2004年03月03日

大企業の「水商売」inイングランド。

先日『ジェニファー・ガバメント』っていう小説を買ったんです。私はまだちょっとしか読めてないんで,あらすじは↑のリンクを見てください。

そんなこんな今日このごろ,英国では「水商売」の極北っていうか,ひょっとすると悪徳商法?なんじゃないのかと指摘されるようなことが起きているようです。

Real thing or rip-off?
http://www.thisislondon.co.uk/news/articles/9419992記事見出しのReal thing or rip-off?は 「ホンモノか,ぼったくりか?」というような意味です。

内容はですね……コカコーラ社が英国で新たに売り出す「ウォーター」のDasaniをめぐるどろどろとしたお話でして。

記事にボトルの写真があります。ルックスはなかなかステキです。

コカコーラ社が発売する予定のこの「pure water」Dasaniは,500ミリリットルで予価95ペンス。1ポンド(=100ペンス)がだいたい200円くらいですので,190円という感じですね。(この値段自体は,英国ではまぁ普通かもしれません。ペットボトルの飲料はあっちで買ってなかったから正確なところはわかんないですけど。)

pure waterは日本語にすると「純水」です。私は科学オンチなのでちょっと自信がないんですが,「純水」というのは確か不純物がほとんどない水のことを言うのではなかったかと思います。

で,この商品に待ったをかけているのがThe Natural Mineral Waters Association 「ナチュラル・ミネラルウォーター連合」さんという業界団体。

「ナチュラル・ミネラルウォーター」っていうのは,加工しなくてもミネラル分が含まれてる水のことです。フランスのエヴィアンとかヴォルヴィックが有名ですが,英国にもおいしいお水ありましたよ。ブランド名とかはまったく覚えてないんですが,スコットランドの水。スーパーで一度買いました。(スコットランドは水がいいからいいお酒ができる。)

コカコーラ社のDasaniは,普通の水道水の水源地から採取した水を濾過して,微量ミネラル(trace mineral)を添加し,味をよくしたものなのだそうです。つまり,「人工ミネラルウォーター」で,「ナチュラル〜連合」さんとしては「消費者の誤解を招く」との主張。要は「中身は水道水じゃないかゴルア!」ということのようです。

フランスで売られるDasaniはベルギーのナチュラル・ミネラルウォーターだというのですから,英国にもそれを輸入すればいいのにねーとか思うんですが。

まぁこんなあたりが概要なんですが,記事を載せているthe evening standard(ロンドンの地域新聞)がコカコーラ社に批判的なのでしょう,ちょっと煽り系な書きぶりの記事になってます。

見出しのrip-offというのもかなりなものですね。そのココロは,同じ水源地からは取った水を,水道会社は500ミリリットルあたり,0.031635ペンス(←この執拗なまでの小数のケタ……)で売っているということのようです。コカコーラ社では95ペンスの値段をつけていますから,電卓をはじいてみたところ,およそ3003倍の値段ということになります。その3003倍の中にはボトル代とか流通コストとかマーケティングのコストとか,もちろんデザイン料とかも含まれるのでしょう。

冒頭に書いた『ジェニファー・ガバメント』っていう小説から引用します。

「……今週の金曜,定価二千五百ドルで一気に四十万足を投入する」
「合計すると,つまり原価が――いくらでしたっけ?」
「八十五」
「製造原価が八十五セントだから,粗利益にしてざっと十億ドル」


コカコーラ社の説明では,水の濾過にはreverse osmosis(逆浸透)を用いるなど高度なことをするそうです。「逆浸透」について検索してみたんですが,「水商売ウォッチング」さんの「ホワイトリスト」からリンクされてる先とかにわかりやすい解説がありました。

これについては,水道水サイド(Water UKという組織がある)としては「水道水がimpureだという印象を与えるのでは」とコメントしています。「ボトルが好きとか便利だからよいというのであれば別にいいですよ。しかしコカコーラ社のマーケティングはそういうことではないように思います。」(行間を読ませるコメントだなぁ。)

……と長々と書いてしまったんですが,そんなことよりむしろ自分的にツボだったのは,「水道水をボトルに詰めて大儲け」というのが有名なコメディにあったというくだりです。

... the famous episode of Only Fools and Horses in which Del Boy Trotter tried selling tap water as "Peckham Spring"...
Only Fools and Horses(という有名なコメディ)に,デル・ボーイ(主要登場人物のひとり)が水道水に「ペッカム・スプリング」という名前をつけて売ろうとする回があったが……


The National Consumer Council said: "We all laughed at the idea when Del Boy bottled Peckham Spring. We did not believe it could happen in real life, yet Coca-Cola seems to think it is perfectly acceptable.
「デル・ボーイが『ペッカム・スプリング』をボトルに詰めるという回では大笑いしましたよ。実際にありうるとは思ってませんでした。コカコーラ社さんではそんなコメディの筋になったようなことをOKとお考えのようですけれどね。」



■参考:
メルマガ「出たっきり邦人【欧州編】」2004年3月2日
イギリス・ケント発 『万華鏡』 第23回 <食と飲>
posted by nofrills at 23:39| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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