2004年06月29日

スーダン:「最も深刻な人道上の危機」

ちょっとリビアのこと調べてんですけどね,Yahoo! JAPANのトピックスをとりあえず見てみたら,米、リビアの協力仰ぐ スーダン西部人道危機でなんてのがあって,パンナム航空機やらIRAやら核やら砂漠やら「大中東構想」やら何やらがぐるぐるし始めて頭の中が収拾つかない状態になってしまいました。

なのでBBCで英語を読んでちょっと頭を落ち着かせようと。(なぜBBCかっていうと,すぐにアクセスできるようにしてあるから。それだけ。)

※「続き」にはBBC記事の大意訳と,アムネスティ・インターナショナルへのリンクがあります。太字にしたところがぐるぐるの原因。
米、リビアの協力仰ぐ スーダン西部人道危機で
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 【ワシントン27日共同】ライス米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は米FOXテレビで27日、深刻な人道危機が起きているスーダン西部ダルフール地方への援助物資輸送ルートを確保するため、国境を接するリビア政府の協力を仰いでいると明らかにした。
《中略》
 リビアは昨年末、大量破壊兵器廃棄を約束し国際機関の査察受け入れに同意。米政府は依然、リビアをテロ支援国家に指定しているが、経済制裁の大部分を解除し、関係正常化に向けた定期協議の実施で合意している。(共同通信)


一方,BBCではスーダンについての記事を。上記共同記事に「アラブ系民兵が『民族浄化』を進め、黒人系住民を大量殺りくしている疑いがあり、約16万人が隣国チャドに逃れて難民化、約70万人が国内避難民になっているとされる」とあるように,スーダンの犠牲者・被害者の数はほんとにものすごいです。人道という場合,数はほんとは本質的なことではないと私は思うのだけれど,この件については先日友人もメールに書いていて,その数字に私は圧倒されてしまったのです。

#しかし米国のこの動き,何かどうも素直に見ることができないんだよね。なぜ素直に見られないか,説明しようにもぐるぐるしすぎてるからできないんだけど。

頭切り替えます。

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Screams of Sudan's starving refugees
http://news.bbc.co.uk/1/hi/programmes/
from_our_own_correspondent/3840427.stm


 【大意訳】
スーダン 飢える難民たちの叫び
By Hilary Andersson

スーダン西部,ダルフール州でこの15ヶ月続いてきた紛争がもたらした状況を,国連は「この世界で最も深刻な人道上の危機」と呼んでいる。

政府支持のアラブ系民兵は,アフリカ系キリスト教徒に対して民族浄化作戦を行っているとして非難されている。ヒラリー・アンダーソン記者が現地からレポートする。

ダルフールで起きていることを現場で目撃することはとてもつらいことだ。それは人間性が骨の髄まで剥奪されているのを見ることである。人々はひどく傷ついているので思い出したことを語るたびに言葉に詰まる。夜中に泣き叫ぶ人もいる。非常に困窮していて人々は何ももっていない。毛布もない。シェルターもない。水もない。食べるものもない。基本的な健康も保てない。本当になにもないのだ。さらに,先行きは暗くなるばかりである。

ダルフールを脱出した人々と話をした。大勢に話を聞いたので,私のノートにはそれぞれの人の特徴がびっしりと書き込まれている。「髪の赤い女性」であるとか「老人のようにしわだらけの顔をした飢えた赤ん坊」であるとか「お母さんにもたれかかるとても暗い表情の子ども」であるとか。それぞれ名前を書き込んである。

ひどい話ばかりだ。恐怖の上に恐怖が重ねられているような。そしてどの話も似通っている。

私が最初に話を聞いたダルフール難民のことを忘れることができない。女性で,名前は覚えていないのだが。

その女性は9ヶ月の赤ちゃんを抱いて小さなマットの上に座っていた。赤ちゃんは痩せこけてお腹をすかせていた。アブドゥル・ラヒムという名前だった。

ある日の朝,夜明け前に,アブドゥルのお母さんはShattayの村の自宅で寝ていた。そのとき彼らがやってきた。アラブ系民兵Janjaweedだ。そのことばはとてつもない恐怖をもたらす。現地のことばで「銃を持ち馬に乗った悪い男たち」というような意味を表す。

この日の夜明け,「悪い男たち」が彼女の村に火を放った。

大混乱になっているのを耳にして,彼女は子どもをつれて走りだした。

Janjaweedは銃を射ち,男たちを殺し,そして彼女やほかの人の証言では,子どもを撃って怪我をさせていたという。

彼女の夫も家から逃げ出した。しかし彼が殺されたのかどうかは彼女にはわからない。

翌日,サハラの熱い空気の中を,彼女は子どもをつれてKalmaへと向かった。3日かかった。

Kalmaのキャンプに着く前に,7歳の子どもは耐えきれず,死んだ。

彼女はこれをさも当たり前のように話すのだ。

末っ子のアブドゥルが飢えで死にかけているということはわかっていただろう。なのに彼女には家もなくシェルターもなく毛布もない。

「ここでの住み心地は」とだれかが彼女に尋ねた。彼女は即座に静かに答えた。「死ぬよりましです。」

おそらく,ダルフールでの死の恐怖を目撃していなければ,こんなことは言えないだろう。

外部からきた者にとって,難民たちの生活に何か救いになるところを見るのはとても難しい。

この2週間で私はまったく食べ物がない家族にいくつも出会った。

ある家族のところでは,茶碗で腐りかけた食べ物に虫がわいていた。飢えた子どもが,自分の血で汚れた水で身体を洗ってもらっていた。排泄物まみれの棒のようにやせた赤ん坊を見た。赤ん坊たちはものを食べる体力すらなく,何かを口にしても吐き出してしまうのだ。

