2005年11月12日

英国の、豊かな歴史と伝統――拷問編

戦後60周年記念、ですかね。

ロンドン西部に「ケンジントン・ガーデンズ Kensington Gardens」というエリアがあります。ものすごい高級住宅街で、各国の王族とか大富豪とかが住んでます。チャールズ皇太子と別居したダイアナ妃が暮らしていたケンジントン・パレスもこのエリアにあります。ま、言ってみれば「ハイソなロンドン」の頂点のひとつです。

そのド高級エリアに、第二次大戦中、軍諜報機関MI19の施設があり(通称「ロンドン・ケージ」)、戦争捕虜の拷問が行われていたことが明らかになった、というガーディアンのスクープ記事。

Revealed: UK wartime torture camp
Ian Cobain
Saturday November 12, 2005
http://www.guardian.co.uk/secondworldwar/story/0,14058,1640957,00.html
More than 3,000 prisoners passed through the centre, where many were systematically beaten, deprived of sleep, forced to stand still for more than 24 hours at a time and threatened with execution or unnecessary surgery.
_
Some are also alleged to have been starved and subjected to extremes of temperature in specially built showers, while others later complained that they had been threatened with electric shock torture or menaced by interrogators brandishing red-hot pokers.
_
The centre, which was housed in a row of mansions in one of London's most affluent neighbourhoods, was carefully concealed from the Red Cross, the papers show. It continued to operate for three years after the war, during which time a number of German civilians were also tortured.


「赤十字には存在を秘匿していた」ってのが、最大のポイントだわね。なぜ隠さなければならなかったのか、ってことだからね。

下記記事にはもっと詳しいことが書かれています。

The secrets of the London Cage
http://www.guardian.co.uk/secondworldwar/story/0,14058,1640942,00.html先日、ナチス・ドイツ占領下のリトアニアで、ユダヤ人を殺した罪で起訴され、有罪(終身刑)となった在英リトアニア人の男性が獄中で死亡した、というニュースがありました。

このリトアニア人の逮捕・起訴を可能にしたのは、「1991年戦争犯罪人法」という法律で、この法律ができる前は、英国は「わが国には、終戦後は戦犯は1人も入っていない」と言い張っていたそうです。

「1人も入っていない」どころか、終戦から3年後の1948年まで、ロンドンのど真ん中のハイソな地域(この地域の一帯の管理は王室のはず)で、典型的な拷問が行われていた。

いろいろ深読みしちゃいますよね。どうして1991年になってから法律ができて戦犯が起訴されたのかとか。

さて、英国による拷問といえば、最も時期的に近いところではイラクです。その前は北アイルランドもあります。

ガーディアンの過去記事と、自分が日本語化したカウンター・パンチの記事の一部を、下に貼り付けておきます。

Hooding is a form of sensory deprivation. It is disorientating, frightening and possibly dangerous for those subject to it (particularly when their hands are also tied). Hooding also serves to dehumanise the person subjected to it, possibly leading to rougher treatment at the hands of his captors. Indeed, television footage of British troops escorting hooded suspects did not show them acting with much solicitude. Hooding has often been used as a "softening up" technique prior to interrogation. The fact that it is being practised by British troops does not give one confidence as to their behaviour once the cameras stop rolling and interrogation starts.
_
...
_
The last time British security forces hooded suspects was as one of the so-called "five techniques" used in Northern Ireland in the early 1970s. The four other techniques were wall-standing, subjection to white noise, and deprivation of sleep and of food and drink. These "five techniques" were found by the European court of human rights to constitute inhuman treatment, in breach of the UK's obligations under the European convention on human rights. ...
_
...
-- Matthew Happold, "UK troops 'break law' by hooding Iraqi prisoners," The Guardian, April 11, 2003


↑は、主に捕虜に対するhooding(頭に袋をかぶせること)について2003年4月、バグダード陥落の直後に、ノッティンガム大学で法学を教えているMatthew Happoldが、ガーディアン紙に書いた文章の一部。英軍による「虐待」(実態としては「拷問」)が公式に認められたのはずっと後のことです。それも「戦時中」じゃなくて「戦後」に。

※「戦時中の戦争捕虜はジュネーヴ条約に則って扱われなければならないけれども、戦争が終わったあとの容疑者は戦争捕虜じゃないから云々」という主張で、世の中、回ってるらしいです。(おもしろいことに、「イラク戦争」は「終わった」ことになっていますしね。)

次は北アイルランド。大物「テロ容疑者」の体験談。

服を脱がされ,頭に黒い袋をかぶせられた者もいる。袋は光を完全に遮るもので,頭から肩までこれをかぶせられるのだ。壁に向かって四肢を広げて立つと,脚を下から蹴られる。睾丸や腎臓を警棒や拳で殴られ,股間を蹴られる。ベンチに寝かせられ,身体の下にラジエータや電気ヒーターが置かれる。腕がねじ曲げられ,指がねじ曲げられ,肋骨をしたたかに殴られ,肛門に物を突っ込まれ,マッチで火をつけられ,ロシアン・ルーレットをやらされる。ヘリコプターに乗せられ宙吊りにされた者もいた。中空高く飛んでいると思っているが,実は地上5〜6フィートでしかなかった。彼らは常に袋をかぶせられ,手錠をかけられ,途切れることのない高音のノイズを聞かせられていた。
_
-- ジェリー・アダムズ、『私も拷問写真に写ったことがある』、カウンター・パンチ、2004年6月5/6日号


「袋かぶせ」や「四肢広げ(spread eagle)」など5つの手法は、システマティックに開発された「尋問のための」方法です。上のガーディアン記事にあるように、five techniquesと呼ばれています。
posted by nofrills at 22:45| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。