2006年05月31日

北アイルランドのdirty war、根深すぎ。

あんまり時間がないのではしょるが、今週日曜日、アイルランドのタブロイドが、「シン・フェインのナンバー2のマーティン・マクギネスが英国のスパイ」と報じた。マクギネス本人とシン・フェインはもちろん、DUPあたりも、警察も政治家も、「くだらない」「ナンセンス」とカテゴリカリーに否定した。

関連記事@はてブ:
http://b.hatena.ne.jp/nofrills/Martin%20McGuinness/
※とりあえず見たもの全部ブクマしてあるけど、概略を把握するためにどれか1つだけ読みたい人はテレグラフ(ベルテレではなく)かタイムズ、さらにそれをどう読むべきかの指針が知りたい人はスラオさんのWould I spy?(コメ欄も)をどうぞ。

マーティン・マクギネスといえば、泣く子も黙るリパブリカンだ。
http://en.wikipedia.org/wiki/Martin_mcguinness

仮に彼が「英国のスパイ」であったとすれば、IRAのテロのどんだけの部分が「英国」の仕業なんだ、という話にもなる。dirty warはどこまで根深いのか。続きを読む
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2006年05月18日

「下の下」――Ballymena少年襲撃殺人(3)

マイケル・マッカルヴィーン葬儀は、「プロテスタントもカトリックもない、バリミーナという場所全体の事件」であるということを示しはしたが、これはおとぎ話ではないので、これで対立が終わって“みんな”が仲良くなったりしない。

葬儀に参列した人の車が教会から出て行くときに、車に向かって、石を投げるという愚行をするロイヤリストがいたという(ガーディアンBBC)。Slugger O'Tooleではこれを「下の下(Lowest of the low)」というタイトルで報じている続きを読む
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セルティックのユニとレンジャーズのユニ――Ballymena少年襲撃殺人(2)

おそらくこれまでに何人もの「Michael McIlveen(マイケル・マッカルヴィーン)」がいて、しかもそれは北アイルランドだけでなく世界の各地にいて、マイケルのように命まで奪われなくても精神が殺されているような人たちもたくさんいる。

そういうことは、知らされることがなければ、あるいは知ろうとしなければ、知ることもない。知ったとしても「元々対立していた」というような“わかりやすい説明”を貼り付けて終わらせようとすることもある。イラクについての「シーア派」と「スンニ派」とか、あるいは1994年のルワンダの「ツチ」と「フツ」とか。

そこでは人の集まりはどこまでも「集団」であって、個人個人ではない。「スンニ派によるシーア派を狙ったテロ」で「15人が死に30人が負傷した」、「両者はかくかくしかじかの理由で対立している」(あるいは「スンニ派はシーア派に対抗している」)と説明されて終わりだ。死んだ15人それぞれの個など、省みられることもない。それが「紛争」ってもの、その現れ方のひとつだと思う。

「紛争は終わった」ことになっても、その紛争のメンタリティは終わるわけじゃない。IRAが武器をおいて、ストーモントのアセンブリーが再開したからって、「プロテスタント」対「カトリック」のメンタリティは過去のものになっていない。「紛争」真っ只中を知らないはずの10代後半の子たちが、「カトリック」を襲撃する。

人が「人間」である前に、「カトリック」であるようなナンセンス。

17日、Ballymena(バリミーナ)でマイケル・マッカルヴィーンの葬儀があった。1000人近くが参列したという。BBC Newsの北アイルランドのページのトップに、その記事があった。

greenandblue.png

偶然だが、葬儀の記事の隣には、ベルファストの「伝説」の壁画がお目見えしたという小さな写真つきのヘッドラインがある。続きを読む
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なぜなら彼は「カトリック」だったから――Ballymena少年襲撃殺人(1)

ベルファストから北西に位置するCo Antrimに、Ballymenaという都市がある。
http://en.wikipedia.org/wiki/Ballymena

アイルランドのなかでもずいぶん昔から、隣からの侵略を受けてきた場所のひとつで、人口の大半がプロテスタントだ(CAINにある2001年のセンサスのデータによると、カトリックは20.97%)。というよりも、Ballymena選出の英国会議員は、過激な宗教指導者にしてDemocratic Unionist Partyという政党の設立者・党首であるIan Paisley(80歳)である、という事実の方が多くを語るかもしれない。ちなみに、俳優のリーアム・ニーソンはここの出身だ。

そのBallymenaで、今月初めにある事件が起きて、人が死んだ。

15歳の少年が、夜間に繁華街のピザ屋にピザを買いに出て、別の少年たちのグループに襲撃され、ぼこぼこにされた。襲撃された少年は何とか家まで戻り、即座に病院に搬送された。しかし命はもたなかった。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/northern_ireland/4752571.stm

その少年、Michael McIlveenはカトリックだった。彼を襲撃したのはプロテスタントの――いや、正確には「ロイヤリスト」と言うべきだが――10代男子のグループだった。

マイケルはほかの友人たちと一緒にテイクアウェイのピザ屋に出かけていた。その帰り道で、「ロイヤリスト」のグループが彼ら「カトリック」のグループを襲撃した。ほかの子たちは逃げることができたが、マイケルは追い詰められて、ぼこぼこにされたのだ。死ぬほどに。「カトリック」だったから。続きを読む
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2006年05月05日

