2006年02月25日

「英国人」でもイミグレは大変らしい――あるいは、メディアの記事でいかにしてどれだけの「事実」を知ることができるか。- part 1

トラバをいただいたP-navi infoさんの記事にあるように、映画The Road to Guantanamo(グアンタナモへの道)の主演俳優(英国人)が、ベルリンから帰国した際、アムス経由でもないのに、ルートン空港で身柄が一時的に拘束されるという、何が何なのかよくわからない事態が起きた。

「空港で一時身柄拘束」といえば、一般論として、真っ先に、「イミグレ(入国審査/パスポート・コントロール)で引っかかった結果の別室送り」が考えられるが、今回拘束された人たちは英国籍なのだから、普通に考えてそれはありえない。ありうるとすれば、偽造パスポートの疑いがある場合くらいだろう。(←推測。イミグレ法をそこまで詳しく読み込んでいないから、私に確証があるわけではない。)

……ということを1秒くらいで考えてP-navi infoさんの記事を読むと、
ロンドンの空港で「反テロ法」によって一時拘束された。

とある。

「一時拘束」の事態は相対的にはそんなに大きな出来事ではないと私は思うのだけれど(小さくはないが)、「反テロ法」とは……ややこしいものが出てきちゃったな。

元の記事(英語)では……anti-terror lawsか。ますますややこしい。

「ややこしい」というのは、法的解釈とかは関係ない、ごく単純な話だ。つまり「何を指すのか」が分かりにくいということ。lawsってのは曲者なんだよね。大文字で「何とかAct」(←この形が固有名詞)って書かれてればどの法律が根拠なのかがはっきりわかるんだけど、小文字のlawやlawsではここがはっきりしない。別の言い方をすれば、メディアの用語でanti-terror lawsで表される法律は複数ある。その、小文字のanti-terror lawsを日本語で「反テロ法」と表すのは別に間違いではないのだが、「反テロ法」という名称の法律なのか、一般名詞的に「反テロのために整備された法律」のことなのかが判断できなくなる。

いずれにしても、今回のことについて実際に何法が根拠になったのか、それがわからないことには何とも言えない。(わかったとしても私の知識では限界があるのだが。)

頭を整理しながら1つづつやっていこう。

まず、日本語にしたときに「反テロ法」と表されるもので、英語でanti-terror lawsと表されるものについて。

最近ウェブログを更新するペースが遅いのでずっと下書きフォルダに入ったままになってるものがいくつもあるのだが、その中に、先日上院から下院に戻されて下院を通過した、the Terrorism Actの改定法案についての記事がある。それを引っ張り出してこよう。

the Terrorism Act(TACT)は日本語にすれば「テロリズム法(テロ法)」である。しかし、メディアではTACTの一部を指してanti-terrorism laws[legislation] と表すことがある。それを日本語にすると「反テロ法」となる。「テロ法」が「反テロ法」になってしまうのである。

というか「テロ法」は目的としてはcounter-terrorism legislationなんだから、最初からthe Counter-Terrorism Actと名前をつけておけばよかったんじゃないかと私は思うのだが。

※ちなみに現行のthe Terrorism Actは2000年制定のもので、the Terrorism Act 2000という。(これについては12月に書いた。←なお、左のリンク先は、ガチの「テロ組織」@北アイルランド系の名称がずらっと並んでいて危険ワード満載であり、閲覧環境によっては警告が出るとの報告をいただいている。が、単なるテキストデータと英国の国会やWikipediaへのリンクしかないので、クラッキングなどの心配はご無用。)

一方で、the Anti-Terrorism Act「反テロリズム法」というのも一応ある。ただし現在は失効しており、the Prevention of Terrorism Act 2005「テロリズム予防法」という名称の法律がその後を引き継いでいる。そしてそのいずれもが、メディアではanti-terrorism laws[legislation] 「反テロ法」と表される。

むろん、既に失効している法律が法執行機関の行動の根拠になることはありえないので、the Anti-Terrorism Act「反テロリズム法」は除外して考えることができる。というか、除外すべきである。

