2004年03月06日

ハンス・ブリクス氏「法的根拠なし」と述べる。

Yahoo! JAPANにあった共同通信さんの記事:
イラク戦争は違法 ブリクス前委員長
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040305-00000068-kyodo-int

同じくYahoo! JAPANにあった時事通信さんの記事:
イラク攻撃は違法=前査察委員長
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040305-00000237-jij-int

これらの元記事,英the Independent記事:
Blix: Iraq war was illegal
http://news.independent.co.uk/uk/politics/story.jsp?story=498039

3つの記事をゆっくり読んでみました。えと,the Independent記事の見出しはBlix: Iraq war was illegal「イラク戦争は違法」なのですが,ちょっと細かく読む方がいいですね。

※以下,引用文の中の太字は引用者による。

記事の出だし:
The former chief UN weapons inspector Hans Blix has declared that the war in Iraq was illegal, ...

これは新聞記事を書いた人の言葉(地の文)です。

次のパラグラフより,ブリクス氏の発言内容として間接話法で地の文で書かれている部分:
... the Attorney General's legal advice to the Government on the eve of war, giving cover for military action by the US and Britain, had no lawful justification.
戦争直前に為された政府に対する司法長官の法的アドヴァイスは,米英の武力行使に口実を与えたが,合法的正当性はまったくなかった


#いきなりわき道にそれますが,このthe Attorney GeneralとはLord Goldsmithのことです。(Who's whoでも作らんと把握しきれん……。)

記事は以下しばらく状況説明(ブレア非難が基調)が続き,その後でブリクス氏発言。直接話法(つまり発言のままの引用)です。

But, in an exclusive interview, Mr Blix said: "I don't buy the argument the war was legalised by the Iraqi violation of earlier resolutions."
独占インタビューでブリクス氏は「イラクが前の国連決議を無視していたことによって戦争は正当化されるという議論は私は支持しない」と述べた。


記事ではこの後はしばらく開戦直前の政府の動きを解説しています。(かなりわかりやすい。)

その後ブリクス氏発言。国連のおかしな状況について。
Mr Blix said that while it was possible to argue that Iraq had breached the ceasefire by violating UN resolutions adopted since 1991, the "ownership" of the resolutions rested with the entire 15-member Security Council and not with individual states. "It's the Security Council that is party to the ceasefire, not the UK and US individually, and therefore it is the council that has ownership of the ceasefire, in my interpretation."
1991年以来の国連決議に違反したことでイラクが停戦を破ったのではないかという議論はありえたが,国連決議を「所有する」のは安保理の15ヶ国全体であり,個別の国々ではない。【ここまでが地の文】「停戦の当事者は安保理であり,英国や米国ではない。したがって停戦は安保理のものであると私は考えている。」
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He said to challenge that interpretation would set a dangerous precedent. "Any individual member could take a view - the Russians could take one view, the Chinese could take another, they could be at war with each other, theoretically," Mr Blix said.
この解釈に異を唱えられたことは危険な前例となるだろうと氏は述べた。「各国が独自に見解をとると……ロシアがロシアの見解をとれば,中国はまた別の見解をというようになり,理論上は互いに衝突しあうようになる。」


以下はブレアとブッシュ,および政府についてのコメントで,「イラク戦争の合法性」の話は直接には出てきません。

……とまぁ,the Independentの記事はこんな感じです。(非常に粗雑な概略説明ですので,できれば現物をお読みください。)

つまり,illegalっていうのは,ブリクス氏自身の言葉なのかもしれないし,そうじゃないのかもしれない。

ブリクス氏はhad no lawful justificationとは言っているのだろうし(間接話法),don't buy the argument the war was legalisedとは確実に言っている(直接話法)。しかし,illegalは「編集された言葉」としては出てくるけれど,氏の言葉としては出てきていないのですね,この記事には。

共同通信さんの記事も,時事通信さんの記事も,このthe Independentの記事のうち,英国ニュースっぽい部分やこの新聞の「色」の部分(キャサリン・ガンクレア・ショートに言及されている部分,及びブレア批判),それとブリクス氏の著書が出るという部分やこのインタビューが独占インタビューであるといった情報を抜いて,短く要約したものです。

共同通信さんの記事には,最後に「前委員長はこれまでにも、英米両国がイラクの大量破壊兵器の脅威を『でっちあげた』などと批判している」という1文が付け加えられています(元記事にはありません)。

このエントリの本筋とは関係ありませんが,ブリクス氏の"They used exclamation marks instead of question marks."という一言はまさにまさに!と思いました。(「逆・東スポ」か?)
posted by nofrills at 01:42| todays_news_from_uk | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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