2004年10月06日

「ロンドンのモスクとベスランの学校襲撃に関連が」という報道について。

ま,これが英国でどういうニュースバリューを持つかっていうと,第一には「フィンズベリー・パーク・モスク」で,先日のブレア演説@労働党党大会とかを考え合わせると,「イスラム・テロは英国がこれまでに日々経験してきたテロ(=IRAの“武装闘争”のこと)とは違うのだ,イスラム・テロは国境を超えたネットワークなのだ」というレールが見える――またフィンズベリー・パーク・モスクがニュースに出てきた。

このモスクに通っていたことがあるアルジェリア出身で英国の市民権を持つ人物と,同じくアルジェリア出身の人物2人の合計3人が,9月の北オセチア共和国ベスランで発生した学校占拠事件の実行グループにいた,という報道。3日のオブザーヴァー(ガーディアンの日曜)記事。

フィンズベリー・パーク・モスクについては,とにもかくにも2003年1月のBBC記事はmust readなのですが,一言でまとめれば,ただの「礼拝の場,宗教施設」ではありません。北ロンドン(Wood Greenだったと思う)でアルジェリア出身の人たちのフラットから猛毒の「リシン」が見つかった後,2003年1月に強制捜査を受けていますが,その前から……それどころか,2001年9月11日の前から,「過激なイスラム主義の拠点」として注目されていた場所です。

このモスクの指導者,アブ・ハムザ師は,今年5月に逮捕されています(過去記事)。このニュース,私はネットで聞いてたBBCのニュースで知ったのですが,大ニュースの扱いでした。

以下,記事の意図が私にはわからないので(依拠している情報は全部ロシアからの情報で,ポイントはどう考えても「ロンドンのフィンズベリ―・パーク・モスク」なのに,これをバグダードにいるジェイソン・バークが書いている意味がわからないのと,最後の1パラグラフが「来週に続く」っぽくて,これもまた意味がわからない),ひたすら直訳の形にします。直訳すると日本語としてわかりづらくなるようなところも,あえてそのまま。あまりに日本語がわかりづらそうなところには,原文での表現をつけておきます。
ロンドンのモスク,ベスラン事件と関連
London mosque link to Beslan
Jason Burke
Sunday October 3, 2004
The Observer
http://www.guardian.co.uk/russia/article/0,2763,1318586,00.html
_
先月のベスランの学校占拠事件を起こしたグループのメンバーのひとりが,北ロンドンにある悪名高きフィンズベリー・パーク・モスクに通っていた英国の市民(a British citizen)であることが,オブザーヴァーの調査でわかった。
_
また,このほかに2人のメンバーもまた,少なくとも3年前までは英国で活動していたものと思われる(are believed to have been active)。このグループはチェチェンの軍事的指導者,シャミル・バサーエフに忠誠を誓って(loyal to)いる。彼らは300人(そのうちの半分は子ども)が死亡した〔ベスランの〕学校襲撃に参加した疑いをかけられている。
_
ロシアの治安筋(security sources)は,これら3人のうちで最も年長のKamel Rabat Bouralha(46歳)は,バサーエフの「主要な補佐役」であるとしている。その〔バサーエフの?〕首には£5.5 millionの懸賞金がかけられている。バサーエフは学校を占拠しワイヤ仕掛けの爆発物を設置した人々を訓練したと述べている(has boasted)。これら3人は全員アルジェリア生まれで,捜査官たちは彼らがチェチェンでの戦闘に参加するために2001年にロンドンからチェチェンに入ったと信じている。
_
ロシアの捜査官たちは既に,先月ベスランの学校を占拠した33人の男たちのほとんどの身元を特定していると考えられている(Russian investigators are thought to have now identified ...)。 その中には30代半ばのアルジェリア人2人,Osman Larussi と Yacine Benaliaがいる。2人とも最近までロンドンを拠点にしていたと考えられている。Bouralha同様,彼らもまたフィンズベリー・パーク・モスクに通っていたと信じられており(they too are believed to have attended Finsbury Park mosque),チェチェンに到着してすぐに,バサーエフに忠誠を誓ったグループのネットワークに加わったと信じられている。
_
General Ilya Shabalkin【←ロシア軍将校と思われる】は, Bouralhaはアゼルバイジャンで医学的治療を受けるためにロシアを出国しようとしたときに,身柄を拘束されていた,と述べた。「彼は自分は何もしていないと言っています。しかし,彼が重大犯罪に関わったという強い証拠があります」とShabalkinは語った。【わからん】
_
現在,スコットランド・ヤードの上層部で,このロシアからの情報を調べている。ロンドンにいるかつての仲間たちは,Bouralhaは2000年ごろ,フィンズベリー・パーク・モスクに頻繁に顔を出していたと断言している。
_
ロシアの治安筋によれば,チェチェンの反乱勢力(rebel formations)で活動しているアラブ人傭兵(Arab mercenaries)は最高で300人。しかし,モスクワ【=ロシア政府】はチェチェン武装勢力の中の「外国人」構成員('foreign' elements)を誇張することに熱心であり(has been keen to exaggerate),関与していることを示唆する証拠がほとんどないにも関わらず,「アルカーイダ」のせいであるとすることもしばしばである。最近,何人かのアナリストがチェチェン武装勢力とアブ・ムサブ・アル=ザルカウィのアル=タウヒード・グループとの関係を立証しようとしている。アル=タウヒードは現在イラクで〔英国人の〕ケン・ビグリーを人質に取っている。
_
オブザーヴァーはアル=ザルカウィのグループについての詳細な調査報告書を入手している。その報告の大部分は,西側の情報当局による「通信の傍受」によって構成されている。武装勢力(militants)から発信されたのを傍受した一連の電話によって,捜査官たちは,ポーランドから英国にまで広がる欧州ネットワークの全体像を把握することができている。ロンドンから偽物の書類(documents)を得たことについても,いくつか言及されている。