現在、メディアの記事にanti-terrorism laws[legislation] 「反テロ法」とある場合は、the Anti-Terrorism Actではなく、the Prevention of Terrorism Act 2005「テロリズム予防法」を指す可能性を考えなければならない。

※なお、the Prevention of Terrorism Act「テロリズム予防法」は2005年にできたときには1年しか使えない法律ということになっていた。その背景にはなんだかんだと事情がある。大陸の政府や官僚の中には、英国のこういう状態を指して「イスラムテロの拠点の『ロンドニスタン』のくせに、労働党政府だから人権だの何だのとごにょごにょ言ってばかり」と揶揄する向きもあるそうだ。(←これのソースは控えてないが、どっかのニュース系ブログ@英語かセキュリティ関係の掲示板に転載されていたアナリストのインタビューであると記憶している。)ちなみに英国が「人権」について慎重なのはもちろん英国がEUの加盟国だからだが、1970年代に北アイルランド関連で欧州人権法廷でぎゃふんと言わされたことも大きく作用していると私は思う。

ここまで話がややこしくなったのは私の書き方が悪いんだが、すっきりまとめると、現在メディアがanti-terrorism laws[legislation] 「反テロ法」と表しているものは、正式には、
- the Terrorism Act 2000 のanti-terrorismについての部分
- the Prevention of Terrorism Act 2005全体
のいずれか、もしくはその両方である。

前者と後者は別の法律だ。後者はその名前の通り、「テロの防止」のために警察とかに何ができるかを規定したもの。(この法律に関しては、前身となった法律を含め、状況が目まぐるしく変わったのであんまりフォローできてない。正確なことはWikipedia記事、およびその外部リンクで確認してください。)

前者は、Wikipediaから引用すると:
"an Act to make provision about terrorism; and to make temporary provision for Northern Ireland about the prosecution and punishment of certain offences, the preservation of peace and the maintenance of order"
つまり、「テロリズムとは何かを規定し、北アイルランドでの特定の違法行為についての訴追および刑罰を規定するが北アイルランドについては恒久的なものではない」ということで、要するに「テロリズム」を法的に規定することによってそれを法的に処理するときにてんでばらばらの法律から細かく「〜〜罪」を適用しなくてもよくなるようにしたもので、さらにまた、制定時に想定されていたのは北アイルランド、というバックグラウンドを持つ法律だ。(言うまでもなく、1998年の和平合意を踏まえて整備されたものである。)この法律ができたときに「認定テロ組織」として「特定団体リスト」に入っていたのは、北アイルランドの14組織だけだった。

が、その後、EUと歩調をあわせるかたちで、北アイルランドだけではなく「国際テロ組織」も「特定団体」のリストに加えられた。つまり、北アイルランド対策の法律ですべてをカバーする形になっていたわけで、800年も続く独立を目指す闘いの成れの果てである「カトリック側からのテロ with 国外の武装組織&草の根資金援助団体の協力」と「プロテスタント側からのテロ with 国内外の公的組織の協力」への対応の枠組みで「国境のないテロ」に対応することに無理が生じてきて、2005年から抜本的な改定作業が行なわれている。が、改定とはいっても新たに設けられる部分が多い。下院で議論になったのはそういった部分についてだ。

んで、「テロ法」の中に「反テロ」のセクションがあり、また「テロ法」とは別に「テロ予防法(前身は反テロ法)」があり……という状況で、「テロ法」の特定の部分だけが関係する場合に説明する目的であえて「テロ法(TACT)」を「反テロ法(anti-terrorism laws)」と書いている記事もあり(「殺人」なのか「傷害致死」なのかわからない段階で「殺人」と書く、ような感じ?)、また、この2つの法律の区別をはっきりつけようとしないで書いているんじゃないかという記事もあるし(プラクティカルな部分でanti-terrorism lawsとして働いている場合は特に)、A新聞は「テロ法」と書いているのにB新聞では「反テロ法」と書いていて、C新聞では「テロ予防法」と書かれていることもあって、正直、よくわかんないことが多い。

