2004年10月25日

スコットランドのグラスゴー大学のメディア・グループのリーダーのインタビュー記事(勝手に日本語化)。

electronic intifadaのヘッドライン配信から,"A failure by the Western media"という記事をクリックしてみたら,今度買おうと予定している本の著者とのインタビュー記事だった。

スコットランドのグラスゴー大学のMedia Groupが行なった調査をまとめたもので,"Bad News From Israel"という本。実は私は7月に「これは読まねば」と書いている

でまあ,EIの記事を一読し,ああ早く買わなきゃ,と。で,EIのページにamazon.com(←米国の)へのリンクがあったので,手っ取り早くISBNを調べようとクリックしたら「同じテーマの商品をさがす」のページで……ああ,案の定「★☆☆☆☆」かよ,ったく。

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ところが! 商品の個別のページでは「★★★/★☆/☆☆」(星3つ半)なんだよね。

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すとれ〜んじ,すとれ〜んじ,すとれ〜んじ。というわけで,腱鞘炎にもめげず,EIの記事の日本語化を決定,即決行。左手が3本指状態(薬指と小指をテーピングして使用停止中)なので意味不明のタイプのミスとかあるかもしれないけれど,気付いた方はコメント欄でご指摘ください。

ちなみに,この書籍はamazon.co.jpでは「2004/10/30」発売になってて,現在は予約受付中とのこと。USのアマゾンに掲載されているのとISBNは同じだけどページ数が違う。価格は1948円で出てます。

では,記事をどうぞ。

なお,【〜】は私の補記です。

「西洋のメディアの怠慢」
"A failure by the Western media"
Interview, Palestine Report, 21 October 2004
http://electronicintifada.net/v2/article3250.shtml

Palestine Reportによる英スコットランドのグラスゴー大学社会学教授のGreg Philoへのインタビュー記事。Philo教授は新著,"Bad News From Israel"を出版したところである。

PR: ご著書の"Bad News From Israel"についてうかがいます。どのようなことが書かれている本なのでしょうか。

Philo: この本は,(欧州や米国の)公的知識(public knowledge)に中心を置いた,非常に長期にわたった調査研究に基づいています。調査対象の全員がこの紛争についてのニュースを見たことがありました。彼らはニュースを覚えていたし,どんなことを見たのかを口で説明することもできました。しかし,調査の結果わかったのは,紛争の起源や原因について理解していたのは,圧倒的に少数である,ということでした。それが私たちの得た初期結果のひとつでした。また,とりわけ若い人たち,社会科学の学生で,しかも非常に優秀な大学の学生ですが,彼らが(紛争の歴史について)ほとんど何も知らない,ということを発見しました。例えばパレスチナ難民がどこから来たのかという質問をしたのですが,それが一体何であるのかを少しでも知っていたのは,ごく少数でした。グループ内でのディスカッションの段階で,私たちがイスラエルが創造されたのは最近のことなのだと,つまり1948年に建国されたのだと言うと,みな驚いていました。大半は,イスラエルという国家は聖書の時代から続いてきたと思っていました。

PR: 西洋においてこんなにも理解が欠如していることについて,誰に責任があるのでしょうか。

Philo: 西洋のメディアの怠慢があったことは疑いの余地がありませんね。これは英国と米国,そしてそれぞれの政府の近さが原因です。米国ではイスラエルへの支持は非常に強い。米国の議会はイスラエルに対して好意的な傾向があり,議会においては批判されるのはパレスチナ人であってイスラエル人ではありません。そしてここ英国では,ニュースを見ていると,米国の政治家が,それもイスラエルの大義に非常に深く関わっている政治家が多いのですが,中立的な専門家として,あるいはただ単に政治家として,インタビューされています。ということは,英米のこの近さというものは,米国の視点,すなわちイスラエルの視点に寄るという効果があるわけです。また,例えば,米国の政治家がこの話題についてインタビューされる回数は,英国の政治家の2倍である,ということもわかりました。これは影響力があります。中東報道全体の傾向に影響を及ぼします。英国のメディアは,自分たちが一般大衆に知らせるために何をしているのかを厳しく見なければなりません。というのは,両者の視点を知ることのできる適切な情報や充分な議論がなければ,解決に向かって動くことなどできないからです。

PR: 英国のジャーナリストたちは,この紛争についてある一定の政治的方針を報道するよう,圧力をかけられているのでしょうか。

Philo: 〔英国〕のジャーナリストたちには大きな圧力がかけられています。イスラエルを批判していると受け取られるようなことをすれば,苦情や攻撃が殺到することもよくあります。例えばジャーナリストのジョン・ピルジャーは,『パレスチナはまだ終わっていない(Palestine is Still the Issue)』というドキュメンタリーを発表した後,4000通のメールを受け取りました――その多くが批判的なものでした。これらの苦情については調査(inquiry)が行なわれ,ピルジャーは自身の番組について,2万語の弁明書を書くことを余儀なくされました。それから寄せられたメールすべてを読まなければなりませんでしたが,それには6週間かかりました。そして,メールのうちの多くが米国からのものだということがわかったのです――米国ではそのドキュメンタリー番組は放映されてもいなかったのに。これは,ジャーナリストたちにとって多くの問題を引き起こす組織化されたロビィです。ジャーナリストなら誰でも言われなくても知っているような基本的なルールに,パレスチナ人について批判的なことを言っても別に大したことにはならないが,イスラエル人について批判的なことを言えば,屋根が落ちてくるような目にあう,ということがあります。そしてそのために,彼ら〔ジャーナリスト〕たちがすることは日常的に縛られているのです。