【わからん】
原文を示します。誰かわかる人いたら教えてください〜。
General Ilya Shabalkin said that Bouralha had been detained while attempting to leave Russia for medical treatment in Azerbaijan. 'He says he is innocent, but there is strong evidence of his involvement in a grave crime,' Shabalkin said.


Bouralhaという人は,学校占拠事件に参加していたと疑われている(are suspected of taking part in the raid on the school)と記事の第2パラグラフにある。

だとすれば,襲撃実行犯は1人(テレビカメラの前で「バサーエフとマスハードフが」みたいなことを語ったあの男性)を除いて死んでいるのだから,Bouralhaという人も死んでいる,ってことになるよね?

じゃ,Gen Shabalkinが現在形で「彼は自分は何もしていないと言っている」と言ってるのは,何? Bouralhaという人が現在生きていなければ,「自分は何もしてない」と言う必要はないし,言うこと自体,不可能。

あるいは,「襲撃に参加した」っていうのは,計画段階でのこと? 学校の修復工事に紛れてひそかに爆弾を運び入れたとか?

あと,Gen Shabalkinの言っていることの最後,his involvement in a grave crimeって,何? どうして不定冠詞なの? ベスランの事件であれば,theを使うはず。

Jason Burkeともあろう人がこんなぼやけた記事を書いたこともよくわからないし,第一にこの人,今はロンドンにもいないしベスランにもモスクワにもいない。Burkeは今,バグダードにいるのだ。となると,なぜBurkeが記事を書いたのかということで考えられるのはただひとつ――またぞろ,ザルカウィ。ちょうどたまたま今はザルカウィの武装勢力が英国人をひとり拉致・拘束している(ケン・ビグリーさん)。

で,記事の最後から2段落目にある「最近,何人かのアナリストがチェチェン武装勢力とアブ・ムサブ・アル=ザルカウィのアル=タウヒード・グループとの関係を立証しようとしている」の「何人かのアナリスト」って,どこの人? ロシア? 英国? バサーエフ司令官がアル・カーイダとつながっていることを立証したいのは,ロシアだよね?

ひとつの記事の中に「フィンズベリー・パーク・モスク」(ロンドン)と「チェチェン」と「ザルカウィ」(イラク)があって,同時にロシアを牽制している。

結果,何が言いたいの?という記事になっているのかもしれない。

……と思ったら,米国のウェブロガーも同じような疑問があるんだけど,という記事を書いてました。
It is not clear to me what is being claimed. Is Bouralha thought to have been one of the attackers? Or just one of the organizers? Do I also gather that two of the dead attackers' bodies have been identified as Osman Larussi and Yacine Benalia? Is the Guardian story just poorly written? Or is it the situation (rather than the writing) that is murky?
_
It seems to me that this arrest and its surrounding narrative have to be regarded in the context of Putin's desire to portray the attack as al Qaeda-related rather than as a reaction ot his policies in Chechnya.
_
何が言いたいのか,私にははっきりわからない。Bouralhaは襲撃を行った者の1人だと考えられているの? それとも襲撃をオーガナイズしただけ? それと,襲撃を行った者の死体のうちの2人が,Osman Larussi と Yacine Benaliaであると確認されたという理解でいいの? ガーディアン記事は単に書き方がまずいだけ? それともはっきりしてないのは(書き方というよりも)状況そのものってこと?
_
この逮捕,それについてのナラティヴは,プーチンが,この攻撃は自分のチェチェンでの政策への反応であるというより,アルカーイダに関連があるのだと提示したいと思っているというコンテクストでとらえられるべきだと思う。
posted by nofrills at 02:09| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。