以上が、「反テロ法」についての簡単な(?)まとめ。

ようやく本題。

今回ルートン空港で「英国人」が拘束されたときの事実関係を報道記事からまとめてみる。

記事は「はてブ」に集めてある。
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/actors%20detained/

記事によって数字が食い違っていたりしてよくわかんないのだが、まず、一番コンパクトにまとめてあってノイズが少なさそうなNYT記事。ベースはBBC記事である。
http://www.nytimes.com/2006/02/22/arts/22arts.html...
Actors in a prizewinning film about the Guantanamo Bay detention camp were questioned by the police when they landed in England upon their return from the Berlin International Film Festival, the BBC reported. The men starred in "The Road to Guantanamo," winner of a Silver Bear award. "Six people were stopped under the Terrorism Act," said a spokeswoman for the Bedfordshire police, who noted that the men were not arrested and were quickly released at the Luton airport. The spokeswoman said: "There is a heightened state of security since the London bombings. Public safety is paramount." One of the actors, Rizwan Ahmed, said a police officer asked if he intended to make more "political" films. Rhuhel Ahmed, one of the men whose detention is chronicled in the film, said he was verbally abused. The human rights organization Reprieve, calling for an urgent inquiry into the incident, described it as "an ugly farce." ...
_
大意:
 映画『グアンタナモへの道』に出演した俳優らが、ベルリンからイングランドに到着した際、警察によって尋問された、とBBCが伝えている。映画はグアンタナモ湾の収容キャンプについてのもので、ベルリン国際映画祭で銀熊賞を獲得した。俳優らは映画祭からの帰途だった。「6人がテロリズム法を根拠として止められました」と(ルートン空港の所轄の)ベッドフォードシャー警察の広報担当は述べた。が、俳優らは逮捕はされず、現場ですぐに身柄を解放された、とのことである。「ロンドン爆弾以降、セキュリティを高めています。公衆の安全が最重要です。」
 俳優らのひとりのリズワン・アハメドは、もっと「政治的」な映画を作るのかとひとりの警官から訊かれたと語った。映画が描いた(グアンタナモでの)拘束を実際に体験した人物の1人であるルーヘル・アハメドは、(卑語で)罵られたと語った。人権組織のReprieveは、今回の件を「醜い笑劇」と呼び、即時に調査するよう求めた。
 ……(以下、映画についての説明の部分を割愛)


このNYT記事でわかる事実は
・WHEN:ベルリンから英国に帰国したときに →具体的な日付?
・WHERE:空港で →空港のどこか? 飛行機の中か、パスポートコントロールを通過する前か、通過した後かによって法的な意味が違うので確認が必要。
・WHO:6人が →6人の内訳は?
・WHAT:一時拘束されて尋問され、かなり失礼なことも言われた(stopというのは訳すのが難しいが、要するに空港警察による「別室ご案内」) →これは法廷沙汰になれば争点になりそうだがここではスルー。
・WHAT:逮捕はされずすぐに解放された →これも同上。
・WHY:the Terrorism Act「テロリズム法」を根拠として →これは重要なポイントなので他の記事も当たる。
・HOW:拘束された当人たちが「暴力的な扱いを受けた」と言っていないことから判断して、暴力的な形の拘束ではなかった →これも何も問題ないのでここで終了。

というわけで、
・WHEN:ベルリンから英国に帰国したときに の具体的な日付と、
・WHERE:空港で
・WHO:6人が
・WHY:the Terrorism Act「テロリズム法」で
を、別の記事でも確認する。

では2番目の記事。ルートンの地域新聞。
http://www.lutontoday.co.uk/ViewArticle2.aspx?...
Two actors who play al-Qaida suspects in a prize-winning British movie were stopped and questioned at Luton Airport along with the former terrorism suspects they portray, it has been claimed.
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Oxford graduate Rizwan Ahmed, who appears as Shafiq Rasul in The Road To Guantanamo, spoke out after the group was stopped on Thursday on its way back from the Berlin Film Festival, where the movie premiered.
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The 23-year-old said that police officers swore at him, denied him access to a lawyer and asked if he had become an actor to further the Islamic cause.
_
He added that former Guantanamo inmate Mr Rasul and Rhuhel Ahmed were stopped, as well as actor Farhad Harun.
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A spokeswoman for Beds Police said that four people entering the country were stopped under the counter-terrorism act, but they were released within the hour.
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She said: "The heightened security at the airport and railway stations throughout Britain is still ongoing and we will continue to stop people and ask them what they are doing."
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...
21 February 2006

