2006年06月18日

「武器をよこしたのはおまえらだ」(ルワンダ、ブルンジ内戦)

"You white people you are the ones that supplied all the weapons," he yelled at her. "Now you are going to feel what it is like."
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「武器をよこしたのはおまえらだ、おまえら白人がな。」男は彼女に向かって声を張り上げた。「それがどんなもんか、思い知らせてやる。」


2000年12月、ルワンダからブルンジの首都に向かっていたTitanic Expressというバスが、フツ過激派のFNL(the Forces for National Liberation; Palipehutu-FNL) に襲撃された。バスに乗っていたのはボランティアの活動家たち。その中に英国人、シャーロット・ウィルソンさん(当時27歳)がいた。

ウィルソンさんは科学(理科)の教諭で、ルワンダでもボランティアとして科学を教えていた。ルワンダ政府からも「ぜひともわが国のレベル向上にご尽力いただきたい」と頼りにされていた。

バスの乗客に向かって発射された銃弾は963発。ウィルソンさんを含む21人が殺された。ウィルソンさんの弟のリチャードさんは事件を調査し、1冊の本(タイトルはTitanic Express)にまとめた。襲撃で生き残った人のうち3人がリチャードさんにそのときの様子を語った。

生存者の証言では、FNLは「ハレルヤ」と叫んで襲撃してきた。彼らはまずツチとフツを分け、フツの人は逃がした。

「武器をよこしたのはおまえらだ、おまえら白人がな。」襲撃をかけたFNLのリーダーは、ウィルソンさんに向かって声を張り上げた。「それがどんなもんか、思い知らせてやる。」

バスを襲撃したFNLの一団は、バスに乗っていた人々の時計や衣類、香水や酒を奪って去った。

FNLは欧州にネットワークを持っており、調査の過程で、リチャードさんはベルギーにいるFNLメンバーから「当方、そんなに遠いところにいるわけではないですよ」と脅迫された。

ブルンジの内戦の死者は、300,000人にも達している。

FNLのリーダーは、ブルンジ当局から追及されることもなく、和平交渉の当事者の一員となっている。

英外務省は(テレグラフの取材に対し)、ブルンジ政府にはシャーロット・ウィルソンさん殺害について「常に問題提起している」、「加害者に法の裁きをと求めている」と述べた。

リチャードさんは、英外務省は関わりを持つつもりがないのだと非難し、FNLリーダーに対する国際手配を求めている。

'Why is my sister's killer feted at peace talks?'
By Thomas Harding
(Filed: 17/06/2006)
http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2006/06/17/wburundi17.xml

British woman shot dead in Burundi bus massacre
By Thomas Harding
(Filed: 30/12/2000)
http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2000/12/30/wbur30.xml

参考資料:
http://en.wikipedia.org/wiki/Burundi_Civil_War

http://en.wikipedia.org/wiki/Titanic_Express_massacre

リチャード・ウィルソンさんのサイト(ブログ):
http://agathonrwasa.blogspot.com/

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私がこの記事についてブログで書こうと思ったのは、「武器をよこしたのはおまえら白人だ」というフツ・パワー武装勢力の言葉を書きとめておきたかったからです。それはリチャード・ウィルソンさんの問題意識(「姉をはじめとする21人を殺した人物に法の裁きを受けさせるべき」)とは、ずれています。それでも、テレグラフのハーディング記者が「武器をよこしたのはおまえら白人だ」を記事の中に書いていることに、私は何らかの「意味」があるような気がします。キャット・シャノン@戦争の犬(フォーサイス)的なものと通じるかもしれない。

ナイロビの蜂 上巻 ナイロビの蜂 下巻 the constant gardener

しばらく前になりますが、映画『ナイロビの蜂』を映画館で見てきました。私は原作を先に読んでいたので、「なるほど、こういう語りにしたのか」と感心したのですが、原作者のジョン・ル・カレが描こうとしていたのは、「支援活動」とか「多国籍企業」といったことであるというよりむしろ、「英国」であると思っていたので、映画は映画でとてもよいんだけど、別物だな、と思いました。というか、潔いほどに別物で、こういう解釈・描写の仕方があるのかとほんとに感心しました。

映画はストーリー運びも原作と比べてずいぶんとあっさりしていて、ラストがまったく違っていて(ジャスティン・クエイルがどうなるかを除いて)後味もよいし、いい映画だと思うし、映画でなければできないことをたくさんしていたし、多分あと1度は見る映画になると思います。それでもしかし、原作にこれでもかこれでもかと描かれている「英国」の濃さが映画ではかなり薄められていることは、このような記事を読むと、残念に感じられます。

シャーロット・ウィルソンさんが殺されたこの事件のことは、私は2006年6月のテレグラフ記事を読むまで知りませんでした。が、事件の後の英外務省の対応――リチャードさんがwashing its hands(関わりを絶った)と批判している対応――には、『ナイロビの蜂』の原作において、テッサ・クエイルの書いたレポートを外務省は結局どうしたのか、といったことを考えずにはいられないのです。

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関連するんだかしないんだか。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/peace%20process/
posted by nofrills at 10:23| i_dont_think_i_am_a_pacifist/words_at_war | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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