あのさあ。……あー,茶でも淹れてこよ。……。あのさあ,「サッカー」=「紳士のスポーツ」であるとすれば,「サッカーファン」=「紳士」で,「暴徒化する一部のサッカーファン(フーリガン)」=「暴徒化する一部の紳士」ですか……暴徒化する紳士ねぇ。個人的にはお目にかかってみたいが(脳内で,ワイルドの『まじめが肝心』とかが血みどろの殴り合いに変換されています)。
あのさあ。農村の村人対抗ボール奪い合い競争だったサッカー(現地語では主にfootball)が,スポーツとして整備されたルールを持つようになったのは,それはまあ「紳士」の功績かもしれません。しかし。しかし。しかし!
あのなあ,英国で「サッカー」っつったら「(紳士ではなく)労働者階級のスポーツ」ってことは,もはや常識以前なわけ。「紳士」な方々は,サッカーなんぞには熱中せず,おラグビーだのおテニスだのおクリケットだのおポロだのをなさる。サッカーがビジネスとして成功するまでは,「私はサッカーファンです」なんてことは,女性とか,あるいはちょっと教養のある人々(大卒)とかは言わなかったわけね。(実際興味なかったんだろうけれど。)リーグが再編されて,ビジネスマンがイメージアップ戦略の限りを尽くして商業化に成功して,いつのまにか「ファッショナブル」になって,小学生の女の子がレプリカユニを着たりするようになったけれど,そうなる前は,「サッカーファン」=「頭悪い,金ない,職ない,暴れる」だったわけです。
「英国」=「紳士の国」っていうアホでバカでたわけでとろくてユルい安易な枕詞が,奇妙奇天烈トンデモ英国像を拡大再生産する。もういいかげんにしろっての。何十年同じことをやってるんだろう。
昨日の夕方のニュースがさらに噴飯ものだったのは,「紳士のスポーツであるサッカー」で集団レイプという事態に,「選手たちの,紳士にあるまじき行為」に非難が,というような解説。
プレミアの不祥事はこれが始めてじゃない。街で酔っ払って一般人をぼこぼこにした選手もいたし,レイプじゃないらしいけど怪しいパーティーに参加していたと言われてる選手もいた。
サッカー選手が「紳士」かどうか,そこらへんで英国人つかまえて訊いてみなさい。
多分,パブリックイメージとしての日本で言う野球選手と変わらない。「子供に夢を与える」模範的スポーツマンもいる一方で,常に週刊誌にネタを提供し続ける選手もいる。成功すればすごい報酬を得て,奥さんは芸能人やモデル(日本では「女子アナ」というジャンルもある)。競技の能力が第一だけど,それに加えてルックスが良ければよりいっそうの人気を呼んで,CMにも出る。人柄が良ければなお人気になる。
結局さ,「英国」っていうだけで「紳士」というレッテルを貼ってありがたがってるの。ばっかみたーい。
ブッシュが日本のマスコミでもカウボーイだの失読症だの何だのと揶揄され批判されている一方で,ブレアは騒がれないのは,ひょっとして「英国紳士」だから?とかんぐりたくもなる。
くどいですが,サッカーを紳士だ何だというのは,柔道や空手を忍者だの芸者だのと言うのと同じ。滑稽です。
んで,その集団レイプ事件(まだ「疑惑」の段階なのかな?)の件でプレスが大騒ぎの一方で,別な性的暴行事件でプレミアの選手が逮捕されたそうです。
Leeds United player arrested
http://news.bbc.co.uk/1/hi/england/west_yorkshire/3172720.stm
ついでに,リオ・ファーディナンドがEURO2004予選(対トルコ)に出られません。薬物検査(ドーピング検査)を受けなかったことが原因で,代表に入れないからだそうです。(本人は「他意はない。忘れてた」というようなことを言ってるみたいです。)