2005年03月03日

英国リアル鉄道事情。

先日,英国に行っていた友人から,リアルな鉄道事情を綴ったメールをもらいました。

一言で言えば,「2000年には既に問題になってたことが,そのまま問題であり続けている」状況です。

本人の承諾を得て文面を編集して掲載します。友人のメールの内容:

英国の鉄道は民営化(私営化)されたあと、むちゃくちゃになっていますね。
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車内放送の半分は「今、スナックバーがオープンしたので使って下さい」といった商業的なもの。残りの半分は「遅れます、ご不便をおかけしてすみません」「予約システムが壊れてご迷惑をおかけしました」「信号故障で30分遅れます、ごめん」などなどです。
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民営化するときに、旧国鉄(BR)を売却する方法があまりに複雑だったため、今に至るも混乱が続いているようです。
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売却がどれだけ複雑かというと、例えばロンドンとマンチェスターはヴァージングループ、ロンドンとシェフィールドはミッドランド・メインですが、線路の保守は別の会社、信号機も場所によってどれはどこの会社、などといったようになっています。
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あと驚いたのは、携帯電話が車内で使い放題だということ。「静か車両(引用者注:Quiet Carriageと言うらしい)」というものが1つ2つあるのですが、そこでも実質上は携帯電話使い放題。仕事の電話とか大声で、これ見よがしという印象すら受けました。
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英語が全部聞き取れる人にはうるさくてたまらないのではないかと思います。


交通機関の中の携帯電話のマナーは日本の方が進んでいます。そりゃもう確実に。

ちょっと検索してみたら,サリー大学の論文があったのですが(元がPDFなのですがGoogleのHTMLキャッシュ)そこにちょっと面白いことが書いてありました。
5.2.2 Public transport and train stations
These are a particular type of public place. A train station or train platform is indoors and outdoors at the same time. Stations are transitional places where crowds come and go, but passengers also remain there for a while, standing still, more often than in the middle of the street. Although one sees fewer mobile phone users in the streets of London than in Paris or Madrid, there are many more in train stations and on platforms. Mobile phones can make the waiting for the train or the bus profitable. Also, the usual delays of British trains produce a large number of phone calls in trains and stations.This is not only because passengers have to inform those waiting for them of the delay, but also because, as I have observed in some instances, the phone conversation deals with matters that have to be discussed with those waiting.


つまり,路上で携帯を使っている人は,パリやマドリッドよりもロンドンの方が少ないが,駅やプラットフォームで携帯を使っている人はロンドンの方が多い。英国の鉄道はよく遅れるから「遅れます」と電話をしなければならないケースが多いし,待たせている相手との要件を公共の場所で電話で話すことも多い。

……「電車がよく遅れるから」って,ほんとかよ。

ただ単に気にしてないんじゃないの,「ほかのお客様のご迷惑になりますので」みたいなことは。

同じ論文から:
Those who would be disturbed can choose to travel in the quiet carriage where mobile phones are banned, if available. The mobile phone noises, conversations and ring tones, are becoming an element of the sound-scape of a train journey.


で,その「静か車両」は実質何の意味もないというのが,上記の友人のレポート。

こんなelement of the sound-scape of a train journeyはものすごくいやだ。

もうひとつ。検索でヒットしたThe Argusというサイトの掲示板から,2005年2月18日の投稿:
... Although in a "quiet" carriage, I was plagued by extremely loud pings and noises for announcements by crew (including the driver frequently paging the train crew to contact him). Business people with mobiles ignored the quiet zone stickers. The toilets were not working, and over the course of the journey the few that were got worse and then closed. A power failure caused 1 hour delay at one point. Lots of friendly information, but no movement.
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So, as a nation we invested billions in a brand new railway (the rebuilt West Coast mainline), and many hundreds of millions on new trains and rolling stock. It's a new railway. It's supposedly high speed - the rationale for smaller/more cramped accommodation is speed, so they can tilt - but actually the timetables are no better than in the 1960s. London to Liverpool actually takes longer now than it did in the 1970s.
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We are less comfortable. Less space. Less fresh air. Less comfort. Paying more. More stress. More annoyance. More unreliability.


「静か」車両に乗っていたのだが,乗務員による車内放送がうるさくてかなわなかった。携帯電話を持ったビジネスピープルは「静かゾーン」のステッカーを無視。トイレは故障。故障してないトイレも目的地に着くまでにおかしくなって閉鎖。ある地点で電源異常で1時間遅れ。あれやこれやと放送はあったが電車は微動だにせず。英国は真新しい鉄道(ウェストコースト・ライン)や新車両に巨費を投じている。これは新しい鉄道で,速度も速いはずなのに,実際には1960年代とほとんど違わない。ロンドンとリヴァプールは今より1970年代の方が時間がかからなかった。……

これはもう,魂の叫びに近いものがあります。(←茶化しているわけではなく。)

っていうか,こういうことはずっと前にも書いたような気がする。

ちなみに現在2期目で今年5月予定の総選挙で3期目を目指しているトニー・ブレア首相が戦った前回の総選挙は2001年で……
二〇〇一年六月、ブレアは総選挙に二度目の勝利を果たし、二期目の政権を開始した。総選挙における争点の中心は、医療制度や教育制度、交通問題といった公共サービスの改善であり、比較的好調であった経済運営を持続できるかという点とともに、公共サービス改善の成否が二期目の評価を決定づけるであろうと考えられていた。……
――出典:梅川正美/阪野智一編著『ブレアのイラク戦争 イギリスの世界戦略』,2004年12月,朝日新聞社,p.183(太字は引用者による)


話を携帯電話に戻して……。

前回私が渡英したのは2000年で,もう5年も前になるのですが,ちょうど携帯電話が広く普及しつつあったときでした。英国の電話(BT)は工事が遅いとかいろんなことがあるせいか,携帯を使う人がやたらと多いなーという印象だったのですが,バスの中でもバスのエンジン音に負けじと声を張り上げるから,本当にうるさい。

私が滞在していた辺り(ロンドン東部のハックニー)は英語以外の言語を使う人たちも多いエリアでして,前後と隣で別々の言語で声を張り上げられて,ちょうど非常に疲れていたときで,もーほんと,たいがいにしてくれと思ったことがあります。位置関係とかは記憶が不正確かもしれませんがこんな感じ。

   ○←トルコ語(だと思う)の男性
私→●○←スペイン語かポルトガル語の女性
   ○○←広東語(だと思う)の女性
   ↑英語の男性

逃げ場なし。
posted by nofrills at 21:36| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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