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大意:
 ベルリンで銀熊を取った英国映画『グアンタモへの道』でアルカーイダ容疑者を演じた俳優2人が、彼らが演じた(実在の)元テロリズム容疑者とともに、ルートン空港で止められ尋問された。
 オクスフォード大学卒で、この映画でシャフィーク・ラスールを演じたリズワン・アハメド(23歳)は、木曜日にベルリン国際映画祭から帰国したときに(空港で)止められ、その後そのことを語った。(翻訳ヘタクソですが、「止められた」のも「語った」のも「木曜日」だと思います。)
 アハメドは警官たちに罵られ、弁護士への連絡も許可されず、イスラムの大義を追究するために俳優になったのかと訊かれた。
 また、リズワン・アハメドによれば、グアンタナモに拘束されていた当人のシャフィーク・ラスールとルーヘル・アハメド、および俳優のファルハド・ハルンも止められたとのことである。
 ベッドフォードシャー警察の広報担当者は、4人は対テロ法を根拠として止められたが、1時間もしないうちに解放された、と述べた。
 警察の広報担当者は「ブリテン全土での空港および鉄道駅でセキュリティが高められており、警察としては今後も人を止め、何をしているのかを尋問することを続けます」と述べた。
 ……


NYT/BBC記事と大きく異なるのは、
アハメドは警官たちに罵られ、弁護士への連絡はできないと言われ、イスラムの大義を追究するために俳優になったのかと訊かれた。

ということが書かれている点。ここを突っ込むと話がずれるので先に行こう。

さて。先ほどの
> ・WHEN:ベルリンから英国に帰国したときに の具体的な日付と、
は、この記事により、「木曜日(Thursday)」ということがわかった。この場合、記事の日付の21 February 2006が基準なので、その前の木曜日、つまり16日ということになる。

ベルリン映画祭のときのBBC記事によると、映画がベルリンで上映されたのは14日の火曜日なので、俳優たちはその2日後にベルリンからロンドンに戻ったのだろう。授賞式の写真には、監督と白人の俳優かスタッフかだけが写っている。なお、映画祭の閉幕は18日で、『グアンタナモへの道』が銀熊、というのは18日まではわからなかった。

ここでわき道にそれて、尋問で出てきたという「イスラムの大義」がどうのこうのという言説に触れておこう。この映画がベルリンで上映された直後のBBC記事では「賞賛の嵐」みたいなことを書きつつ、監督自身が「この映画は反米映画ではない」と語っているのを目立つように書いてある。ということは、「この映画は反米映画である」という批判があったということだ(見てもいないのにその映画が作られたということだけで映画を批判する人がいるんだろうが……スピルバーグの『ミュンヘン』のように)。今この時点で「反米映画である」と批判することには、常識的に判断して、「テロリストの肩を持つ」とか「テロリストの言う『イスラームの大義』を広めることに加担している」とかいった言説が伴われているはずだ。

さらには「テロリスト」と「ムスリム」を安易に同一視し、「ムスリムの権利を支持すること」即ち「テロリストを支持すること」と安易に、かつ/あるいは意図的に読み替える“空気”ってやつもある。

というわけで、
アハメドは……イスラムの大義を追究するために俳優になったのかと訊かれた。

のコンテクストはだいたい察しがつく。

俳優たちが帰国したのが映画祭終了後だったら、銀熊のトロフィーを持った「英国映画界の巨匠」(@外貨稼いでます!)が同行していたら、空港の警察の反応はどうだっただろう。。。変わんなかった可能性が高いかもね。(<特に根拠なし。)

