2005年06月30日

Live8について。

もうそろそろG8サミット@スコットランドですね。

それに合わせたボブ・ゲルドフのLive8も今週末です。一般論として,音楽イベントとしては楽しめるものになりそうですね。ピンク・フロイドも再結成されるし。今後,Live8についてここでは特に書かないと思います。単に,そうする時間がないので。

Live8の大元となったLiveAidは,私が高校生のときのことだったのですが,「誰それが歌ってる」とかいった点での関心は引き立てられたけれど,あれがあったからといってアフリカへの関心が高まったか,知ろうとする気になったかっていうと,NOです。

というか,アフリカについては,LiveAidより圧倒的に黒柳徹子。

LiveAidの曲(Do They Know it's Christmas)は英語だったから,当時の私にはメッセージがストレートに伝わってこなかったってのもあるけど(Feed the worldっていうコーラス部分を聞いて,「犬に餌をやるのもfeedで,人間に食料を届かせるのもfeedなのか」という,言語面でのショックは受けましたけれど),参加して歌ってるミュージシャンの中には「捕鯨反対,鯨がかわいそうだから」みたいなことを別のところで言ってる人もいて,この人たちはどこまで本気で考えてるんだろ,ってのが非常に疑問に思えたってのもあり,ま,複雑。。。

でも,ゲルドフみたいに「とにかく金を集めなければ」ということで著名人が集合するというのは,それ自体は,ネガティヴなことではないと思います。

ただ,Live8を複雑なものにしているのは――少なくとも私にとっては――特にBONOの行動。具体的には下記URLを参照。
http://www.labour.org.uk/index.php?id=news&ux_news_id=ac04bono

端的にまとめると,昨年9月の労働党大会でのスピーチで,「83年にステージで白旗をぶん回していた自分」を笑いをとるために(<多分)導入部で言及しつつ,LiveAid以降のエチオピアと自分との関わりについて述べ,アフリカ最貧国について述べ,そして労働党をヨイショしまくり,挙句にトニー・ブレアとゴードン・ブラウンのことを「グローバルな開発におけるジョンとポール」と呼んだ――原文ではThey are kind of the John and Paul of the global development stage, in my opinion。「ジョンとポール」はもちろんビートルズのジョン・レノンとポール・マッカートニーだが,熱烈なキリスト者であるBONOにとっては,特に,同様に熱烈なキリスト者であるブレアにとっては,同時に「ヨハネとパウロ」の意味でもあるわけで。

BONOが「政権に食い込む」ことを選択していることは何年も前から周知の事実だけど(例えばシラクとの2ショット写真とかね),この演説は「イヤミで言ってる」「ゴマをすっている」のでない限りは――そしてそうではなくどうも本気らしいということは後からのいくつかの情報でわかったのだが――simply disgustingとしか言いようがない。何がdisgustingかというと,その言葉に他ならない。この,労働党大会での演説は,全文を通して読むのが苦痛なほどです。

その後については……今年6月のCSモニターの記事が要領よくまとまっていると思います。

そして,Live8への批判としては……
The two musicians are genuinely committed to the cause of poverty reduction. They have helped secure aid and debt relief packages worth billions of dollars. They have helped to keep the issue of global poverty on the political agenda. They have mobilised people all over the world. These are astonishing achievements, and it would be stupid to disregard them.
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The problem is that they have assumed the role of arbiters: of determining on our behalf whether the leaders of the G8 nations should be congratulated or condemned for the decisions they make. They are not qualified to do so, and I fear that they will sell us down the river.
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Take their response to the debt relief package for the world’s poorest countries that the G7 finance ministers announced ten days ago. Anyone with a grasp of development politics who had read and understood the ministers' statement could see that the conditions it contains -- enforced liberalisation and privatisation -- are as onerous as the debts it relieves.(4) But Bob Geldof praised it as "a victory for the millions of people in the campaigns around the world", (5) and Bono pronounced it "a little piece of history." (6) Like many of those -- especially the African campaigners I know -- who have been trying to highlight the harm done by such conditions, I feel betrayed by these statements. Bono and Geldof have made our job more difficult.
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I understand the game they're playing. They believe that praising the world's most powerful men is more persuasive than criticising them. The problem is that in doing so they turn the political campaign developed by the global justice movement into a philanthropic one. They urge the G8 leaders to do more to help the poor. But they say nothing about ceasing to do harm.
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--George Monbiot

