2006年06月11日

Loves got the world in motion

YouTubeで、ついうっかりこれを見てしまったので、頭の中が「えくすぷれす・ゆあせるふ、くりえいと・ざ・すぺいす、ゆ・のう・ゆ・きゃん・うぃん、どん・ぎぶ・あっぷ・ざ・ちぇいす」で大変だ。ぐるぐるすることがわかりきっていたので見ないようにしていたのだが。。。しかし「ついうっかり」でこれを見ることができるというのも、すごいことではある。

思えば前回大会のときはYouTubeはなかった。Flickrもなかった。Flickrは北米の会社であるため(元はカナダ、今はアメリカ)、運営者のブログではサッカーねたはほとんどないが、ユーザーからはどんどん写真がアップされているし、グループもいくつかできている(<リンク先のdescription参照)。こういったところを、頭の中で「えくすぷれす・ゆあせるふ」がぐるぐるするままに何となく見てたら、オリヴァー・カーンの例の看板の、かなり迫力ある写真があった。みんな自己表現してるなぁ。

それと、現地から細かい記事をまめに出しているhttp://www.worldcupblog.org/の写真だけがFlickrに上がっている。試合そのものの写真はないけど、スタジアム周辺で撮影された写真がいろいろあって、けっこう楽しい。例えば、パラグアイに勝ったあとのイングランドのファンの写真は、どう見ても「勝ったあと」の雰囲気ではない。おそらく何か辛口の批評でも交わしているのだろう。あるいは単に暑いだけかもしれんが。「暑さを吹き飛ばす快勝」じゃなかったしね。
http://www.flickr.com/photos/worldcupblog/

以下、雑多に、ついでにthe world in motionな感じで。出場する32カ国の1つ、イランについては「核開発疑惑」関連でじりじりとした状態が続いているのはスポーツとは関係のないニュース記事では相変わらずだが、ワールドカップ関連でNuremberg protest over Iran visitという記事が出ている。イランの副大統領が、(よりによって)ニュルンベルクで行われるイラン対メキシコを観戦するが、これに対する抗議デモが行われるという。イランのアハマディネジャド大統領は「ホロコーストは幻」論を口にしていて、これがドイツでは非常にやばい。というか違法だ。このために現地在住のユダヤ人が抗議デモをする。(また、核問題での抗議もこれに加わるらしい。)

つまり、お祭り騒ぎの背後では「開催国がドイツだから」ってことで相当ナーヴァスになってるわけで、これは日本もまったく無関係ではない。日本のサッカー協会のマスコット犬(協会の広報部長の飼い犬、10歳)の名前が「ロンメル」であるということは、ただそれだけで欧米の(サッカーはほとんど注目されてない米国も含めて)メディアの関心を集め、そんな名前の犬がドイツに来るってだけで取材が殺到。(記事はガーディアンとかでRommelで検索すれば出てきます。Foxにもあったと思う。FIFAでは名前を出さないという工夫をしてる。)で、たとえ記事の書き方は「変なニュース」のノリでも、「何のつもりで日本はそんな名前をマスコット犬につけるんだ」、「日本は歴史についてどういうスタンスなのか、さっぱりわからない」という反応は、やっぱり出る。(なお、私はこの件について特に意見を持っていないので、この点について意見を求められたり意見を書き込まれたりしても、たぶん反応しないと思います。とりあえず、あんまり熱くなっていそうな英語のフォーラムとかには「協会が名づけたのではない」ということは書き込んでみよう。)

あと、イランについては最近、国内からのネット接続が制限されているという話で(数週間前、イラン在住のFlickr友だち複数がイラン国内からFlickrにアクセスできないと書いていた)、これはちょっと心配だったのだけど、Flickrを見る限り、今は制限されてないみたい。イラン国内のFlickrユーザーの写真のアップロードのペースが、制限されてなかったころと同じくらいに回復している。といってもこの制限はときどき都市ごとにあるようでもあり、正確なところはわからない。→追記:制限は解除されていないそうです。その中で何とか工夫しているとのこと。

ネット接続の制限が解除されたのだとすれば、アムネスティ・インターナショナルが「世界のネット接続制限」について大々的なキャンペーンをして英米の有力新聞がいくつも記事を書いたことが影響したのかもしれない。(<推測) つまり、これ以上にイランのイメージを悪化させてどうするよ、ということで、一種の圧力として作用したのかも。(なお、Flickrへの接続制限は昨年末、UAEでも起きていた。彼らの説明によれば、接続制限の理由がFlickrは「男女の出会いの場」と見なされるからということで、UAEのフォトグラファーたちは失笑しつつ激怒。実際は、UAEのFlickrユーザーの間でものすごいネットワークが形成されていたことに当局が恐れをなしたんではという説も。)

■イランのオフィシャル・ソング:
http://www.youtube.com/watch?v=PXvcPmJk7O0
恰幅のいいおじさん(いい声!)がしばらく朗誦したあと、曲が始まる。太古の昔と今をつないで見せ(英国の支配下にあった時代のものと思われる写真も入っている)、男性も女性もみなが代表チームを応援している、というちょっと説明的な映像が入る(典型的アラブの服装の人が群衆の中にいたりとかもする)。音楽は、ポップな「モダンと伝統のミックス」路線。内容は「愛国的なもの」だという説明がある。言葉がわかればもっと興味深く見られるのだが。。。