飢えは恐怖である。のろのろとし苦痛に満ちた死のあり方である。

母親たちは子どもがひどく苦しがって死んでいくのを,ただ見ていなければならない。

こんなのを目撃すれば叫び声をあげたくもなる。

ただし,自分自身の体験ではないから叫ぶことはできないのだ。これは他人の体験であり,叫ぶのは彼らなのだ。

これは夜に起きる。

常に聞こえてくるのだ。私たちはモルネイというキャンプに3泊した。すぐ隣に小さなテントがあった。そのテントはひどい栄養失調で重篤な症状の子どもたちの診療所として使われていた。毎日そのテントにやってくる子どもたちの中には,とうてい生きているとは思えない子どももいた。

不思議なことに,こちらがある程度長く見つめていると,子どもたちは大きな貫くような怒った目をしてこちらを見返すのだ。恐ろしかった。

テントは悪臭がした。気温は40度をこえていた。

日が沈むと少しはほっとした。

だが,弱りきった子どもたちを殺すのは,夕方にちょっと気温が下がることなのだ。彼らの身体はどんなささいな変化にも耐えられないほどになっているのだ。

そして就寝後,夜中の2時や3時に,真っ暗でしんと静まりかえった中,突如として怒りの叫び声が響き渡る。母親が,子どもが死んでいくのを嘆いているのだ。

こんな夜中に,その叫び声がきっかけとなってあちこちで声が上がる。ロバたちが痛々しく嘆き,飢えた犬たちが吠える。

想像力というものが働く余地なり理由なりがあるとすれば,このときしかない。

ある夜,だれかが泣き叫び始めると,昼間に聞いた話が私の頭をぐるぐると回りだす。そして私は,これはJanjaweedに襲撃された瞬間の村で聞こえたのと同じ叫び声に違いないと思う。村での経験をしたのと同じ人が上げる,同じカタストロフィーの音なのだ。

近所の村が焼かれたと何ヶ月も聞き続け,ついに自分たちの村の番となったときに,母親たちが感じた腹の底がねじくれるような恐怖を,私は想像するようになった。

すべての家が燃え,一帯の人々が叫んで走りだし,子どもたちがカオスの中であちこちに散らばり,屍をこえて村を脱出し,夫が生きているのか死んでいるのかもわからない。

おそらく木の下で眠っただろう。そして翌朝には砂漠の真ん中を,シェルターもなく家族もなく,歩くのだ。

そしてやっと一番近い町にたどり着くが,そこでもみな食べ物がなくて困っている。

考えてみるだにぞっとする。何しろ私たちと難民たちが眠っているところから数百メートルのところに,Janjaweedがいるのだから,よけいに切迫感がある。

村から住人たちを追い出して苦しめている人々がキャンプの中にいるのだ。毎日パトロールをし,夜は女性を襲うのだ。

女性が食べ物を手に入れるためにキャンプを出ようとすれば,おそらくは殺されるか殴打されるか,あるいは強姦されることになるだろう。

仔細に記録を取った人はだれもいないが,おそらく何千という女性がこれまでの間に強姦されている。

この人たちがどれほど恐れおののいているか,想像できるだろうか? この人たちは難民である。しかし,安全な避難所など見つけられていないのである。

ダルフールの状況はこんなものではないが,最も神経にさわるのは次のことだ。

ここにいる人たちは飢える必要などない人々だ。旱魃があったわけではないのだ。戦争があったのだ。

この状況は男たちによってもたらされたのだ。

責任のある男たちはJanjaweed民兵たちとスーダン政府だ。政府はこの戦争で民兵をバックアップしてきたのだ――政府は民兵をコントロールすることはできないと言ってもいるのだが。

いずれにしても,ダルフールの破壊は,ある黒人の反乱グループ,つまりSudanese Liberation Movement (SLM) に対する大規模な復讐なのである。

反乱者たちと戦うことに問題はないではないかとおっしゃる方もおられるだろう。政府は領内での反乱を無視して過ごすことはできないし,民兵は何があっても民兵だ。

議論のために,ここでは軍というものに寛大に構えよう――あれは戦争なのだ,と。

しかし,どうして母親や子どもたち,老人や一般市民を攻撃するのか?

これがダルフールで起きていることの悪なのだ。

権力があり,武器もそろっている戦士たち,大人の戦士たちのグループ同士の戦闘があるがために,子どもたちが飢え死にしてゆく。それが事実だ。

そして,これが終結するまでに,もっと多くの人が死ぬだろう。

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ダルフールについては,米独立系ラジオ「デモクラシー・ナウ!」記事も。
http://www.democracynow.org/article.pl?sid=04/06/23/140223

アムネスティ・インターナショナルもご参照を。
http://web.amnesty.org/pages/sdn-010604-action-eng

Sudan:
Act now to end the human rights crisis in Darfur

...
Take action!
...
Alternatively, you can write directly to Lieutenant-General Omar Hassan Ahmad al-Bashir, President of Sudan.

……ということで,手紙の文例が掲載されています。
posted by nofrills at 04:01| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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