2004年01月27日

トニーちゃん,ピーンチ!

ブレア,マジで最大の危機,という話です。お題はtop-up fee,さらにハットン・インクワイアリの最終報告書。

Independentの特集の入り口
http://news.independent.co.uk/uk/politics/story.jsp?story=484496
※さすがIndependent,ブレア批判に社運をかけてます(多分)。

Observer(=Guardian)の主要記事
Hutton: The verdict
Blair admits: I know my job is on the line

※いずれも1月25日。昨年2月ごろに日本のテレビで「党内に根強い反対がある中,保守党の支持で開戦を決めたブレア首相は,今後の政権運営に大きな課題を抱えることとなりました」と「ブレア,ピンチ!(でも大丈夫は大丈夫だろう)」と言われてましたが,今回はそんなもんじゃなさそうです。

Observer記事から引用しますと,On Tuesday, Parliament votes on higher education funding,つまり「火曜日に国会で高等教育ファンディングについての採決が行われる」。

この「高等教育ファンディング」higher education fundingというのは,いわゆるtop-up feeのこと。英国の内政のことなので日本ではあまり話題になってないと思いますが,「高等教育(大学以上)を受けた人はそのために高収入を得られるのだから,就職したあとはその分を国庫に収めてもらいましょう」ということのようです。(ちなみに英国の大学は国立で,私立のuniversityはないと思うんだけど……違ってたらツッコミ入れて下さい。90年代後半の大学改革でポリテクがユニになった後のことはよくわかっていませんので。)

で,このtop-up feeなるものには,ブレアライト以外の労働党は反対し,保守党はもっと反対してるわけで,何だかサッチャーのpoll tax(人頭税/正式にはcommunity charge)みたいになってるように私には見えるんです。さしもの「鉄の女」もここらへんで錆びちゃって,メイジャーに党首・首相の座を譲ることになったんですが。(メイジャーはpoll taxを廃止して新たにcouncil taxを設け,人の数ではなく世帯の資産に応じて課税するようにしました。)

#ここらへん,かなり記憶に頼ってるので,間違っていたらご指摘をお願いします。

話を戻すと,ブレアが必死になって導入させたいtop-up feeというのは,労働党からも保守党からも反発を買ってるわけです。いわゆる「党議拘束」が英国でどんな程度あるのか,私は正確には知らないのですが,top-up feeに反対する労働党議員がrebelと表されていることを見ると,拘束はあるんでしょうね。それが実際に議場での投票行動を拘束するかどうかはまた別の問題だと思いますが。……と書いたところでちょっと検索してみましら,「日本の選挙公約と諸外国のマニフェスト:その対比から」という講演のスクリプトを見つけました。

*****ここでいったん中断。******

という,あっちで反対こっちで反対でにっちもさっちもいかない感じのtop-up feeについての採決(正式にはhigher education bill「高等教育法案」なんですが)が27日の火曜日なんですが,その翌日の28日水曜日には,例のハットン・インクワイアリの最終報告書が出ます。

ハットン・インクワイアリというのは,何度か書いたんですが,2003年7月に手首を切った死体となって発見された国防省顧問のドクター・ケリーの死の真相を明らかにする調査会です。ドクター・ケリーが亡くなったのが,BBC記者に「英国政府の『イラクのWMDの証拠』はウソ」と語っていたことが判明した直後だったので,その死(「自殺」と断定されていますが)の責任はどこにあるのかについての司法調査会です。昨年夏〜秋にやってました。

で,その調査会にはジャーナリストとか役人とかいろいろ証人として呼ばれまして,その中にはブレア首相もいた。これは8月ごろにちょこっと書きました。

それで,そのインクワイアリの場であれやこれや矛盾が出てきた。ドクター・ケリーは生物兵器の専門家として国防省顧問をしていたわけですが,MI6の情報やら米国の情報やらを書類にまとめるときに,ダウニング・ストリート(首相官邸)が言葉の置き換えをしてみたり助動詞をトルツメにしてみたりと,潤色していった過程までもが明らかになったわけです。

同じ時期に米国でも「サダームがウランをニジェールから買ったと言ったが,あれはウソでした」と認めるなどの動きもあって,「サダムのWMDが欧州に向けられているから何とか阻止せねば」(英国ではこう言われてたんですよ。典型的脅威論です)と思って開戦を積極的に支持した人とかも,「なんじゃそりゃ?」となったわけです。

ハットン・インクワイアリは政府から独立した立場で調査をしている第三者なので,まあそれなりの報告は出るでしょう。私が読んでる記事の中には,そうそう楽観的なものはあんまりないんですけどね。「結局たいしたものは出ない」という見方ですね。いづこもおなじあきのゆふぐれって感じで。

ともあれ,ブレア批判に社運をかけているIndependentが,The 50 lies, exaggerations, distortions and half truths that took this country to war「この国を戦争へ連れていった50のうそと誇張と歪曲,そして25の真実」という記事を出してます。かなりおもしろいです。「おもしろい」というのは「笑える」ではなく「興味深い」です。
http://news.independent.co.uk/uk/politics/story.jsp?story=484504

英国のこういう記事を読むとき,私はそれが日本のニュースの先例になると今では確信しています。そうならなければいいのにと思ってずっとやってきましたが,こと「政府の嘘」に関しては,日本は見事に英国の後追いをしている。しかもヘタクソなパクリっていうかカヴァーっていうかそういう感じで。
posted by nofrills at 17:11| todays_news_from_uk/about_Blair | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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