※英ガーディアンに掲載された記事です。


"a victory for the millions of people in the campaigns around the world"とか,"a little piece of history."とか,本気で言ってるんだとしたら,情熱だけで動いてるんだろうなとしか思えないんですが。

さて,Live8だけでなくmake poverty historyというプロジェクトも進められているのですが,これに対し,history makes povertyという言葉遊びで反応している人たちもいたりするわけです。でもhistory makes povertyってのは,特に19世紀後半の「西欧列強によるアフリカ分割」を,高校の世界史で習った程度でも,十二分にわかること。その後ずっと飛んで20世紀後半には,西欧では「かわいそうなあの人たちを私たちは助けなければ」的動きが起きて,今に至るって感じでしょうか。。。

アフリカで現地のミュージシャンと一緒に音楽製作をしたりしているDamon Albarn (Blur) は,Live8に出るミュージシャンが白人がほとんどであることについて,「本気でアフリカを理解しようっていう気がないんじゃないの」と批判。(←BBCに記事がありました。検索してみてください。)非常にまっとうな視点だと思います。

※これを受けてLive8側が「Live8とは別枠でアフリカンのミュージシャンによるイベントをやります」ということを発表したのには爆笑。デイモンが言ってるのはそういうことじゃない。「かわいそうな人たちを私たちが助ける」の構図で世界を見ていては,いつまで経っても同じだってこと。それを訴える形のイベントにしなくて,何が「政府に圧力」だ,ちゃんちゃら可笑しい,ってことでしょ。

ま,貧困撲滅を叫んで「グローバルな規模の債務免除を」と言うより前に,英国はアフリカへの武器輸出を見直せと言うべき,ということは私も思います,強く。英国などがスーダンに輸出した武器は,民兵によって住民の殺戮に使用されているというし→AI報告書(……う〜ん,以前このウェブログでダルフールで使われている手錠のメーカーが英国企業だということとかを調べて書いた記憶があるのだけど,記事が見つからないです)。

ただゲルドフもBONOも,英国人じゃなくてアイルランド人だからね……(非常にシニカルな言い方をすれば,英国の音楽産業が「商品」にすることに成功したアイルランド人)。軍事産業についての発言は,あらかじめ封じられていると思われるかも? アイルランドも,中立国だけど,武器産業はあるからね。(主に輸出しているらしい。)

それと,今アフリカの人道上の危機について本気で考えるのであれば,どうしてG8サミットでAIDSが俎上に乗らないのかも激しく疑問。

先進国ではもはや必ずしも「死の病」ではなくなりつつあるAIDSが,アフリカでは確実に「死の病」,そんな状態で,有名どころが集まってお歌歌って,アウェアネスも何もないでしょ。

というわけで,単なる音楽イベントと認識しておくことにします。そこで集められた金がどう機能するのかは,……。

つい最近も「地球温暖化は人類にとっての危機→温室効果ガスを削減しなければ→原子力エネルギー推進」と流れた例を,「セラフィールドでのものすごい量の溶液漏れ」の報道が異様に手薄だったという実例に関連して見たばかりだ。

善意や正義感が政治によってどういう方向に導かれるか――Live8はそこまで考えてなさそうだけどね,表から見える部分では。

英国の人のウェブログ,LENIN'S TOMBさんに非常に興味深い記事があるので,ちょっと引用してリンクをしておきます。
Tuesday, June 28, 2005, Making Politics History
This in itself is much more disturbing than the absence of African acts booked for Live 8, much derided by Andy Kershaw. But what about the almost total lack of involvement of African social movements? Kofi Maluwi Klu, a Ghanaian activist, notes that "We have a saying in the African liberation movement, 'nothing about us, without us'". Walden Bello's NGO Focus on the Global South has been scathing about Oxfam's political sell-outs and the absence of politics at the heart of the MPH campaign. They note the closeness of MPH's stated goals to those of the British government, and wonder why MPH is devoted to lobbying to G8 when the point is to undermine its legitimacy and act against it.
posted by nofrills at 11:40| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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