2004年11月03日

「テロ攻撃」の生存者,殺害される。

※ここしばらく,コメントにお返事ができなくてごめんなさい。※

何とも言えない気分になるほかはない記事が昨晩BBCに出ていた。(忙しかったのですぐにエントリ書けなかった。)

Soho nail bomb survivor murdered
http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/london/
3969763.stm
Soho nail bomb ――日本でも大きく報道されていたから,覚えている方もおられると思う。

ロンドンの繁華街SOHOエリアで,1999年4月,ネイル・ボムを使った爆弾テロが発生した。

当時IRAは停戦を宣言していたけれど,98年にはReal IRAが大規模爆弾テロをやっていた(Omagh bombing)ので,私は反射的に「またか!」と思った。

そしたら違った。IRAじゃなかった。

爆弾が置かれたのは,アドミラル・ダンカンという名前のパブで,そのパブのある通りは,男性のゲイが集まる店が多いことで知られている。アドミラル・ダンカンも,いわゆる「ゲイ・パブ」のひとつだった。

SOHOは(ヘテロの男性のための)のぞき部屋とか映画グッズの店とかいろいろ密集している小さなエリアで(歌舞伎町の半分もないかもしれない),表通りは劇場街,裏通りはいろいろ密集,という感じになってて,このパブのある通りはその一角だ。そして,この通りには確かにゲイのお店は多いけれど,歴史と伝統と多様性の英国では(←笑うところ)「○○だけ」,ってことはあんまりないわけで,観光客から劇場帰りの人から中華街の買い物客からレアもののレコードハンターまで,とにかくいろんな人がいつもたくさんいるエリアだ。

そんなところで,午後7時くらいに,ネイルボムが爆発した。

3人を殺し,70人あまりを負傷させた釘爆弾は,ある極右活動家がしかけたものだった。

純粋に,憎悪とホモフォビア(この「〜フォビア」は「恐怖」と訳されることも多いけれども,そんな生ぬるいものではない)による,ネイルボム。

「英国政府に告げる,アイルランドはひとつである」「英国は撤退せよ」といった,あからさまな政治的メッセージを持たず,「オカマ野郎は死にやがれ」という陰湿な政治的メッセージを持った爆弾。

それから4年半が過ぎて,このアドミラル・ダンカンの釘爆弾を生き残った人が,テムズ川沿いのサウスバンクのエリアで,惨殺された。

殺害されたデイヴィッド・モーリーさんは,99年のネイルボムのときに,アドミラル・ダンカンで働いていたバーテンダー。パブの再オープンにも尽力した人だという。

10月30日午前3時すぎ,河畔を友人と歩いていたモーリーさんは,白人と黒人,2人組の若者に襲われた。若者はモーリーさんに殴る蹴るの激しい暴行を加えた――遺体には40ヶ所もあざができていたという。Independent記事によると,内臓が損傷していて,それで亡くなったようだ。

警察の捜査官は「サウスバンクでの事件は3件起きているが,その2件がゲイを標的としている。今回所持品が強奪されてもいたが,ヘイトクライムと考える必要がある」とコメントしている。

モーリーさんたちを襲った若者2人組と一緒に若い女の子2人がいたという記述もBBC記事にあるが,カップルのダブルデートで襲撃っていうんだったら相当たち悪い。Guardianの記事にteenagersと書いてある。

犯人グループは,Independentによると6人とのことだが,モーリーとその友達を襲撃したあと,逃走しながらそこにいた人々を襲撃していった,とのこと。たった15分の間に,モーリーさんたちとは別に6人が襲われて怪我をしている。(少なくとも,シラフではなかろう。)

事件が起きたサウスバンクには,テイト・モダーンやロイヤル・フェスティヴァル・ホールなどがある(←アホみたいに画像が重い。ミレニアムのころにできたロンドンの観光事業系サイトによくあるパターン)が,有名なHeavenもこの辺りにある。

1999年は憎悪による爆弾テロ,2004年には『時計仕掛け』ばりのyouth crime……

■参考文献的位置付けのできるページ:
Outrageの記事(30 April 1999)
BBC in pictures(April 30, 1999)
List of terrorist incidents
posted by nofrills at 01:47| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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