2006年06月03日

許容されるチェ・ゲバラとは。

ロンドンの美術館・博物館の特別展で非常におもしろそうなのが続々あるらしく、私は東京でうらやましーなーとか思っている。たとえば、ナショナル・ギャラリー、この夏の「19世紀の芸術家たち」は、画家に「反逆者」(体制の外の者)というイメージがついた時代を検証するというもので、まさに現在にストレートにつながってくるテーマだ。

ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)でも、「チェ・ゲバラ展」が開かれる。
Che Guevara: Revolutionary and Icon
http://www.vam.ac.uk/exhibitions/future_exhibs/che_guevara/index.html

ところでこの展覧会のオープニング・セレモニーの招待客リストが、ちょっとした論争の元となっている。ガーディアンの記事。

Sorry Gerry. You're just not the right sort for Che's V&A party
http://arts.guardian.co.uk/news/story/0,,1788597,00.htmlオープニング・セレモニーの招待客のリストにジェリー・アダムズの名前があったのだが、結局は「彼の出席は適切ではない」としてリストから外された、ということである。

何が「適切でない」かというと、同時に行われる60年代ファッションのオープニング・セレモニーにセレブやカメラマンが集まるので、ジェリーがその場にいることが「適切でない」らしい。つまり、セレブを撮影したつもりが、後ろにGAがいたりするとよくない、とかってこと?

オフィシャルな場で許容されるRevolutionaryは、死んだRevolutionaryである、ってことかもしれない。。。とか茶化してみようと思ったのだが、はて、GAはRevolutionaryなんだろうか? 確かに明確なつながりはあると本人は何度も主張しているのだが。

わからん。私には知識がなさすぎてわからん。触発されたとかいうことは当然なのだが。

いずれにせよ、V&Aでは「政党と関係のある方のご出席はすべて取りやめていただくことになりましたので」と説明していたにもかかわらず、ケン・リヴィングストン(労働党所属、ロンドン市長)の名前はリストに載ったままということで、簡単に言えば、「あーあ、やっちゃった」である。ウソのご利用は計画的に。

そもそもなぜGAがリストに載っていたかというと、展覧会のキューレーターと昔から親交があったからだそうだ。キューレーターはゲストリストをV&Aに提出し、V&Aがそれを承認してセレモニーとなるわけだが、V&AはGAをゲストとして承認しなかった。

この件について、GAは、「政治がNGだとすれば、もしチェ・ゲバラが存命中であれば、彼は自身の写真展に入れないということになる」と皮肉っている。

また、英国のメディアであるガーディアンでは、比較的マイルドな発言が紹介されているわけだが、アイルランド・オンラインでは次のような発言が紹介されている。(太字は引用者による。)
http://breakingnews.iol.ie/news/story.asp?...
Mr Adams, who has consistently denied allegations that he is a member of the IRA's army council, said one possible reason for the Museum's decision was that it was OK to struggle against injustice, but not against British injustice.


ずいぶんと話がずれてきてしまっているが(^^;)、それはこの人の信念ゆえの部分が大きいので。。。

まあ、V&Aがゲストリストの件についていろいろ言いつくろうのは何ら驚くべきことではないのだけど、それだけではなく、あらかじめ「危険」は排除しておきたいようだ。

展覧会は英国V&Aの独自企画ではなく、メキシコからの巡回だが、その展示内容(写真に添える説明文)についても、V&Aは大幅な改変を行っているという。

ガーディアンから:
She then received an email from Shaun Cole, acting head of the contemporary programme at the V&A, who told her all guests had been approved "except Gerry Adams, who is not relevant or appropriate". Ms Ziff, already unhappy that the museum had removed much of the text accompanying and explaining the images, which has now been posted on the website instead, said: "I was gobsmacked. Inviting Gerry was not a stunt and it never occurred to me there would be a problem."


ロンドン西部のおハイソ地域にある博物館でのこの展覧会に触発された誰かが、後に「テロ」(あるいは「不正義に対する闘争」)の行為を行うことが、この博物館は怖いのかもしれない。

こうなると、だったらそもそもどうしてチェ・ゲバラ展なんか開こうとするんだって話にならざるを得ないね。

処刑から40年近く経ち、自身がオフィシャルな「アイコン」として解毒され消費されるのを見て、チェ・ゲバラは草葉の陰でこれをどう見ているだろう。ハンサムで、アイコニックな存在で芸能人ではない者――ならば、チェ・ゲバラではなく、デイヴィッド・ベッカムでよくないか? 

ああ、チェ・ゲバラがあんなに美形でなかったとしたら。

ところでチェ・ゲバラは、家族としてはスペイン系、バスク系、アイルランド系(in a family of mixed Spanish, Basque and Irish descent)。アイルランド系はおばあさんの家系らしいです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Che_Guevara

「アイリッシュ」との関連について、お父さんの発言(スラオさんで誰かがコメントに投稿していたものを検索で見つけました):
http://www.vor.ru/English/Footprints/excl_next892_eng.html
Che's father, who also went by the name of Ernesto, said that his son had running in his veins the blood of Irish rebels, Spanish conquistadors and Argentinean patriots.


ところで、GAは展覧会のセレモニーの日にはバスクでの和平協議に出ることになっていて、ゲストリストの問題がなかったとしても、どのみち出席することはできなかったそうだ。

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ネタ元はスラオさん。コメント欄で「チェ・ゲバラの先祖のアイルランド人」について、プチ討論会。
http://www.sluggerotoole.com/index.php/weblog/comments/
beware_comparisons/

http://www.sluggerotoole.com/index.php/weblog/comments/
sorry_gerry_youre_just_too_radical_for_che/
posted by nofrills at 00:09| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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