モスクに通っていた。スポーツ友だちによれば,政治なんかに関心はなかったそうだ。

下記はPIRAのマニュアル(メンバー心得)だが,ここに書かれていることはPIRAだけに特有のものではないだろう。
DON'T TALK IN PUBLIC PLACES: YOU DON'T TELL YOUR FAMILY, FRIENDS, GIRLFRIENDS OR WORKMATES THAT YOU ARE A MEMBER OF THE I.R.A. DON'T EXPRESS VIEWS ABOUT MILITARY MATTERS, IN OTHER WORDS YOU SAY NOTHING to any person.Don't be seen in public marches, demonstrations or protests. Don't be seen in the company of known Republicans, don't frequent known Republican houses. Your prime duty is to remain unknown to the enemy forces and the public at large.


こんなものを思い出しつつ,「あの子たちは単に旅行してて巻き込まれた」という結論が出ることを同時に,願うというか祈っている。

ガーディアンの別の記事
British intelligence was already alert to the possibility after monitoring British Muslims radicalised by Afghanistan, Bosnia, Chechnya, Israel-Palestine and Iraq.


アフガニスタン,ボスニア,チェチェン,イスラエル/パレスチナ,イラク……どこもかしこも,おびただしい流血とすさまじい破壊をともなう不正義が行なわれた/行なわれているところばかりじゃないか。ここでラディカルなイズムが若者たちに吹き込まれるというなら,これらの場所の不正義を何とかしないことにはどうしようもないんじゃないのか。

信じ込んでしまっている彼らにとっては,人を殺すことは目的ではない。目的は「不正義を正すこと」だ。人を殺すことはその目的のために正当化される。

東京で起きた地下鉄テロを実行した人たちも,人を殺すことは目的のために正当化されると信じていた。

それが,SOHOやブリクストンのボムの犯人である極右の「ヘイトゆえの爆弾テロ」と決定的に違う点だ。
posted by nofrills at 15:01| todays_news_from_uk/07july2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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