2006年06月30日

4文字語の使い方をブレアさんたちに習おう。

翻訳小説を読んでいると、ときどき、「おまえのそのクソ足をそのクソ机からどけろ」調の珍妙な日本語に行き当たって、思考停止してしまうことがある。映画の字幕でもこういうのがないわけじゃないけど、映画の場合は音声があるから珍妙な日本語に付き合わずに済む。でも小説の場合は、その日本語と付き合っていかなければ最後まで読めない。困ったもんだ。

英語のいわゆる「4文字語」は、単に機械的に「クソ〜」とすればいいってもんじゃない。作家がその登場人物に「4文字語」を使わせるのは、その人物のバックグラウンドを語りたいからだ。で、日本語の「クソ〜」は「4文字語」と必ずしも1−1で対応してない。だから「おまえのそのクソ足をそのクソ机からどけろ」とかいう調子で延々とやられても、その人物がどういう人で、何をどう考えているのか、人物像ってやつが見えてこないのだ。私が読んだ中で一番近い例では、文庫本の『ナイロビの蜂』のケネス・カーティスね。「ケネス・カーティス」がもっと生々しく伝わってくる翻訳だったら、あの小説の印象はずいぶん違っていたに違いない。

というように、『ナイロビの蜂』ではル・カレは「4文字語」を「外務省のみなさんとは遠い世界の、下層階級の男」の記号として使っていたのだけど、実際は、4文字語は階級・身分とかに関係なく使われる。

……という話が、ガーディアン/オブザーヴァーのblogにあった。
http://blogs.guardian.co.uk/observer/
archives/2006/06/29/fuck_it_shes_no.html
こないだ外務大臣になったマーガレット・ベケット(お上品な女性)が、外務大臣を打診されたときに発した言葉が"f**k"であったとか、ジョン・リード(今は内務大臣、その前は国防大臣)が保健大臣を打診されたときに"f**k no, not health"と言ったとか、ジョン・メイジャーがテレビのマイクのスイッチが切れてないことに気づかず"b**tards"と言ったとか、そういうどーーーでもいい話が、ところどころお上品ぶった文体でおもしろおかしく書かれている。

それだけならスルーするんだけども、次のような記述があったので、メモしとかないと、と。(太字は引用者による。)
I wrote a piece last summer about terrorism legislation, and was told by someone who had sat through a meeting with Tony Blair how during it he banged the table and demanded to know 'why the fuck' human rights legislation was frustrating a particular aim.


blogを書いた人は、ブレアがswearするなんて、というところで驚いたそうだが(「そういうキャラじゃないじゃん」というように)、むしろ、そこでswearするか、と驚くべきところだろう。

このブレアのいいぐさ、どう日本語にしたらいいかな。「人権法なんかのせいで」とかそんな感じ?
posted by nofrills at 06:20| 英語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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