2004年09月02日

ハットフィールド鉄道事故

Railtrackに対するCorporate manslaughter chargesが棄却された。

Charges dropped against Railtrack
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/3618628.stm

2000年10月,ロンドンからリーズへの路線の途中,ハットフィールド近郊で電車が脱線し,英国人3人とニュージーランド人1人が死亡,多数の負傷者が出る,という大きな事故があった。

Railtrackは線路について責任を負う企業。1996年までは「BR (British Rail)」だった英国の鉄道に対する不信感は,このころピークに達していたと思う。英国の「国鉄(BR: British Rail)」はメイジャー政権下の1994年に民営化されていた。その民営化の方式というのが日本の「国鉄」がJRになった方式とはかなり違う。鉄道の線路や駅などの管理はRailtrackという会社が行い,実際の鉄道の運行は複数の民間企業が7年間(←記憶に頼ってます)の権利を買って,行う。

つまり,東京で言えば,JRの線路と駅はJRが管理していて,例えば山手線は小田急が,中央線は京王が,というように,各社が電車を運行させる,というのが,単純化した説明になるかもしれない。(なってないかもしれない。)(<こら。)

BRは,元々は民間所有だった英国の鉄道網を労働党政権がまとめて国有化し,成立していた。その鉄道の民営化はサッチャー政権(保守党)で打ち出された政策だ。実現したのはメイジャー政権下でだったが,国庫負担減,民間活力と競争原理の導入,みたいな説明がされていたようだ。(あんまり本気で調べてないんですが。)

1999年,ロンドンのパディントン駅のすぐ近くで大きな列車衝突事故が発生。保線の不備(ポイントが動かなかった)ことが原因だった。Railtrackの管理がなってなかったと批判された。

2000年のハットフィールド事故は,パディントンの事故のショックもさめてないうちに起きたこともあり,その後しばらく,英国のニュースサイトでは「鉄道の不具合」が定番ネタとなっていた。「いかにRailtrackが仕事をしていないか」が毎日のようにニュース記事になっていた。生活情報の掲示板とかでもその話題はよくネタになっていた。(この頃,本を書いていたので,英国のサイトをあちこちROMしてました。)信じがたいことに,「線路に落ち葉が積もって列車が脱線」というケースもあった。(昔の掲示板の過去ログのこのページの一番下に具体例。2000年11月。)

Railtrackは2001年10月に破産し,再国有化された。(当時の私のメモ=38番

今回棄却されたRailtrackに対するCorporate manslaughter chargesというのは,法律用語として正確に何というのかはわからないけれど,そのまま解釈すれば「企業による殺人の罪」だろう。

つまり,Railtrackが人殺し(murderではないけれど)の罪に問われていた。危険がわかっていたのに無視していたと,社長はじめ,責任者が訴えられていた。それが棄却された。嫌疑不十分ということのようだ。

けれどまだthe Health and Safety Act違反には問われている。これは確か,公共の事業をおこなう者には利用者(一般大衆)の健康と安全を守る義務がある,ということを規定した法律だと思う。(また,記憶に頼ってます。)

パディントンの1999年からハットフィールドの2000年にかけて,「英国の鉄道設備の老朽化は深刻だ」という記事をいくつも読んだ。(伊達に歴史があるわけではないらしいと思った。)

2003年1月,ロンドン地下鉄のセントラル・ラインで脱線事故が発生したときも,当初は「設備が老朽化しているのが原因かもしれない」という調子だったのは不思議ではない――実際,ロンドン地下鉄の設備は,基本的に老朽化している。

ただしセントラル・ラインが脱線したのは,最新の技術を投じたはずの新車両の設計ミスでボルとが脱落したからだった。(三菱自動車とかぶるんですけど。)

そういえばこのころからか,「設備の老朽化」みたいな話はまったく見なくなった。みんな飽きたのかもしれない。それか,それ以外にも原因がありうることがわかって「とりあえず『老朽化が原因』」っていうのにストップがかかったのかもしれない。

2003年1月に脱線したセントラル・ラインは,全線が復旧するまでに,数ヶ月かかった――2〜3ヶ月なんてもんじゃなかった。半年はかかってたと思う。
posted by nofrills at 06:40| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。