2005年05月10日

ガーディアン論説:ジョナサン・スティール「任務完了」

任務完了
The job is done
Jonathan Steele
Monday May 9, 2005
The Guardian
http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/
0,2763,1479619,00.html
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以下、記事の日本語化
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イラク自身の警察と軍が安全を保証することができるようになるまで、英軍はイラクを去ることはできない、そうトニー・ブレアは言い張っている。むろんこれはジョージ・ブッシュが15万近い米兵をイラクに留まらせることに理由付けするために用いているのと同じ理屈である。

イラクで起きている暴力の多くが占領に対して向けられているものなのだから、外国の軍隊を撤退させればほぼ間違いなくイラクの治安は向上するだろうという事実があるのだが、それは脇に置いておこう。占領がなくなれば反乱は劇的に下降線をたどるだろう。

ここではブレアの立場を額面どおりに受け取ってみよう。ブレアは気づいていないのだろうか、英軍が拠点を置いているバスラをはじめとする南東部の2つの県では、反乱はほとんど存在しさえしないということに。先週アマラでまた英兵がひとり死亡したことは事実だが、アマラは伝統的に難しい街だ。一方でバスラでは何ヶ月も静かな状態が続いている。自爆者はまったく姿を見せない。英軍に対する攻撃はまれで、致命傷を負うこととなるとさらにまれである。1月の選挙の当日にも、ほとんどまったく暴力は発生しなかった。

理由はさまざまだが、大きなものとしては、バスラをコントロールしているシーア派の政治集団が長期的視野を持っているということだ。バグダードのイラク新政府のバックボーンを形成しているのは彼らであり、彼らはイラクの政治の現在の流れについて特に不満を抱いていない。彼らはイスラミストではあるが、バスラに対して彼らがつけている保守的との刻印に、英軍は反対していない。

占領に強く反対し、占領に対して武器を取ったムクタダ・アル=サドル周辺の急進派のシーア派は、バスラでは、バグダードや聖都ナジャフほどには活発ではない。またナジャフからバグダードはバスラからバグダードよりも近い。

したがって、状況を説明する特別な要素はいくつかあるのだが、つまるところは、イラクの南東部は語るべき本当の反乱などまったく存在していないのである。ならば何故、英軍が必要とされているのか? 彼らが抑えているとされる脅威、イラク人が自分たちでは手に負えないとされる脅威とは一体何なのか? そんなものは存在しない。「途中で投げ出すことはできない」という決まりきった言いぐさは忘れ、「任務を完了させる必要」とやらについてのレトリックを断ち切ってみれば、英軍はすぐに撤退できるはずだ。そしてイラクの南東部の人々も、英国の人々も、それを後悔しないだろう。

ブッシュは面白くないだろうが、米国の大統領にとっては、一度は強固な同盟国だった国が考えを変えて軍を撤退させることにしたのだということを受け入れなければならなかったことが、これまでにもある。スペイン、オランダ、ポーランドがそうだった。自国の有権者たちのプレッシャーによって、軍を撤退させた。


ブレアも同じことをして当然である。私たちはイラクにデモクラシーをもたらそうとしているのだなどと、どうすれば私たちは言うことができるだろうか、と、ブレアはホワイトハウスに告げなければならない。自分たちの国でデモクラシーが認識されないのに、と。総選挙の10日前、NOPの行なった世論調査では、英国人の6割が年内に英軍の撤退を望んでいることが示された。先週の選挙で労働党の国会のマジョリティは激減し、その見解をさらに裏付けた。

ほとんどの英国人はイラクからの撤退を望んでいるのだということを受け入れ、ブッシュに対しては私たちはアメリカと連帯するためだけにイラクに残ることはできないのだと告げることによって、ブレアはこの2年半の間に失った信頼を回復する長い旅路を踏み出すことができる。それでも、首相としての彼に対するイラクの影響を完全に消すことはなかろう(そんなことができるものは何もない)。けれども少なくとも、そうすれば彼は自分のイラク政策がいかに支持を得ていないものであったかを理解しているということを示すことにはなる。

ブレアはイラクについて自分が間違っていたと認めることは決してないだろう。ましてや嘘をついていたなどとは絶対に認めないだろう。けれども彼の政策を英国人の大多数の考えに合ったものにすることで、傲慢さという汚い染みのいくらかは、払拭されるであろう。

イラクはブレアにとって、スローモーションのスエズのようなものであった。1956年のイーデンと同じく、ブレアは英国を誤った戦争(war in error)に導いた。しかしイーデンが失策の3ヵ月後には辞任を余儀なくされた一方で、ブレアはあと4〜5年を勤めることになる。イーデンを失脚させたのは戦争が支持されなかったことではなかったのだから、イーデンにとってはこれはますます屈辱的な話だ。ガーディアンとオブザーヴァーはスエズ戦争に反対していたが、英国人のほとんどはあの侵略を支持していた。イーデンを終わらせたのは米国の反対だった。アイゼンハワーがエジプト侵略に反対の立場をとったとき、イーデンは責任を負う以外に選択の余地がなかったのだ。

ブレアの状況はそれとは異なる。戦争は、始まる前から、多数の賛成を得てなどいなかったし、侵略が行なわれていた数週間を別として、そのような支持は一切ないのである。

究極的には、これは勇気の問題だ。英国で支持されていない戦争について、米国の側に立っていることはできないのだとブッシュに告げるだけの度胸が、ブレアにはあるのか? 英軍がバスラで占領を始めて2年以上にもなる。彼らの任務は完了している。彼らは今、撤退して当然なのだ。

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以上、記事の日本語化
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posted by nofrills at 03:49| todays_news_from_uk/about_Blair | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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