On This Day: 05 May: 1981: Bobby Sands dies in prison

1981年の北アイルランドでのハンストで、初の死者が出てから今日でぴったり25年である。

まずは、ハンストとはどのようなものか、ハンストを体験した人の証言を(孫引きなのだが)。

You lose the fat first. Then your muscles start to go and your mind eats off the muscles, the glucose in your muscles and you can feel yourself going. You can actually smell yourself rotting away. That was one of the most memorable things for me: the smell, the smell of almost death from your own body... Your body starts to eat itself. I mean that's basically what happens during the hunger strike, until the point where there's no fat left, no muscles left, your body then starts to eat off your brain. And that's when your senses start to go. Your eyesight goes, your hearing goes, all your senses start to go when the body starts to eat off the brain.
_
-- Brendan Hughes, 'Dying for Ireland', Insight, UTV, 27 February 2001 (from Justin O'Brien, "Killing Finucane", Gill and Macmillan, Dublin, 2005, p.39)


こう証言するBrendan Hughesは、1980年10月から12月にかけて、獄中でハンストを行なったひとりである。より正確には、当時この刑務所内のIRAのOfficer Commanding(総司令官:当時のIRAには軍隊式階級があった)だった。

ハンストに入ったブレンダン・ヒューズの後を受けてOCになったのが、ボビー・サンズである。

2006年5月5日は、このボビー・サンズが死んでから25年目にあたる。彼が獄中で餓死したのは27歳のときで、生きていれば52歳だ。

BBCのOn This Dayの記事:
On This Day: 05 May: 1981: Bobby Sands dies in prison
http://news.bbc.co.uk/onthisday/hi/dates/stories/may/5/newsid_2728000/2728309.stm

これは当時の記事である。当時の北アイルランド担当大臣、Humphrey Atkinsのコメントを読むと、当時の英国政府(サッチャー政権)のスタンスが非常によくわかる。

つまり「勝手にハンストして勝手に死んだ」のだ、と。続きを読む
posted by nofrills at 19:32| todays_news_from_uk/northern_ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月15日

ロイヤリスト武装組織UVFはまだ「戦争中」。

UVF、「われわれの辞書に『武器を棄てる』はない」ってさ。。。
http://www.belfasttelegraph.co.uk/news/story.jsp?story=686796

※この記事は移動しました。移動先は:
http://nofrills.seesaa.net/article/22650856.html
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2006年04月12日

「冷戦」の終わりの始まりか。(北アイルランド)

何とびっくり、DUPが態度を変えた!!!

DUP ending UK-Irish body boycott
Last Updated: Tuesday, 11 April 2006, 11:38 GMT 12:38 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/northern_ireland/4899066.stm続きを読む
posted by nofrills at 22:23| todays_news_from_uk/northern_ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月09日

Northern Ireland, according to Google News

さっきGoogle Newsのトップページを見て、思わずふきだしそうになった件。

googlenews_9april2006.png

左側にある記事は、「イングランド、スコットランドなどの不動産物件を、北アイルランドの投資家が購入するケースが、大変増えている」というレポート。

あたかもその記事に添えられているかのような右側の写真は、デニス・ドナルドソン射殺事件捜査中のアイルランド共和国警察の人たち。

両者に共通しているのは「北アイルランド」だけである。続きを読む
posted by nofrills at 23:36| todays_news_from_uk/northern_ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

北アイルランドの刑務所でかつて起きていた「アブ・グレイブ」。

今年は1981年のIRA/INLAのハンストから25周年である。

Patsy O'Hara died at 11.29 p.m. on Thursday, May 21st - on the same day as Raymond McCreesh with whom he had embarked on the hunger-strike sixty-one days earlier.
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Even in death his torturers would not let him rest. When the O'Hara family been broken and his corpse bore several burn marks inflicted after his death.
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-- http://www.irishhungerstrike.com/patsyohara.html


以上は1981年のハンストで餓死したINLAのメンバー、パッツィ・オハラについての(リパブリカン・サイドによる)説明文からの抜粋。(太字強調は引用者による。)

刑事犯ではなく政治犯(戦争捕虜)としての待遇を要求し、61日間飲食を断って死んだ「自由の戦士」は、死んでなお、暴力の対象となった。

これは、1980年代の「英国」で起きていたことである。続きを読む
posted by nofrills at 04:39| todays_news_from_uk/northern_ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月06日

デニス・ドナルドソン殺害事件、4月5日の記事から。

デニス・ドナルドソン殺害事件について、今あれこれ読んだからといってそれをまとめても「事件の真相」とかいったことからは遠い話になるかもしれないのだが(何しろまだ検死結果も出てないような段階である)、こういう複雑なバックグラウンドを持つ事件をメディアがどう伝えているかということを書き留めておく意味で。

以下、ガーディアンを中心に。

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※4月5日深夜(6日早朝)に書いたものを6日夜に清書してからアップロードしているため、最新情報ではありません。検死結果は日本時間の6日の昼間には出ました。続きを読む
posted by nofrills at 23:58| todays_news_from_uk/northern_ireland | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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