2004年12月17日

「コロンビア・スリー」に懲役17年 ※加筆・修正しました

「コロンビア・スリー」の再審判決@コロンビア,懲役17年……。

Irish trio sentenced in Colombia
http://news.bbc.co.uk/1/hi/northern_ireland/4102737.stm※以下,元記事を急いで読みすぎたために誤読していた部分と,あとから補足した部分を加筆・修正(18日)。

「コロンビア・スリー」については,昨年11月にちょこっと書いてます(←リンク先の記事の後半部分)。

その前に,この「地名・数」という言い方は,IRAメンバーシップが考えられる/疑われるという文脈で,通称のようにして用いられるものです。(「バーミンガム・シックス (Birmingham Six)」など。)

■「コロンビア・スリー」
2001年8月,コロンビアのエルドラド空港で飛行機に搭乗しようとしていた3人のアイリッシュ(ひとりはUKの北アイルランド出身,2人はアイルランド共和国出身)が逮捕された。コロンビアの当局によると,この3人は「IRAのメンバーで,コロンビア国内において,コロンビアのマルクス主義ゲリラ組織,FARCのメンバーを訓練していた」。

#この「2001年8月」という時期がなぁ……。

3人は「FARCメンバーを訓練していた」などとして起訴された。FARC訓練で有罪とされれば懲役20年もありうると報道された。

■一審⇒偽造パスポートで罰金刑
裁判においては,「IRAのメンバー」であるか否か,「FARCを訓練」していたか否かについて,次のようなことが示された。

まず「IRAのメンバー」については,当人たちばかりでなく,IRAも「メンバーをコロンビアに送ったことはない」と否定した。しかし,3人ともシン・フェインとは完全につながっていることが判明した。(後に否定されたらしい。なお,これについてジェリー・アダムズが米国議会で【←注目】証言するとかしないとかでもすったもんだがあった。)

「FARCを訓練」については,「FARCが支配していたエリアにいたことは事実だが,エコ・ツーリズムだった」と当人たちは主張。

2004年4月,3人は,「FARCメンバーを訓練していた」ことでは「無罪」の判決を得た(おそらく「証拠不充分」だったはず)。一方で「偽造パスポート行使」の罪では「有罪」の判決で罰金刑となった。

……というわけで,短くまとめると,初審では「IRAじゃないけどシン・フェインの人間がコロンビアに来たときに偽造パスポートを使っていた」から「罰金刑」となった。「なお,この3人はFARC支配地域にいたことがある」という但し書きもくっつけた方がいいかも。

■二審⇒懲役17年
その後,検察側がこれを不服として控訴。3人の身柄はコロンビア国内に留め置かれた。

12月,この控訴審の判決が出た――一審の判決を棄却して「懲役17年」。

被告側が上告するとすれば,来年の1月。

■3人はコロンビアにいない?
一方,3人は二審判決が出た時点で「コロンビア国外に出ている」という報道が,二審判決を伝える記事のすぐ後に出た。
Irish trio 'have fled Colombia'
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/
4103515.stm

But the men had vanished while on bail and a nationwide hunt was launched following the appeal court decision.


on bailなんだから,escapeすることはあってもvanishすることはないだろう,論理的に言えば。

できすぎたフィクションのような展開。ついつい「これは何の伏線だろうか」とか「“第一線から引退してカリブで観光客相手の釣り舟を走らせている”CIAの敏腕エージェントがそろそろ登場するんだろうか」とか思う。

なお,3人は,一審判決後もコロンビアでon bailの状態に留め置かれていた。一審で「罰金刑」という判決が出たにもかかわらず,その後もコロンビア国内に身柄を留め置かれていたことには,家族・友人および支援者らが激しく抗議している。(支援活動者には,シン・フェイン党所属の政治家も含まれる。)

ただ,その抗議が「政治的な意図」が背後にあるものなのかどうかは,私にはちょっとわからない。というか,この件に関しては,何のどこからどこまでが誰の政治的な意図によるものなのかが,実はさっぱりわからない。

