2005年05月08日

George Galloway's acceptance speech

2005年5月6日早朝(ロンドン時間)、ロンドン、バラ・オヴ・タワーハムレッツ――選挙結果の発表の手続きに従って、他の候補者の名前と得票数が順次読み上げられる。そのたびに支持者の歓声や拍手が起きる。最後に残ったのがジョージ・ギャロウェイ(レスペクト)とウーナ・キング(労働党)。

George Galloway, RESPECT, fifteen-thousand, eight-hundred and one.

一際大きな歓声と拍手。


Oona King, a Labour party candidate, fourteen-thousand, nine-hundred and seventy eight.

fourteenが読み上げられた瞬間に、さらに一際大きな歓声、そしてブーイング。壇上では、fourteenが読み上げられた瞬間に、ウーナの顔がこわばる。次の瞬間、彼女はちょっと笑う。そして隣のギャロウェイを見、ギャロウェイが差し出した右手を、しっかりと握る。

委員長が無効票の数を読み上げ、そして

And I hereby declare that George Galloway is duely elected as the member of the parliament, from Bethnal Green and Bow constituency.

と宣言する。

歓声とブーイングの中、ギャロウェイは隣の候補や委員長と握手をしながら演台へと進み出る。そして演説を始める。ギャロウェイの力強い、スコティッシュ・アクセントの声が、マイクを通して響く。

Mister Blair, this is for Iraq.

This defeat that you have suffered and all the other defeats that New Labour has suffered this evening is for Iraq.

All the people you killed, all the lies you told have come back to haunt you.

And the best thing the Labour party could do, is sack you, tomorrow morning as soon as they get back, for what.

演説はこのあと、「票の確定までにこんなにも時間がかかったのはなぜか」(<数え直しをしていたと思われる。郵便投票でのゴースト投票問題が、ベスナル・グリーン&ボーでは発生していた)「こんなにも投票率が低かったのはなぜか」といったことへと続き、「タワーハムレッツは腐敗した政治カルチャーに染まっているからだ」――ここで拍手が起きる。「私たちの活動は、この政治カルチャーの腐敗を一掃する新品の箒となる」。(この件については、RESPECTのサイトに詳しい。)

Oona King boasted she was going to finish me off. But let me be kinder to her than she was to me, I have not finished her off. Oona King is a able person who will be back in politics and in paliament, and the defeat was not her defeat this evening. It was a defeat for Tony Blair, and the New Labour.

And I would like to thank on behalf of every one. Oona King for the eight years she has spent as a member of parliament of this constituency and I wish her well.

そして「みなさんに感謝する。しかしタワーハムレッツのマネジメントには感謝しない。この選挙はあまりにも多くの不正がありすぎた。恥辱である」といったことを述べ、「私に投票してくださった皆さんに感謝を」と続く。

Thank you very much to all those who voted me. In this London, a new political power was born, ***** 20 per cent the next door, East Ham and West Ham, RESPECT have come second, with 20 and 24 per cent respectively, ***** the vote, spreading throughout East London against the betrayal of the New Labour, and you ain't seeing nothing yet.

――この演説は、BBCの記事から、 VIDEO AND AUDIO Election highlights (右側のコラムにあります)をクリックし、Gallowayを選ぶことで、映像つきで聞くことができます。

※一部、どうしても聞き取れなかったところを*****で示してあります。聞き取れる方、教えていただけると幸いです。

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私はBBCラジオ5で開票速報を聞いていたのだが、注目選挙区に限り、「名前と得票数の読み上げ→当選者の演説」がノーカット・中断なしで中継されていた。

私が聞いたことを覚えている選挙区は、ブラックバーン(ジャック・ストローの選挙区)、セッジフィールド(ブレアの選挙区)、フォークストン&ハイス(マイケル・ハワードの選挙区)、パットニー(保守党のキー選挙区:ロンドン:LabからConに議席が移った)などだが、その中のひとつが、ベスナル・グリーン&ボー(ロンドン)。反戦・反ブレアのジョージ・ギャロウェイが、現職の労働党候補を破って制した選挙区だ。

事前、ギャロウェイが当選するという予想は、支持者によるものを除いては、ほとんどなかった。というか、私は見た記憶がない。

「ギャロウェイがリード」の一報が流れてから、BBCが「当選確実」のような表現を使うまでに1時間以上、「当選確実」のような表現を使ってから、上述の「読み上げ→演説」の儀式が行なわれるまでに数時間……英国では夜中の3時を軽く過ぎてからだったので、英国の人たちはリアルタイムでは聞けなかったかもしれない。

それを私は、東京で、ネットでBBCラジオを聞きながら、生で聞いた。

「よってジョージ・ギャロウェイ氏がベスナル・グリーン&ボーの代表者となりました」という選挙委員長の宣言を聞いたときは、思わずガッツポーズっす。

それに続いて、ギャロウェイの、あの力強い、スコットランドのアクセントが聞こえてきたとき……泣いたね。マジで泣いた。反射的に涙が出た。感動したとかではなく、もうとにかく、泣くしか反応できなかった。ことばで表現するとすれば「男泣き」が近いと思う。

Mister Blair, this is for Iraq.

「ミスター・ブレア」で胸が詰まって、「これはイラクのため」で涙が出てきた。

イラクに関しては、私は何も特別なことはしてない。イラクに行ったこともないし、ほんとに何もしてない。ただ、英語で書かれたものをがさがさと読み、うちの一部を日本語にしてきただけだ。

そうしながら、自分が加害者のサイドにいるということを前提として、何をどうしたらいいのか、みたいなことを、ちょっとだけ模索してきた。それが現在、実のところ、私の中で行き詰まっている。あまりにどうにもならないことが多すぎる。

それが涙になってあふれたんだと思う。

This defeat that you have suffered and all the other defeats New Labour has suffered this evening is for Iraq.

の、最後の、たっぷりと発音されるfor Iraqで、いろんなことが頭をぐるっとして、

All the people you killed, all the lies you told have come back to haunt you.

の主格のyou2つが、そのたっぷりと発音される冷たいyouが、はっきりと聞こえてきて、私はしばらく泣いていた。

ベスナル・グリーンは私は知らない場所じゃない。っつか、5週間だけだけど住んでたところの近くだ。都心に出るときはほとんど毎日ベスナル・グリーンの駅を使っていた。

だからあの地域のことを、私は一応だけど、知っている。おいしいベーグル屋がある。カレーレストランだけが並ぶ通りがある。昔ながらのgreasy cafeがある。白人がやってるストールが通りに並ぶ。コックニーが聞こえる。ひどくみすぼらしい服を着た南アジア系の風貌の青年が、ひどくみすぼらしい中古衣料を地べたに広げて売っている。カメラを持った人間には敵意のまなざしが集中する。「ハラル」と書かれた看板がある。黒いアバヤを着た女性たちがストールで野菜を選んでいる。半分壊れたままの建物の壁に、雑草が生えている。歩道が陥没したままになっている。通りを進むにつれて、街もめまぐるしく変わる。そういう地域だ。

それは、バグダードとどう違うのだろう? バスラとどう違うのだろう?

そして英国の首相はブレアで、米国の大統領はブッシュだ。

泣くことでしか反応ができない。
posted by nofrills at 06:43| todays_news_from_uk/electionday2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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