2004年06月21日

「ファルージャ」を伝える/伝えない。

ファルージャが19日にまたもや爆撃された(過去記事)。

その爆撃が先だったのか,こっちが先だったのかはちょっとまだ調べてみないとわからないのだけど,ファルージャで韓国人が誘拐されたそうだ。(ことしゃんのところにAP記事@yahoo.comへのリンクあり。)
※追記:ことしゃんの記事によると,韓国籍の人が誘拐されたのは17日で,19日の攻撃の前,とのことです。そのAP@Yahoo.com記事をざーっとスキミングしてみたのだが,19日のファルージャ爆撃のことは言及されていないようだ。全文を検索してみたが,Fallujahの文字列が含まれていたのは下記1文だけである。つまり,誘拐された人がファルージャにいた,ということだけ。

At that time, she said, Kim Sun-il was in the Fallujah area and planned to leave the area in July.


ファルージャで何が起きていたか,何が行われていたかは書かれていない。長い記事で書かれているのは「韓国人がザルカウィ一派に誘拐された」「誘拐犯は韓国軍の撤退を求めている」「韓国はそれに対してこういう対応だ」の3点に要約できる。つまり,「この誘拐は,韓国軍撤退を求める過激なテロリストによる一方的で卑劣な犯行である」と言いたいらしい。

BBCも似たようなフォーカスのあて方をした記事を書いている。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/middle_east/3824439.stm

だから,そうじゃないだろ。なぜそれが起きたのか,もっと掘り下げなければ何もわからない。4月に日本国籍の人が誘拐されたときに「自衛隊撤退を要求するための人質」として報道されたが,いくつもの週刊誌に掲載された,彼らのインタビューを読むと,彼らを「人質」と定義するために決定的だった「撤退要求」は,当初からの目的ではなく,何だか後からついてきたもののようにさえ思われた。私の印象だが。

なお,19日の民家爆撃について,暫定政権のアラウィ首相はこんな感じ↓らしい。

イラク首相、米軍のファルージャ攻撃を擁護
[ファルージャ 20日 ロイター] イラク暫定政権のアラウィ首相は20日、19日に22人の死者を出した米軍のファルージャ空爆を擁護する姿勢を表明した。しかし、ファルージャの当局者らは、死者に女性や子供が含まれている一方、外国人イスラム過激派はいなかったと主張している。
 首相は記者会見で、「テロリストが使用していた民家が攻撃されたと認識している。われわれは、イラク国内のあらゆるテロリストに対する攻撃を歓迎する」と語った。
 首相は、空爆について米軍から事前通告を受けていたとしている。……


アブ・グレイブでの拷問も,ファルージャ攻撃も,ムクタダ・サドルも,すべて独立した点として存在してるんじゃなく,相互につながりがある。それをちゃんと分かるように説明してくれてるのは,メインストリームのメディアの記事ではなく,インディペンデントのジャーナリストのウェブログとかだ。興味のある人はダール・ジャマイルのウェブログを参照。英語だけど,この人の文章はストレートで素直なので,読みやすいと思う。

■追記:
シバレイさんのウェブログより:
6月21日「絶対ワザとだろ!!」
犯行グループはアルカイダを名乗っているようだけど、多分、地元の血気盛んな兄ちゃん達で勝手にアルカイダを名乗ってるだけじゃないだろうか。いずれにしても、どう考えても、先日のファルージャへのミサイル攻撃が引き金だ。
 というか、やいキミット准将、ただでさえファルージャはここのところ物騒だったのに、なんでミサイルなんか撃ち込むか?!しかも主権移譲目前で。絶対ワザとやってるだろ?


私もそう思う。「拷問(prisoner abuse)」がものすごく大きく取り上げられているけれど,この問題がこれほど大きく取り上げられているということは,大きく取り上げさせているってことだ。つまり,ダメージがコントロールできる範囲のことに注目させといて,注目されたらまずいことに目を向けさせない。「拷問」――彼らが言うには「虐待」は,「一部のはみ出し者のしたこと」として,軍内部で処分とか決められて「決着」するだろう。どんなに「一部じゃなくて組織的にやってるだろ!」という声があったって,手続きとしては軍内部で粛々と進められるだろう。

重要な問題は,注目させられてるトピックじゃなくて,注目させようとしないトピックなんじゃないのかと思うことしきり。

「主権」とやらが「移譲」される「イラクの暫定政権」は,「イラク人」が多いけれど,やっぱりフセイン政権下で亡命してた人たちがメインで,普通にイラクに生活してきた人たちにとっては「イラク人って言われても……」な距離感がある。その「イラク人による暫定政権」に「米軍はどうぞ作戦を展開してください」という態度を言明させるってことは,どういう意味があるのか……別に考えなくてもわかる,茶番劇のスタートだ。

■追記2:
反戦翻訳団さんより
【合州国による大屠殺によって、イラク人の墓が増大している】Gang Eun Ji (2004/5/3)

韓国の独立メディア,Ohmynewsの記者さんが,5月1日にファルージャに入り取材しています。そのときの記事が日本語化,6月21日にアップロードされました。

ご一読ください。としか言葉になりません。

「我々は、Saddam Husseinにも屈服してはいなかったのだよ。合州国は平和を好まない。彼らは休戦を全て破ってきた。金曜日に我々の神聖な地に押しかけて来て、祈りを捧げている我々を殺すような合州国の軍隊を、許すことなど出来る訳がない。合州国の兵隊が好きだなどと云う輩は、このファルージャには一人とて居ないだろう。我々はSaddamと斗っていたのではなく我々の町と信仰を護るために斗っている、という事を強調しておきたい。」


4月10日ごろにマハジャン,ジャマイル,ワイルディング各氏の書いたウェブログ記事にあったファルージャの人の声とほとんど同じです。

名前も顔も判らないこの婦人は、庭の前に3週間も放置されたままだった。この夫婦の焼け落ちた車は、今でも道路に在る。
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ボランティアチームのリーダーの名前を教えて貰うことは、叶わなかった。その理由を尋ねてみたら、「封鎖が始まって以来、私たちの救急車は合州国軍に二度も銃撃されまして・・・。そのボランティアは、既に殺されました。」と、彼らから返事がかえってきた。
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「合州国の兵隊は犬畜生だ。奴等は人道支援者を撃つ。奴等には見えているんだ、人道支援チームであることも医者であることも。それにもかかわらず撃ってくる。 まるで私たちを駆除しようとしているかのようだ。奴等は、いったいどうしてこのようなことをするのかね?」


ファルージャのことを「気の毒だしひどいと思うけど戦争だから」と思う方がもしおられたら,どうかどうか,このGang Eun Jiさんの記事,またマハジャン,ジャマイル,ワイルディング各氏の記事(それぞれこの表記でネット検索すればヒットするはずです)を読んでください。

私が見たものは、戦争なんかでは無い。
posted by nofrills at 19:12| voices_from_iraq | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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