■仮に「コロンビア・スリー」がIRAとFARCをつなぐ糸だった場合
北アイルランド情勢の観点からは,もしも彼ら3人が本当に「FARCの軍事指導(都市ゲリラ戦の訓練)」を行なっていたとすれば,DUPの主張する「IRAは今でもアクティヴ」が“立証”されることになる。

その場合,IRAの“政治部門”とされるシン・フェインが,NI議会から排除される方面へ向けて事態は進展するであろう。

つまり,“北アイルランドの自治”から,南北アイルランド統一を主張するシン・フェインを除外するには,「IRAは停戦を口で言っても,実際には停戦などするつもりも何もない」という“説明”を有効にすればよい。

なお,コロンビアの今の政権は米国政府とも関係が深いが,英国政府との関係も深い。高度な政治的判断の存在の可能性は,最初から否定してかかれるものではない。おかしいのは,今回の判決について「政治的なものだ」と言う人々のみが「政治的である」として非難されることだ。

■「アイリッシュ」の曖昧さ
「コロンビア・スリー」のうち2人はアイルランド共和国国籍,1人は英国籍であるが,彼らについてはthree Irish menと表現されることがほとんど,つまり,1人の「英国人」についてBritishと表現されることは,私が見た限りでは,まずない。

Irelandは南北に分断され,two statesが存在している(南は「アイルランド共和国」,北は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」)。そのstatesの間の関係は,ある場合にはinternationalかもしれないが,少なくともNIに関してはinternationalではない。nationとしては,南も北もどっちもIreland,ダブリンの人もベルファストの人もIrish。(むろんベルファストにはBritishもいるが。)

■「国際international」の条件
実際の活動が行なわれる場所が“英国”である以上,IRAは「国際テロ組織」にはなれない。なぜならば,Northern IrelandとIrelandは別のnationではなく,Northern IrelandはUKというstateの一部だからである。

しかし,仮にIRAが「UKでもIrelandでもないどこか」で活動をしていたら,それはinternationalの条件を満たす。

■IRAとFARCの共通点
あるのかしら。。。あっ,どっちもカトリックだ!(笑)

#冗談はさておき,FARCはマルクス主義なので,「宗教」を口実にすることはできない。(あれ,また冗談になっちゃった?)

#IRAも社会主義革命な人たちではあるが……。

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妄想:
「コロンビア・スリー」のケースは,2001年8月に始まっている。あと1ヶ月遅れていたら,「コロンビア・スリー」ではなく「アフガニスタン・スリー」だったかも。

ちなみに,2001年11月か12月に米国で逮捕された「靴爆弾」リチャード・リードという人物は英国人で,彼の“啓発者”はフィンズベリー・パーク・モスクの指導者アブ・ハムザ(←今年5月に米国の逮捕状で逮捕)。

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※以下,当初の記述のまま。

BBC NEWSのサイトにあるQ&A: The Colombia connectionは,BBCのバイアス(シン・フェイン党のサイトを見ると「BBCのバイアス」がどういうものかが大げさにわかります)があるのだけれど,それ自体ひっくるめて,なかなか示唆に富んでいます。

Q: What effect did this have in Northern Ireland?
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While the IRA is long known to have nurtured international links with paramilitary organisations including ETA in Spain and Palestinian groups, the news came as a total surprise. While security forces tried to assess what was going on, Sinn Fein denied that the three men were working for the party.
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The first question that people wanted answering was, if the men were members of the IRA, what were they doing in Colombia?
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And if they were there as members of the IRA, what implications did this have for the peace process?


うーむ。

ひょっとして,えーこくせいふはNI peace processのながれのなかで,IRAをこくさいてろそしきとしてていぎしたかったんじゃ……ごにょごにょ。

ただそーすると,IRAのしきんげんをかいめいせざるをえなくなる。ETAとかPLOとかりびあとかとのかんけいはさておき,the other side of the pondとのかんけいが……ごにょごにょ。

ともかく,アイゼンハウアー・ドクトリン以降の冷戦構造と,ブッシュ・ドクトリンのテロとの戦いを結ぶ線上にIRAを置いてみると,うむむ,まだ知らないこと&わからないことが多過ぎる。
posted by nofrills at 07:39| todays_news_from_uk/northern_ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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