2006年05月19日

共謀罪(ちょっとだけ英国の法律関連)

医療制度関連法案の採決、それも強行採決がなされたばかりだが(リンク先はタイゾーくんの日本語の論理構造を検討しておられるブログ)、次は教育基本法か共謀罪かというところである。レイムダック小泉内閣で。まったく、政権末期ってのはあぶないあぶない。

保坂議員のブログから:
共謀罪、荒波高まる。教基法特開催は先送りへ 2006年05月18日
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/dc704ba23e6fe7c8d38fb4fb8fd86b5f
教育基本法特別委員会の開催は見送られたが、次に法務委員会理事会は異様な空気に包まれて始まった。「民主党との修正協議は続けているが、その協議が実っても実らなくても、明日の委員会日程を立てたい」と強硬な提案が与党側からあった。昨日の厚生労働委員会での強行採決を受けて、今後の日程協議には応じられないという野党の立場だが、与党側は明日の朝、9時20分理事会・9時30分委員会で2時間審議で質疑終局・採決を提案した。「明日の委員会の内容の協議は出来ない。質疑終局・採決などもっての他だ」と反発。平行線のまま、いったん休憩となった。このままだと、与党単独で法案を修正の上、採決に突入する危険性が高まってきた。


アップデート
情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士さんがトラバで知らせてくださった。朝日、18日23:45記事(まったく何て時間だ!)、与党側は「法案の審議は十分尽くした」としており、19日に採決する方針だだそうです。

共謀罪創設法案、19日採決へ
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 犯罪の企てを話し合ったとみなされただけで罰せられる「共謀罪」を創設する法案をめぐり、衆院法務委員会の理事会が18日開かれ、石原伸晃委員長は19日午後に委員会を開くことを職権で決めた。与党側は「法案の審議は十分尽くした」としており、19日に採決する方針だ。民主党との修正協議を同日昼まで続け、不調に終われば、4月末の与党修正案を取り下げた上で、与党単独で「再修正案」を提案するという。与党が強行採決に踏み切れば、民主党は19日以降、すべての国会審議を拒否する方針だ。
 ……


うはー。

あと、ヤメ記者さんが紹介しておられる法務省のプリント(としか呼びようがない)のPDFがすごいよ。
組織的な犯罪の共謀罪 〜対象となり得るケース・ならないケース

根拠も理由も何も書いていない。

たとえばね、「友人数人で代金を出し合ってCD1枚を買って、人数分コピーすることを合意」するのは、「共謀罪にはならない」のだそうですが、それはなぜか、がまったく書かれてない。この紙ペラのあとに説明のページがあるのかと思って一生懸命スクロールしちゃったじゃないのさ。

end of アップデート共謀罪について「危ないことをしそうな人たちだけに関係している」という説があるらしいが、そりゃ考え方として危ない。んなとこに座ってて安心してられるのかどうか。「危ないことをしそうな人たち」ってのは解釈に依存してる。

自分は普通に生活しているだけだから絶対大丈夫と思うかもしれないけど、法律ってのは、施行されれば、昨日までは普通だったことが今日からは違法になる、という性質のもので、しかもすべての法律についてマスコミやブログが伝えるわけでもなし、つまり把握しきれない。そういう中で「絶対」はありうるか?

それと、法律ってのは「何を」を明確にして始めて法律たりうるもんじゃないのか。(私は法律には素人だが。)

与党再修正案でもやっぱり
「組織的な犯罪集団」の定義は、「その共同の目的が犯罪を実行することにある団体」との従来の定義を変えていない。

とのことだけど、うーん、文面からは一瞬「○龍会」とか「○○組」とかいった集団のことかなと思わせられるのだけど、そうじゃないものにも使える余地がある。っていうか余地がたっぷり残されている。これってどうなんだ?

北アイルランドのテロ組織を「特定団体」として指定した英国の「2000年テロリズム法」は、Provisional IRAは「特定団体」に指定してあったのだけれど、Real IRAは指定してなかった。だから、PIRAのメンバーシップはそれだけで法廷に持ち込めて具体的な活動を阻止できたのだけれど、PIRAと同じくらいか、もしくはより凶悪な爆弾テロをやり、ロンドンをも攻撃したRIRAについては、そのメンバーであるということが仮に立証できたとしても、それだけでは法的に問うことができない、という状態にあった。少なくとも一時期は。(今はプロスクライブされてるかもしれない。。。確認しないとわからない。そして、今は確認するのが面倒。)

それ聞いたとき、間抜けな話だなと思ったんだけど、法律ってのはそういうもんだ。そうじゃないのか?

※英国での法律については以前メモしてある(英文だったりしますがごめんなさい)。昨年12月のメモだけど、その後また法整備が進んで、今じゃブレアは人権法に言及し始めている。(で、ブレアが辞めてブラウンになったらどうかというと、ブラウンもかなりのツワモノなので何とも言えん。ストローとかヘインならまだしも。)

あと、官僚のみなさんは「英米ではすでに共謀罪があり」を根拠にしているということなのだけど、やり取りを見る限りはそれについて十分によく知っているとは思えないし、よく知りもしないものを根拠にするなんてことは、はったりとか営業トークでもなければ、大人の世界ではやらない。

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「何となく合意があったっぽい」を「合意があったと思われる/疑われる」と言い換えることは、日常言語では実に簡単なことなのだけど、法律で考えるときにはそれには証拠が必要になる。文書とか第三者の証言とか。

でもこの「共謀罪」では、「目配せ」とか「まばたき」とかで「合意が成立する」という解釈もありうる、ということになっている。法務省サイドは「目配せで合意するというプロトコルのある団体ではありうる」と言っているのだけど、目配せで合意するというプロトコルほど一般的なものはない。でしょ?

「この団体は、目配せで合意するというプロトコルがある」とあっちが判断したら、こっちがどう説明しようが何しようが、ダメなのだ。

どう説明しようが何しようが、ダメってのは、英国のイミグレのデスクでひっかかって、どんだけ正直に説明しようがパスポートにハンコを押してくれない、とかいう経験のある人ならリアルにわかるだろう。そういう経験がなくても想像してくれ。ミュージカルやライヴや美術館が目当てで渡英したときに、女性で結婚してないというだけで、「おまえ、イギリスで結婚するために来たんだろう」と疑われるとかいう、不条理極まりないことが、現実にはあるのだ。

あたしゃそういうのを日常生活に持ち込みたくない。あんなのはイミグレだけでたくさんだ。

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あ、メルマガでいろいろとまとめてくれてるものがあった。
http://chechennews.org/chn/0611.htm
posted by nofrills at 00:54| i_dont_think_i_am_a_pacifist/words_at_war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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