さて、次に進みましょう。

NYT(元はBBC)で「空港で」とだけ書かれていた点については、新情報なし。

「6人が」と書かれていた点については、「4人が」となっている。他の報道記事でも「6人」と「4人」とゆれている。どっちが正確なのか判断がつきづらいが、「6人」と書いているBBCの最初の記事(おそらくこれがNYTが参照している記事)は21 February 2006, 15:00 GMT で、その後、同日の18:57に出たBBC記事では「4人」となっていることから、「6人」は情報が古い段階で書かれたものである可能性が高い。おそらく、一行は全部で「6人」だったが、警察に止められたのは「4人」だったということではなかろうか。

厳密なところはわからないが、以下は「4人」を前提とする。

「4人」の内訳は、俳優2人と実体験者(映画のモデル)2人。いずれも南アジア〜西アジアの系の外見をしている。

・俳優1:Rizwan (Riz) Ahmed……この人、オクスフォード大の演劇部で来日公演したことがあるみたい。演目は『ジュリアス・シーザー』、役はカシアス(おお! 似合いそうだ!)。

・俳優2:Farhad Harun……情報が少なく、写真が見つからない。映画のスチールを見つけたけど暗すぎてわからん。もう1枚のスチールはこの人にフォーカスが合ってない。

・実体験者1:Shafiq Rasul……WikipediaとかBBC記事@28 January, 2002とか。

・実体験者2:Rhuhel Ahmed……WikipediaとかBBC記事@4 August, 2004とか。

なお、BBC記事の写真と、この記事を少しスクロールダウンしたところにあるベルリンでの写真を見ると、「アジア系の若い男」は少なくとも5人確認できる。(BBCの「帽子にヒゲ」の人と「ハゲにヒゲ」の人、Lipの写真で監督の奥にいる3人。)

……あんまり重要ではないんだけど、ただの好奇心で、誰が誰だろうと思ってたら、別のBBC記事にキャプションついてたLipにある写真は左から俳優のWaqar Siddiqui, Rizwan Ahmed, Arfman Usmanで、監督を挟んで一番右(「ハゲにヒゲ」の人)が実体験者のRhuhel Ahmedだそうです。

さて、これらの写真の「帽子にヒゲ」の人とか「ハゲにヒゲ」の人のような風体の人物がルートン空港にいたとすれば、空港内で呼び止めたくなる気持ちもわからんではない、何しろ警察には使命感があるんだから。しかし、となるとますます、空港のどこで止められたのか――機内か、イミグレの前か(通路に警官もしくは軍がはり付いているはず)、イミグレの後か、イミグレの後だとすれば、パスポートコントロールのオフィサーが何かアクションを取ったのか、それとも到着ゲートから空港の外に出るまでの間に警官が彼らの姿を見て止めたのか、というのが知りたくなる。

(いかん、段々いつもの「野次馬」モードになってきた。)

いや、素直に考えれば、話のオチとしては「マーク対象のTipton Three(グアンタナモ実体験者)が海外に飛んで戻ってきたということがパスポートコントロールでわかり、警察が一応調べておくかと出てきた」→「Tipton Threeの同行者も調べの対象になった」→「テロ容疑者を演じた俳優が身柄拘束、というセンセーショナルな報道になった」ということだと思うんですが(そういう形の取調べでも法的根拠は必要)、ここまでやったんだから最後まで、「記事に書いてあること」を読んでいきます。

次いってみよー。

NYT/BBCで「the Terrorism Act「テロリズム法」を根拠として」とあったところは、ルートンの地域新聞では「対テロ法を根拠として」となっている。

ああやっぱり。orz 

こうなるから読むのが面倒なんだって、英国のテロリズムについての法律が絡んだ記事は。しかも「対テロ法を根拠として」のほうは、lawsじゃなくてactだけど、全部小文字じゃん(under the counter-terrorism act)。これって固有名詞? っつかこんな名称の法律は英国にはないよ。ああもう。

2つの記事の違いは、NYT/BBCでは警察のスポークスウーマンの言葉をカギカッコ(引用符)で書いていて、ルートン地域新聞では記者の書いた地の文である、という点だ。