■イランの応援ソング:
http://youtube.com/watch?v=41RDm5sz8qQ
若いミュージシャンが作ったっぽい、イランのチームがイタリアのチームとビーチサッカーをするという筋書きのビデオ。出だしこそうんざりするほどのナショナリズムに見えるが、最終的にイランがバカ勝ちしたりしないあたり、イングランドとかの100%お祭り気分の応援ソングのビデオより、品位みたいなものが感じられる。身体にフィットしたノースリーヴの服を着て応援する女性たちが何度も出てくるのは、おそらく、「イランは女性を抑圧している」というよくある説明に対抗したいんじゃなかろうか。

さて、時間が戻って開幕日。

テレビで見てた開会セレモニーで出場各代表のナショナル・フラッグが出てくる場面で「何でまたアイルランドの三色旗が」と思ったら、コートジボワール(英語ではIvory Coast)。あはは。あたしって無知。

私は知らなかったのだけど、ウィキペディアによると、コートジヴォワールの旗は「オレンジ・白・緑」で「アイルランドと左右逆」であり(旗がタテなのにわからんよ、それは)、「この三色は民主党の党旗から採用された」とのこと。また、別の国旗の解説のページによると、「オレンジは北部のサバンナ地帯、緑は南部の森林地帯、白は国民の協調と団結を表わす。また、オレンジは繁栄を、緑は未来への希望を象徴する」とのこと。元がフランス領だから、形はフランスの三色旗で、色を変えたのかもしれないとかも思う。

なお、コートジヴォワールと左右反転のアイルランドの旗では、オレンジはプロテスタント(<オレンジ公ウィリアム)で、緑はカトリック、白はそのどちらでもないゆえに両者の共存・国家の統合を表す。(アイリッシュ・ナショナリズムの父ともいえるウルフ・トーンがプロテスタントだったことなどを考えると、この意味はもっと深く理解できる。)元々は、フランス革命の共和主義の影響を受けて19世紀半ばに本格化したナショナリズム(英国からの独立)運動で掲げられ、イースター蜂起(1916年)で反乱軍が掲げていた旗だ。北アイルランドのユニオニズム(英国残留派)勢力はこの旗を憎悪しており、NIに自治政府という名のユニオニスト独占政権があった1950年代から80年代には、北アイルランドではこの三色旗を掲げることが法律で禁止されていた。(その法律は、80年代にNIが混乱して自治が凍結されて英国の直轄統治になったあとで、廃止された。)

ところで「イングランド」としてサッカー協会を持つイングランドは、サッカーでは「英国」ではないので旗はセント・ジョージ・フラッグを使うのだが、5月に報じられたワールドカップ便乗商品のひとつであるサングラスには、なぜかユニオンジャックがある。

ユニオンジャックってのは、イングランド(およびそこに吸収合併されたウェールズ)とスコットランドとアイルランドの旗を掛け合わせたものだ(過去記事参照)。スコットランドが自動的に含まれてしまうものをグッズにしちゃっていいのかしらん。実際、英国から出てるのはイングランドだけなので、ユニオンジャックは事実上イングランドのことではあるのだけど。。。

フットボールでのイングランドと、国家としてのUKとのシンボルの上での線引きは実際にはけっこう曖昧だ。古い応援歌にはRed, White and Blue(ユニオンジャックのこと)という部分もあるし、それより、選手がピッチに立ったときの「ナショナル・アンセム」はUKの国歌、God Save the Queen (King)だし。(ここらへん、「イングランド独自のナショナル・アンセムを作るべきでは」といった話もなくはない。EnglishnessをキーワードにしてBBCとかテレグラフとかを検索すると、記事がいくつか出てくると思います。んで「カネと時間のムダ」とばっさり切り捨てられたり。)

なお、スコットランドはトリニダード・トバゴ代表およびスコットランドのクラブに所属するジェイソン・スコットランド選手の応援で熱いとのこと(ネタ元はhinakiさんのところ)。スコットランドという名前の選手がたまたまスコットランドのクラブに所属していることで、「ナショナル・チームは出場しないから、地域のリーグのクラブの選手を応援する」という大義名分を得て「スコットランド」を連呼することができる、と。

スコットランドのリーグの選手を応援するということなら、セルティックの中村もスコットランドの人たちからの応援の対象になるということになりそうなものだが、セルティックはそう単純ではない面もあるので、わからんです。というか、スコットランド自体がなかなか単純ではない。(^^;)ごく大まかに「反イングランド」ということはできても、その先が……。

ちなみに、スコットランドについてはメディアのいうところの「タータン・テロリズム」というのがある(<リンク先は当事者のサイト:ちょっと別筋の当事者からのこの呼称への反論もある)。このへんは「スコットランドとは何か」という深い問題(とりわけ「ケルト」をめぐる問題)と切っても切れない話で、私の手には余る。2002年にも「タータン・テロリズム」が行われたという報道があったが、「〜テロリズム」が一種のメディア用語ともいえるし、ウエストミンスターとスコットランドのつながり次第でどうとでも解釈・表現できてしまう部分でもあるので、要注意。

開会セレモニーでは、あの人に加えてこの人この人も姿が見られ、しかも彼らの前に入ってきたのがサー・ボビー・チャールトンの年代のみなさまで、98年フランス代表は「往年の名選手」というにはあまりに若いと嘆息。「飛ばないオランダ人」も引退しちゃったしなぁ。(そういえば、「飛ばない」ことにこだわったこの人たちはどうやって日本から英国に帰ったんだろう? というか、帰ったんだろうか?)

これからオランダ対セル・モンです。セル・モンは今回が「旧ユーゴ」の本当の最後。(選手はほとんどがセルビアであるとしても。)

The world in motionだけど、動かしてるのはLovesじゃないんだよな、これ。
posted by nofrills at 21:49| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。