2003年12月20日

動物を何にするかの提案専用エントリ〜翻訳P

『二本山』の翻訳に際し,どの動物を登場させるかについてのページです。前のページのコメントが増えてきたので分離独立させました。動物に関するコメントは,今後はこちらにいただけると幸甚です。

※本文はまだ書いていません。書きあがるまで1時間ほどお待ちください。(6:10くらい)

【なるべく具体的な提案をお願いします。簡単でよいので理由も沿えてください。】(私の頭脳労働にも限界があります……。)■これまでの流れ(前のページからの抜粋)

1)背景説明
DoXさんの『二本山の兄弟犬』は「犬」が主人公。「二本山」も「茨草」も「雨山」もみな「犬」。

しかし,イスラームでは「犬」はよいイメージではない。というわけで,英訳担当(=私)が「他の動物へのさしかえ」を提案。英訳の作業では仮に「猫」に置き換えて進行(「犬」ならではの動作などをつぶさに発見することも目的のひとつ=翻訳の実務作業としての手段)。

さまざまなご意見が寄せられる。

……以下は前のページのコピペ
12月17日午前7時:
*イラストについて……はなゆーさんより,「ひよこにしてぴぴさんにイラストをお願いしては?」というご提案=リサーチ中(助っ人大歓迎,コメントください)
→イスラームの習慣として,顔のあるもの(イラスト,写真,像など)を嫌う。森住さんのお写真で,イラクの子供が熊さんの絵のついたTシャツを着ていたのを見たが,スンニ派(サダム・フセインの宗派=西洋化してた)でもシーア派(イラク多数派=あんまり西洋化したくないらしい?でも今は米軍と近い)でも問題のないようにしたい。要リサーチ。(しつこいけれど助っ人歓迎。コメントください。)

12月17日午後11時ごろ(まとめ):
*動物について……作業は「猫(仮)」のままで続行
「犬」はありえなくはないが「鳥」が寓話には多い(カブール食堂発ことしゃん経由情報)【下記参照】
「熊」はどうか(DoXさんのところに寄せられていたゲストさんのコメント)
牟田口先生(イスラーム専門家)の著作リストより,
トルコのケマルパシャは「狼」でサウジのイブンサウドは「豹」との喩えあり
……考えた挙げ句「犬」で行くという路線ももちろんあり。文化のことなので慎重に,あせらず。

※ことしゃんのコメント(17日午後7時ごろ)
カブール食堂のオーナーの一人である毎日の記者さんに聞きましたところ、ユノスさん(カブール食堂料理人・にすぐ聞いてくれたのですが、
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
犬というのは確かに、体に触って汚れると体を洗わなければお祈りできないそうですが、 犬は親を大事にするので 「優しい」という意味もあるらしいです。 人と犬の関係はコーランにもあり、 40年間親を守るために山の穴に入って何もたべずに過ごしたということもあるそうです。
ですから悪い動物ではないそうですし、お話の主人公としても「私は特に問題はないと思う」 とのことでした。
ただ、彼いわく、こういう童話などの主人公はもっぱら鳥が多いそうで「鳥にしてはどうですか?」とは言っていました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

……以下はすべてコメントのコピペです:
犬より猫がよいとのご意見
こんにちは。
上にもありましたが、アラブでは、犬はかなり嫌われますよ。イスラムの教えもありますけど、生理的嫌悪感が強いのでは。トルコでは飼う人もいますけど。
猫はかなり大事にされます。猫になさったら。
投稿者: ゲスト at 2003 年 12 月 18 日 20:44:07

親切なゲストさん,ありがとうございます。
情報提供,ありがとうございます。犬への嫌悪は生理的嫌悪感で,アラブのものですか。とすれば,アフガンとは文化が異なるかも。ペルシャ(イラン)とも違うかもしれませんね。
《略》
アラブの国の大使館のサイトとかに何か資料があるかもしれないので,下訳にめどがついたら探してみることにします。
《略》
投稿者: nofrills at 2003 年 12 月 18 日 20:57:02

