2004年06月20日

Troops Out Movement 〜アイルランド,ケニア,クロムウェル

いそがしーので何かの調べもののついでにしかニュース記事が読めない。それでも読むべきものには出くわすことになってるらしい。

英国(と書くことにこれまでにないほどの抵抗感を最近覚えるようになっているので困る)にTroops Out Movementという運動組織がある。「英軍は占領地から出ていけ」だ。今年で発足からまる30年。「占領地」とはもちろんイラクじゃない。アイルランドの北の一角だ。そのTroops Out Movementが30周年を記念して,設立者が書いたOliver's Armyという本を毎月1章づつウェブで読めるように公開している。

1月からやっていたそうだが,私は今までこんな企画があるとは知らなかったので,6章からしか読めない。無念だ。(サイトに「本book」って書いてあるけど,紙で出版はされてないらしいのよね,まだ。来年になったら出るのかなあ……出してほしいなあ。ちょっと問い合わせをしてみようか。)

Oliver's Armyの概略紹介のページ
↑これだけでも中身濃い。

その月に公開されるOliver's Armyの章
今月(6月15日〜7月14日)は,CHAPTER SIX The Myth of ‘Mau Mau’- State Murder in Kenya だ。ワタシ的にはのっけから強烈なものに当たってしまったっていうかそういう気分。長いのでまだ全部は読めていない。

タイトルのOliver's ArmyのOliverは,オリヴァー・クロムウェルのことだ。クロムウェルはアイルランド侵略で情け容赦のない大虐殺を行った。また,アイルランド人を強制移住させた土地にスコットランドの長老派の入植地を作り,今に至る「北アイルランド問題」を引き起こした。

Troops Out Movementの設立者で,Oliver's Armyの著者のAly Renwickさんは,若い頃に英軍に入って,ヴェトナム戦争のときにはタイに配属されていて,英国人の「警護」をする現地人民兵が現地の人々にひどい扱いをしているのを見た。1968年,つまりあのthe Troublesの時代には,北アイルランドに配属された。その辺りのことはOliver's Armyの紹介ページに詳しい。ひとことでまとめれば,英軍での経験からRenwickさんはanti-army(anti-war以上だ)になった。

ちょっと引用:
"If you look at the counter-insurgency strategy of the British, and this goes back to the United Irishmen, one of the things they always do is try to draw the radical element into a premature insurgency. Then they can throw in their superior forces and try to smash it before it has properly started."
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This tactic, he adds, also allows the state to level the charge of 'terrorism' at the resistance and its leadership and provides the necessary political cover it needs to introduce political and military repression in the hope of suffocating independence movements at birth.
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"They did that against the United Irishmen and they did it in the colonial wars," says Renwick. "There is a theory about Bloody Sunday that the Paras were trying draw the IRA into a firefight on the day. That may well have been part of it, but I think it was part of a wider strategy to provoke the IRA into premature action. The Paras had also carried out a number of other operations at that time, and I am sure that is what they were trying to do."


要するに,反英闘争の兆しが見えたら,そのグループにスパイを送りこんで過激なことを始めさせる。そしてその「過激な行動」ゆえに,彼らを「テロリスト」とする。自作自演の極致だ。昨年ニュースになったIRA潜入工作員(英軍か英内務省かMI5のどれだか忘れてしまったが,そのどれかが派遣した)は,実際,かなり過激な煽動をしていたと,どっかの記事に書いてあったように思う。

"Suddenly, this 'terrorist' was in Downing Street negotiating with the government. The politicians can change just like that, because for them it's just about gaining an advantage. But the soldiers and security forces really do believe the propaganda and they can't just switch."


これはケニアのマウマウ団のジョモ・ケニヤッタについて書かれた一節。「テロリスト」のケニヤッタが,ある日突然「交渉相手」としてダウニング・ストリートに招かれた。これについてRenwickさんは「政治家は常に何が利益になるのかで動くんだからそんなもんだ。だが軍人は(政治家が作った)プロパガンダを心底信じているから,そんなにころっと変われない」と言う。

同じようなことは,ぱっと思いつくだけで例えばジェリー・アダムズ。例えばリビアのカダフィ大佐。逆のパターンはサダム・フセインか。利用したいように利用される指導者たち。まあ利用される側にも計算はあるだろう。だけどそんなキツネとタヌキの化かしあいに,一般の人々が巻き込まれるのはなあ。

っていうか,「民主政治(デモクラシー)」であるからには,「一般人たち(people:日本ではしばしば『国民』と翻訳される)の意思」で決まらなければならないので,既に決まっていることでも,それが「一般人の意思」で決まったかのような形を与えなければならない。

ま,「年金制度改革法案強行採決」だとかこないだ(一昨日か?)の「多国籍軍参加」に至っては,形式を整える手続きすらサボってて,もはやデモクラシーとは言えない感じだけど。

フランス革命が達成した偉業のひとつは「国民主権」だと,私は高校の世界史(学校では受験用暗記科目っていう扱いだった)で覚えた。それは,誰も能動的に選択することのできない「国王」「王族」や「貴族」が国を動かすのではなく,「普通の人々」がその時々で選択しつつ国を動かすのだ,ってことだったはずだ。でも実際は,フランス革命から200年以上が経過してみると,「国王」だの何だのが,利権とか大なんちゃら構想とかででぐるぐるがんじがらめになった「職業政治家」に交替しただけに見えるような気がする。
posted by nofrills at 18:10| todays_news_from_uk/northern_ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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