2004年11月05日

Daily Mirrorの表紙(11月4日)。

04_November_DailyMirror_frontpage

■語句解説:
マジですか! ダブヤがあと4年
59,054,087人がここまでアホって
一体どうなっちゃってるわけ?
米国の選挙 むちゃくちゃな結果:2面,4面,5面……昨日,打ち合わせの帰り,駅売店に「ブッシュが再選/世界が落胆」というような夕刊紙のポスター(っていうのかな?)があった。黒地にでっかく黄色い文字で。

打ち合わせは普通に仕事の打ち合わせで,かくかくしかじかの問題があり,我々はそれにどう対処すべきであるか,というようなものだった。選択肢はいくつかあり,諸条件に照らして,その中でベストなものを選べばいい。「では,明日以降改めてご連絡を」で終わるたぐいのもの。

明日があるからこういうふうに進められる。

先方のオフィス近くの商店街は,いつもとまったく変わりなく,平凡で幸せな買い物客で賑わっていた。

ふらっと入った食料品店のレジのところで,インド亜大陸の系統の容貌をした痩せた人が,レジの人に英語で何かを尋ねていて,レジの人が「あーこれは英語でなんていうのかしらー」と困っていたので,飛び入りで通訳してきた。

その痩せた人は「ノー・ミート,ノー・エッグ」と言うので,「ヴェジタリアン?」と聞いたら,なんか,ああ,わかってくれる人が東京にもいた!というような顔で,「イエーース」と答えた。ミルクは大丈夫だというので,その人はアルファベット・チョコレートは買えた。「サンキュー」のインド風の発音を,ひさしぶりに聞いた。その人はとてもうれしそうだった。

インド亜大陸には行ったことないけど,完全にヴェジタリアンという人に向けた商品も普通にあると思う(そういう教えの宗派があるので)。英国だと,スーパーマーケットで「ヴェジタリアン」を表す「V」のついた商品を選ぶことができる。

日本ではそれができない。

自分たちの「当たり前」ができないいらだちは,私にもちょっとはわかる。

自分の会計のときにレジの人に大変ですねと声をかけたら,「いろんな国の人が来ますからねぇ」と笑っていらした。レジの人は会計をしたビスケットの袋を渡しながら,「すんません,ありがとうございました」と笑った。

仕事でつながってる人の「ありがとう」もうれしいものだけれど,まったく関係のない人,ただたまたま同じ場所を短時間共有することになっただけの人の「ありがとう」はもっとうれしい。仕事の「ありがとう」関係は,自分がこのまま食っていけるかどうかっていう自己生存のかかった生々しい話でもあるが,通りすがりの「ありがとう」関係は,単なる感謝。人間としてのもの。

そんなような,別にどうってことはないことを感じつつ,ずっと,ここでは爆弾が落ちてくる心配は誰もしてないんだろうな,と感じていた。

ブルドーザで家を壊される心配も,「テロリストの隠れ家だから」といって近所に爆弾が落とされる心配も,「占領軍の戦車がいるから」といって近所に爆発物がしかけられる心配も,銃弾や爆弾やミサイルで自分や自分の知ってる人が殺される心配も,しなくていいからしてない。

いきなり拉致されて身代金を要求される可能性はあることはあるけれど(そして気の毒なことに最悪の結末になることもあるけれど),自分が拉致されることを心配して東京のどこかの街を歩くことは,私にはない。ましてや,いきなり拉致されて,何らかの交渉のカードとして使われることなど,自分のことにはなり得ない。

わりと最近,「ダブヤ」ことGWBは,The world is safer nowと言っていた。

saferとは何か。そしてこの男の言うthe worldというのはどこのことか。

この男はファルージャからの手紙を読んだのだろうか。

ブレアは「ブッシュ大統領再選」をネタに,国会でブリティッシュ・ユーモアを炸裂させていた。

「ブリティッシュ・ユーモア」はたいがいこういう残忍さがあるからそのことでは怒りは覚えない。ブレアの場合,自分の立場がかかっている(ブッシュ再選であってもイラク戦争支持の責任追及は終わらないし,ブッシュが落選すれば次の選挙にはまず勝てなくなる)から,そういう意味では自虐的ですらある。

しかし,この男が,自分のconvictionとやらが元になって流された血のことをまったく考慮していないことには,心底怒りを覚え続けている。

失敗したときに,失敗から教訓を学べない奴は,英国ではバカだと言われる(英国でなくてもそうだが,あえてステレオタイプを用いる)。失敗したときに,「次は必ず」とanother chanceを求めることは,米国では普通のようだ。

こいつらの(ブッシュとブレアの)「失敗」は,another chanceが許されてよい性質の「失敗」ではない――んなものを許したら,余計に悪くなるだけだ……世界が。米国や英国の問題じゃない,世界の問題だ。

そしてそれに何もできない人々は,何かできた人々よりも,ずっとずっと多い。

デイリー・ミラーは「59,054,087人がここまでアホって一体どうなっちゃってるわけ?」と書くが,本当の問題はそこではない。

x,000,000,000人に何らかの影響を与えるようなことが,59,054,087人によって決められてしまっているということだ。これがユニラテラリズムだ。だからそのようなものを許してはならなかったのだ。

既にそのユニラテラルな国との「同盟関係なしにはやっていけない」からといって,“我が国”がそれを「支持する」この現実。

ブッシュ勝利が伝えられつつあったときにネットで読んだ粘着米国人の書いたFace the realityというコメント。

気分が悪いったらありゃしない。

帰りの電車はちょっと混んでいて,となりに立っていた人の読んでた雑誌の誌面が視界に入っても,それから目を離すために移動することも向き直ることも難しかった。

その人が読んでた雑誌の記事は,「香田証生さん ○歳年上の恋人に誓った……(←何とか)」とかいうものだった。

この期に及んで「○歳年上の恋人」という言辞が当たり前のように使われていること自体に嫌悪感を覚えつつ(そんなに珍しいかね,年上の恋人が),その記事から目を逸らすことも物理的にできず,私は「目に入る文字列を認識しない」ということを試みた。私にとってはかなりの苦行だった。自分のわかる言語で綴られた文字列を認識しないでいることは,こんなにもつらい。

なのでこれ以上語学は勉強しないことにした。(違。元々できないだけ。)

↓はDaily Mirror5日付けのウェブサイトのトップページから。上からPaul Routridgeの激烈記事,BusinessとBushinessをかけた記事,サッカー版Band Aidのような話,カイリーのゴシップ。Mirrorのロゴの上に英軍初の自爆攻撃による死者の記事(←これがトップ記事)。

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posted by nofrills at 21:22| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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