PR: ご著書ではイスラエルのメディアについても触れられていますね。どのようなことがおわかりになりましたか。

Philo: どのような視点なら可能なのか,その範囲を証明するために,イスラエルのメディアを見ました。本にも書かれていますが,わかったことのひとつに,BBCよりもイスラエルのメディアの方が議論の幅が広い,ということです。これは極めて異常なことです。イスラエルよりもこの国での方が,実際に機能している制約が多い,ということですから。また,紛争の性質に関して,イスラエルでは非常に幅広い議論が行なわれていることも,BBCではまず見聞きしないような,非常に深い批判的分析があることも,本に書いてあります。BBCではなく他のメディア,おそらくガーディアンかインディペンデントならあるような記事かもしれませんが,BBCにはそのような種類の分析はありません。ところで,私がBBCと言うのは,英国で多くの人たちが見ている普通のテレビ放送のBBCのことですので,そこは誤解のないようはっきりと述べておきます。

PR: 失敗に終わった2000年のキャンプ・デイヴィッド会談,バラク首相とアラファト議長の会談と,それに続いた第2次インティファーダの勃発についても言及されていますね。これはどのように報道されていたのでしょうか。

Philo: ロンドン発のニュースの中には,すべてアラファトがかき立てたのだという見解が,もちろんありました。アラファトが和平に背を向けたのだというものです。そのような感じでしたから,パレスチナ人がある種の金色の提案を拒絶したのだというのが,正説(the orthodoxy)になりました。多くの人が,例えばエドワード・サイードのような人が,第2次インティファーダは少なくとも,イスラエル人に対するものであるのと同程度に,アラファトに対するものであると論じました。アラファトの政策は【イスラエルの非合法な】入植地を認めてしまうものである,和平プロセスはイスラエル人が団結し,より多くの土地を接収することを認めてしまうもので,アラファトはそれに乗じている,それが,事実,【第2次】インティファーダの背景にあったのです。しかしこういった主張が表面に出てきたのは,後になってからでした。その理由のひとつには,パレスチナ人は自分たちの主張を伝えることがあまり上手ではないということがありますが,もうひとつの理由は,アラファト自身がこの和平プロセスとその構成要素に極めて深く関わっていた,ということです。

この本が出てから,多くのジャーナリストが私に対し,パレスチナ人はオルタナティヴな見解を与えてはいないと苦情を言ってきました。私は,問題のひとつはあなたがたが確立された指導者のところにしか行かないことだ,と言いました。街でインタビューした数は極めて小さく,そこからははっきりと,何かほかのことが起きているのだと見て取ることができます。つまり,アラファトは役立たずだとかいった類の強い意見のあるパレスチナ人がいる,ということで,そのことは,人々の広汎な蜂起を示しているのです。

この記事は2004年10月20日にPalestine Reportによって公表されたものです(http://www.palestinereport.org/参照)。今週は,この他に,PR explores the phenomenon of early marriageやinvestigates a spitting incident in Jerusalem's Old Cityといった記事があります。

-----記事ここまで----

http://www.palestinereport.org/は東エルサレムに拠点のある独立系(だと思う)メディア。年間購読をしないと全部は読めませんが,毎週の「ピックアップ記事」は,購読してなくても読めるものがあります。

パレスチナについては,日本でも大きく報道されたように,今年3月にハマスの精神的指導者ヤシン師がミサイルで暗殺され,翌4月にはその後継者のランティシ氏も同様に暗殺されました。5月にガザ地区に対し「オペレーション・レインボー」なる大規模な侵攻があり,平和的デモ隊に向けてミサイル攻撃が為されて60人余りが死傷したことも,大きく報道されていたと思います。その後もイスラエル軍による攻撃は止まらず,9月28日からはガザの北部に大規模な侵攻があり,特にジャバリヤ難民キャンプ(難民となった人々の居住区)に対してはものすごい破壊行為が為されています。

ジャバリヤの難民キャンプにある幼稚園も大きな被害を受け,この幼稚園で栄養改善事業をしてこられたJVCさんで,この幼稚園の被害状況の報告と,緊急支援の呼びかけをなさっています(JVC=日本国際ボランティアセンター)。

また,パレスチナ情報センターさんの,Staff Noteの10月18・19日に,『コラボレイター』というイスラエル映画についての記述があります(早尾貴紀さんによる)。私はこの映画はもちろん見ることはできていませんが,「彼らも自分たちと同じ人間なのだ」という“ヒューマニズム”としての描き方については,私自身,ここしばらく非常に気にかかっていることと少し重なる部分が感じられます。

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余談ですが,"Bad News From Israel"のamazon.co.ukでのカスタマー・レビューは「星4つ半」,全部で7件で,1件は「星3つ」(かなり批判してますが),残り6件が「星5つ」。

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「星3つ」も「星1つ」も,それぞれ「俺の主張」に終わらないまっとうな書籍紹介で(一部主張系はありますが),長文が多いけど,一読するとどんな本なのかかなり明確にわかると思います。

さらに余談ですが,米アマゾンではレビュアーが別のレビュアーにレスしてたりして(これが時々あるんだけどね,米アマゾンは),何て言うか,自分が自分の意見を表明する権利を絶対に逃さない人が多いんだなぁという印象を禁じ得ません。あたしはやっぱUKの雰囲気の方が好きです。
posted by nofrills at 09:17| i_dont_think_i_am_a_pacifist/words_at_war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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