こういう場合、通常、カギカッコのほうが信憑性が高いと判断するわけだが、NYT/BBC記事は人数が違ってたわけだし、うーむ。まだ読まにゃならん。

次の記事……ガーディアンは「4人の俳優が」という書き出しで、全員で「6人」いたことになっている(つまり事実関係について情報が古い)し、上2つの記事に書かれていない情報は特にないようなのですっ飛ばして、法的根拠についての部分だけ。

http://www.guardian.co.uk/guantanamo/story/0,,1714281,00.html
A spokeswoman for Bedfordshire police, which patrols Luton airport, said that none of the six men had been arrested. "The police officers wanted to ask them some questions under the counter-terrorism act," she said. "All were released within the hour. Part of the counter-terrorism act allows us to stop and examine people if something happens that might be suspicious."
_
ベッドフォードシャー警察の広報担当者は、「警官たちは、対テロ法を根拠として尋問したいと考えた。全員が1時間経たないうちに解放された。対テロ法の一部により、何か疑わしい可能性のあることが起きた場合、私たちは人を呼びとめ調査することができる。」


……やっぱり「対テロ法を根拠として」で、「対テロ法」が小文字だ。しかもカギカッコに入ってる。ということは、警官がこういう表現をしたんだ。で、そんな名称の法律はない(だから小文字)。で、具体的にどの法律でつか? ああもう。

腹立ったついでに、if something happens that might be suspiciousって、あのなー。「45分説」のときの助動詞読解を強く強く思い出した。。。とかいうこととは別に、ではなぜ彼らがmight be suspiciousと思われたのか、せめて本人だけには言えや。英国では、テロ容疑者っぽいと思われたら、下手したら銃殺されちゃうんだから。アジア系の男性は、疑われたら生きるか死ぬかの問題になるんだから。(←下手な皮肉です。念のため。)

次の記事。NS……予想通り、記事じゃなくて演説なので後で読む。今、この時点で私が知りたいのは「空港内のどこで」「何法に基づいて」の2つの小さな事実であり、「この事態の問題点」ではない。

次。Independent(@uruknet)……記事を頭から読んでたら、「この映画は、映画Bloody Sundayが1972年1月30日のデリーの事件の真相究明の実現に果たしたのと同じような役割を、グアンタナモについて持つかもしれない」とかちょっと思った。先日、UNが閉鎖勧告をしたときに、英国政府閣僚も「グアンタナモは閉鎖すべき」と名言していたし。。。って関係ないじゃん、話が。

話を戻す。Independent記事には、Rizのステートメントで大変興味深い部分が引用されているのだけれど、Rizのステートメントは後で現物を読むのでここではスルー。私がほしいのは警察の説明。。。あった。
Bedfordshire Police said that four people had been stopped at Luton airport on 16 February under the Prevention of Terrorism Act. It said they were taken to a nearby room where their identities were confirmed and questions about their journey and reasons for traveling established. They left the airport within an hour.
_
ベッドフォードシャー警察は、4人は2月16日にテロ予防法を根拠として止められた、と述べた。警察は、4人は近くの部屋に連れて行かれ、身元を確認され、旅程および旅行の理由について確認が行なわれた。身柄は1時間しないうちに解放された。


やっと固有名詞で出てきた。が、「テロ法」じゃない。「テロ予防法」だ。under the Prevention of Terrorism Act、「テロ予防法を根拠として」。けれども地の文だ。うーん、どこまで信頼できるかな。。。難しい。

現時点でのまとめ:
BBC(NYT/BBC)=the Terrorism Act ※警官の発言
ルートン地域新聞=the counter-terrorism act(正式な名称不明) ※地の文
ガーディアン=the counter-terrorism act(正式な名称不明)※警官の発言
インディペンデント=the Prevention of Terrorism Act ※地の文

「どの法律に基づいて」を調べたいだけなのに、これではまるで「順列・組み合わせ」。次は「the Terrorism Actで地の文」のパターンと「the Prevention of Terrorism Actで警官の発言」のパターンか?

で、彼らはイミグレ前に取調室に連れて行かれたんですか、それとも後ですか。

なんかつかれた。

……いったんここで中断。
posted by nofrills at 11:06| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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