2005年08月25日

サッカーファンのふりをした差別主義者ども。

Rangers fans get ferry foot ban
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/4180326.stm
Stena Line has banned Glasgow Rangers supporters travelling as foot passengers from its sailings between Northern Ireland and Scotland.


また暴れたのかと思ったらそんなもんじゃなかった。

The supporters, they weren't even singing football songs, it was about killing Catholics, and named Catholics that have been shot dead


こいつら,頭大丈夫か?(<婉曲話法)

別に今日や昨日始まったことじゃないんだけどね。ニュースになってるのは「Rangersのサポはフェリーでの渡航禁止」になったからで。Rangers対Celticの試合は,普通の「都市ダービー」(ロンドンであれミラノであれマンチェスターであれ,それぞれに背景があるが)とは異なる。

ピッチの中じゃないのよ,外が問題。

Rangers ってのはグラスゴウ(スコットランド)のクラブである。

Rangersの「宿命のライバル」的存在が,先日中村俊輔が移籍したCelticである。

しかしこの2クラブの「ライバル」っぷりは,例えば巨人と阪神とかのようなものではない。トッテナムとアーセナルのようなものですらない。

Rangersの色は,white and blue(とred)である。クレストは獅子。

Celticは緑である。クレストはシャムロック(ただし四葉)。

つまり,Rangersはブリティッシュ/プロテスタント,Celticはアイリッシュ/カトリック――北アイルランド!

ウィキペディアから:
... the club has traditionally been identified with the Protestant community of Glasgow, and for most of its history it has enjoyed a fierce rivalry with crosstown opponents Celtic, which draws much of its support from Glasgow's Catholic community although many Protestants have followed Celtic down the years.


プロテスタントのRangers,カトリックのCeltic……で,このダービーマッチは北アイルランドからもサポが観戦に訪れる。

なんでスコットランドと北アイルランドの間でこういうことになってるかっていうと,まず,アルスター植民(17世紀)からアルスター(現在の北アイルランドの地図と微妙にずれているがほぼ同じ)に入った「プロテスタント」はスコットランドのカルヴァン派。

このスコットランドのカルヴァン派が,現在の北アイルランドの「プロテスタント系住民」。「オレンジオーダー」は彼らによって作られた。彼らの一部はクロムウェルの顔を壁に描いて「カトリック皆殺し」のスローガンを書いたりもしている。(「カトリックを殺せ」は,この連中にとっての日常的なスローガン。)

そして,アイルランドにおけるジャガイモ飢饉(19世紀)のときに,アイルランドから多くの人がブリテン島の西側に移住した(その中にはリヴァプールもあるし,スコットランド西部もある)。だからスコットランドにはアイリッシュのコミュニティがある。

だからスコットランドに,北アイルランドの(というか「アイルランドの」と書くべきかもしれないのだが)「プロテスタント対カトリック」の「対立」が持ち込まれる――というかスコットランドのロイヤリストおよびロイヤリスト支持派は相当キてるけどね。探せばフォーラムとか簡単に見つかります(検索ワードは英語でね)。稲川淳二より怖いよ。

もう一度同じところを含む引用:
The supporters, they weren't even singing football songs, it was about killing Catholics, and named Catholics that have been shot dead. ... Then one of the Stena Line staff came down and asked them to be quiet, this seemed to up the ante and they just got out of control.
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フェリーに乗っていたRangersサポはサッカーの歌を歌っているのですらなかった。彼らの歌っていたのはカトリックを殺すこと。それから,撃ち殺されたカトリックの名前を挙げていた。そのときフェリー会社の人が来てお静かに願いますと言ったのだが,これで連中は大暴走して手に負えなくなった。


こういうサポはRangersサポのごく一部だろう。フェリー会社は「まことに遺憾ながら」と,やむを得ない措置である旨,コメントしている。

おそらくこの数週間,IRAの武装闘争やめます宣言以降のことが影響して,こういう無駄に勇ましい(そして方向性も間違っている!)気分が盛り上がったんだろう。3-1で勝って上がりっぱなしだったのかもしれん。

しかし「カトリックをぶっ殺す」を,自分たちのテリトリーでさえないところでシャントするというのは,やはりどう考えても頭大丈夫か?である。

BBCだけではなく,別なメディアも見ておきましょう……ベルファスト・テレグラフ(プロテスタント系/the Independent系列であってthe Daily Telegraph系列ではありません)。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/story.jsp?story=658334

はぁそうですかって感じの扱いだな,これは。(私の気のせいだと思うが,シン・フェインが何かを言った時のDUPの発言みたいな記事だ。「若者の暴走を暖かく見守ってる」雰囲気すらある。<私の気のせいです,多分。)

それはそうと,何か最近,「スコットランドの先住民はケルト系」という“学説”が否定されつつあるらしい。むろんそれは,純粋に学問的なことだろうと思う。(ケルト人はその時代にスコットランドにはいなかった,などの証拠が出てきたのかもしれない。)博物館などで「ケルティック(セルティック)」という語が使われることもなくなったという。

しかし,それがもし,「民族の物語」を紡ぐ作業であるとしたら? あるいはもっと極端に,「ホロコーストはなかった」説のようなものであるとしたら?

最近,スコットランドのロイヤリストのサイトを立て続けに見たせいで勝手にあれこれ関連付けて考えてしまうきらいはあるのだけれど,何というか,英国全体についてもそうだしスコットランドとか特にそうなんだけど,「牧歌的」なイメージだけで語るという行為は,本当に,「時代に合わなく」なってきていると思う。

# 殴り書きなので文章が非常に雑です。
posted by nofrills at 07:53| todays_news_from_uk/northern_ireland/basic | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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