鳥では感じが出ないというご意見
犬もイランではBBCで読んだのですが一緒に歩いたり家の中で飼うことを法律で禁止しました。言い換えれば法律を出さなければならないほど実際には飼われている訳で、飼い主は戦々恐々と言う感じの記事だったような気がします。
遠吠えのところとか犬でなければ狼とか、猫やとりではちょっと。。。
投稿者: kuronekokotoshan at 2003 年 12 月 18 日 23:47:11
→この後,ことしゃんがイラク大使館(東京)に『二本山』をプリントアウトしたものを郵送し,「犬ではまずいかどうか」を聞いてくれている。

※「(仮)猫」で進めている英訳が終了したら,「原文に最も忠実な英訳」として「犬」版を作るつもりです。っていうか別に私がすべてをやることに決まっているわけではないので(「翻訳権独占」ではないので),どなたかやりたい方がいらしたら「犬」のまま英訳スタートしてくださってもまったく問題ありません。(ただしDoXさんの許諾だけは確認してください。)

原作者さんのリサーチ:不特定多数を意識するのであれば犬は避けるべきではとのご意見と鳥推奨のトルコの人のご意見
イラクに行っていた知人から回答もらいました。
・犬・顔のあるイラストについて
 「この件に関してですが、イラク国内の地域によってでも違ってきますので難しい問題ですが、他国や宗教の違う文化にも理解のある方達はイラクにもたくさんいますので悪意が無いのであれば問題ないかと思います。少なくとも開戦前にはアメリカのキャラクター(ディズニー等)のグッズもイラク国内では出まわっていましたし、そ
れを悪い事だとするイラク人も多くはいないと思います。
 しかし、これは私の見解ですが、イラクのことを思い、イラク(イスラム)の文化を尊重し、敬意を持って行動するのであるならば控えるべきだと思いまし、特に不特定多数の目に留まるものであるなら尚更、避けるべきだと思われます。」

トルコはちょっと違うかなーと思いつつ、トルコ料理店の知人に聞いたところ「最後にからすが出てくるから鳥がいいんじゃないか」という意見でした。
投稿者: DoX at 2003 年 12 月 20 日 01:22:41

それを受けての翻訳者の考え
やはり最大公約数で行くのがよいかと思います。 今のところ,私の結論(仮)は,
・生理的抵抗感なく受け入れてもらうためには,最大公約数で「犬」ではなくほかの動物にする
・「犬」で行くならば,「日本における犬とはどのようなものか」の説明があるとよい(ただし長くなる)。例:将軍綱吉の生類憐れみの令だとか桃太郎だとか
・「犬」の代わりになるものは,とりあえずは安直に「猫」で進めてはいるが,英訳しててもどーもイマイチ感じが出ないなぁ……「カラス」がよいかもしれない 。というのは,「カラス なぜなくの カラスは山に かわいい七つの 子があるからよ」という童謡からの連想。
ただし「カラス」とせずに単に「鳥bird」とするのも一手。むしろ,その方がよいかも?読む人の身近にいるものを想像してイメージを膨らませてもらえるように……
投稿者: nofrills at 2003 年 12 月 20 日 09:33:19

「国鳥」という新たな視点が。
日本の国鳥はキジ(雉)
イラクの国鳥はイワシャコ。
http://www.jade.dti.ne.jp/~zardoz/birds/140.html
投稿者: はなゆー at 2003 年 12 月 20 日 15:04:41

「国鳥」の発想に感嘆した翻訳者
「イワシャコ」の切手,見てきました。かわいらしい鳥ですね。英辞郎でみると,chukar または rock partridge と言うそうです。partridgeが「うずら(ヤマウズラ)」。chukarは英語ではなさそうです。
「雉」はpheasantで,これは英語で書かれた文章にも普通に出てくる語で,通用しやすいかもしれません。
投稿者: nofrills at 2003 年 12 月 20 日 15:46:59

