2003年12月29日

「記録」について。

今日の『映像の世紀』(ヴェトナム戦争)は強烈だったね。私はこの番組は95年の本放送のときにビデオに録画して見ていたけれど,何て言うのかな,そろそろ新世紀っていうムードが自分の中にあって,画面の中にあるのは「歴史」「記録」だった。当時はまだインターネットも使ってなくて,日々を「記録」するっていうこともしてなかったし,「日々の記録(ジャーナル)の意味」なんて多分考えたことなかった。もちろん情報源も限られていて,英国の新聞記事を読むなんてことはなかった。(ごくごくまれに,洋書店に行った時に1週間遅れのGuardianのフロントページだけ眺めたりはした。)当時から自分なりにいわゆるDIYなことはやってたから(DIYって言っても「日曜大工」じゃないよ)――んでそれが著書につながったんだけど――毎日をただやり過ごしてたわけじゃない。でも,「過去に起きたこと」「世界のどこかで起きていること」についてのリアル感はほとんどなかった。反戦運動にしても,会社の上司の思い出話とかで聞かされたけど,どうしても「青春ストーリー」にしか聞こえなくて,「彼らは何をどう疑問に感じたのか」なんてわからなかった。

95年には私は20世紀を「振り返って」いた。ベルリンの壁もなくなっていたし,冷戦も終結していて,「20世紀」としてその時に目の前になったことのほとんどは「終わったこと」だった。冷戦が終結すれば,東西の対立と軍拡競争の時代が終わって,世界全体はもっと平和になると思ってた。

甘かったね。己を反省するよ,マジで。

「ヴェトナムは完全な失敗だった」というナレーターの読み上げた解説文が真実であるとした場合(そして私はそう思うけれど),今イラクで起きていることは何かをついつい考えてしまう。そしてこう思う――「一度くらい失敗してもくじけず再挑戦」。

こういう主張はこれまでにも何度か読んできたし(英語で書かれたもの=英米の人の書いたものをね),「そういう面もあるかもね」程度には思ってきた。

「そういう面も」? そんな呑気なことじゃないだろう。

今は恐ろしくてガタガタと震えている。15分もすれば恐ろしさではなく疑問が出てくるだろう。
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■追記:
15分っていうか1時間15分くらい経ってから下記記事を読んだのだが,「疑問」どころか「吐き気」だね。
http://truthout.org/docs_03/122903B.shtml

12月28日にthe Sunday Timesに掲載された記事らしいのだが(よりによってthe Timesにこれが出るとは!)私は自分の英語の読解が間違っているんじゃないかとさえ思う。

The government yesterday confirmed that MI6 had organised Operation Mass Appeal, a campaign to plant stories in the media about Saddam Hussein's weapons of mass destruction.
【概略】サダム・フセインの大量破壊兵器(疑惑)を喧伝するためにMI6が動いていたことを,英国政府が認めた。


これだけならあたしゃ別に驚きゃしないわけだが,

A senior official admitted that MI6 had been at the heart of a campaign launched in the late 1990s to spread information about Saddam's development of nerve agents and other weapons
【概略にすらならない】MI6の(反サダムの)キャンペーンは1990年代終わりに開始されていた


The admission followed claims by Scott Ritter, who led 14 inspection missions in Iraq, that MI6 had recruited him in 1997 to help with the propaganda effort. He described meetings where the senior officer and at least two other MI6 staff had discussed ways to manipulate intelligence material
【きつすぎて概略も把握しきれない】スコット・リッター氏は1997年にMI6に雇われてプロパガンダ作戦に参加した


"The aim was to convince the public that Iraq was a far greater threat than it actually was," Ritter said last week.
【気を取りなおして】「作戦の目的は,国民にイラクの脅威を実際以上のものだと思わせることだった」とリッター氏は先週語った


「脅威論」のでっち上げということはもちろんこれまでにもあちこちで読んできていたし,それ自体にショックを受けるほどナイーヴでもないし,っていうか「脅威論」だからこそ(私はマッカーシズムの狂気のことは一応知識として知っている)2003年2月の国連安保理の中継を見てイライラしていたわけなのだが……MI6かよ。やっぱ英国だったのかよ。(別に米国とCIAを軽視するわけではない。)それも90年代終わりから。ってことは,2001年9月11日のハイジャック航空機による高層ビル破壊事件とは無関係じゃん!(ああやっぱり……。)っていうかこのころはリビアが話題だったよーな気が。そのリビアも最近「WMDは廃棄します」と言ったばかりだ。ああ帝国。チャーチルが蛇蝎のごとく嫌ったスターリン=ブレアが蛇蝎のごとく嫌ったミロシェヴィッチ(MI6で暗殺計画あり)とカダフィとサダム・フセイン。

次の一撃が
"Kelly was a known and government-approved conduit with the media," said Ritter.
【概略】「ドクター・ケリー(英国防省顧問・7月に手首を切った死体で発見)は政府の認めたメディアとのパイプ役だった」


……何人殺したら気が済むんだ。

Blair justified his backing for sanctions and for the invasion of Iraq on the grounds that intelligence reports showed Saddam was working to acquire chemical, biological and nuclear weapons. The use of MI6 as a "back channel" for promoting the government's policies on Iraq was never discovered during the Hutton inquiry and is likely to cause considerable disquiet among MPs.
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A key figure in Operation Mass Appeal was Sir Derek Plumbly, then director of the Middle East department at the Foreign Office and now Britain's ambassador to Egypt. Plumbly worked closely with MI6 to help to promote Britain's Middle East policy.

【概略】ブレアがイラクに対する経済制裁と侵略を正当化した根拠は,MI6のレポートだった。しかし当のMI6が「反サダム・キャンペーン」を展開していた。それはハットン・インクワイアリでは明らかにならなかった。
MI6の「反サダム・キャンペーン」の鍵を握るのが,当時外務省中東局の局長で,現在エジプト大使を務める人物。この人物はMI6と連携を取って英国の中東政策を進めてきた。


「なぜこの人たちの上に爆弾が落とされねばならないのか」の理由を,「米国のネオコン」に求めて納得してはならない。ブッシュはわかりやすいから話題になりやすい。反面,ブレアはもっと複雑だし,そもそもイメージがよい。97年も01年も選挙で圧勝している。吐き気がする。

一方,BBCは「2003年英国政界勝ち組負け組」なんていう記事を出してる。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/uk_politics/3303011.stm
ブレアは「勝ち組」だってさ。「ひどい年だったが最後はサダムを捕えてめでたしめでたし」と書いてある。年末ムードもいいけどね,これがイヤミじゃないとすれば(イヤミなのかどうかまで私には読み取れない)この記事書いた人(政治部の方でよく記事を拝読していますが)の見識を疑うね,マジで。
posted by nofrills at 23:55| i_dont_think_i_am_a_pacifist/words_at_war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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