はなゆーさんリサーチ続く
キジはイスラム圏でOKな鳥かどうか念のため確認しておいたほうが良いかも。
投稿者: はなゆー at 2003 年 12 月 20 日 16:41:2

日本の国鳥キジ(雉)とイラクの国鳥イワシャコは、どちらもキジ科の鳥であり、要するに身内というか親戚みたいなものらしいのですが、私は鳥に関する知識がないので、くわしい人の助言を求めたいところです。
★我孫子市「鳥の博物館」ホームページ
http://www.bird-mus.abiko.chiba.jp/
投稿者: はなゆー at 2003 年 12 月 20 日 16:53:59

……で,その後,私はとりあえずてきとーにググってみたのですが,非常に多かったのが,イラク軍事侵攻を『桃太郎』に喩えたもので,これは翻訳者の先入観の元になるだけなので読みません。

ただ思ったのは,それぞれの国を鳥の名前で代弁させてしまう方法。これは「寓話」としてのコアに関わることで,原作の改変にもつながるのですが,「わかりやすさ」と「文化への配慮」を考えた場合は,手段としては悪くない。

具体的には
・日本(二本山)→雉 pheasant
・イラク(茨草)→イワシャコ chukar または rock partridge
・米国(雨山)→もちろんイーグル eagle(ほんとはwhite bald eagleなんだけどそれだと直接的すぎ)
※最後に手紙を託される山ガラスはそのままでOK。「平和」の気持ちを強調するなら「鳩dove」に変えても?あるいは「賢者」の「フクロウ」(←古代ギリシア以来のイメージ)。

現在の下訳で私が英語として不満なのは,みな「猫cat」で,それぞれのキャラが立っていないこと。原作では引きこまれる点が,どうもイマイチうまくいかない。

これは私の力量不足なのですが(ドナルド・キーンさんとかサイデンステッカーさんとかのようには行かなくて当たり前と言い訳しつつ) ,原作者DoXさんが「犬」に託した思いを,私は理解はしているはずなのだけれど,アウトプットができない。あるいは「犬」というものが喚起するイメージがなくなったことで,英訳版はいまひとつ弱いのかもしれません。

とすると,「犬」を使えば英訳も……と思うのだけど,イラクでは生活の中における「犬」のイメージが,「一緒に考えてくれる存在」ではないとすれば,「犬」のままでうまく受け取られるかどうかがとても不安。

しかし「キジ」「イワシャコ」「タカ」のキャラをそれぞれに与えれば,かなり印象が違うのではないかと。

というところです。コメントにおいて,ご意見をお聞かせください。

なお,日→英翻訳のとらえ方としては,私の根底にはロジャー・パルバース訳『英語で読む 桜の森の満開の下』があります。根底にあるだけで,能力は月とすっぽんですが。

『桜の森の…』の原作は坂口安吾。安吾をいったんディコンストラクションしたところに立つものすごい翻訳です。この本を私は英国の人にプレゼントしましたが,現在の日本の人が安吾を読んだ時のような印象を,翻訳から受けているようでした。私は一読して「ここまでするのか」と思いましたが。
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ここから上は20日午後7時ごろに投稿したものです。
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追記:21日午前0時ごろ
イスラームに関する英語のページをたくさん読みました。犬について根強い迷信があるらしいことがわかりました。

結論:「犬」にはしません。
「犬」のままで英語にしたい方は,ご自身で英訳してください。(私も「犬」にしたヴァージョンを作るよう努力はしますが,例年大晦日まで仕事して1月3日から仕事をするスケジュールになっていますので,無理かもしれません。)私がやりたいのは,DoXさんの思いをイラクの人々に伝えることであり,物語の形式を英語に直すことではありません。寓話の持つ力はできればそのまま伝えたいですが,「伝える」ための取捨選択を行うのは,翻訳者としての責任です。
posted by nofrills at 18:08| 完了_special | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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